R3 伊普西隆(手機版含日文)

「自主意識」

  通信器裏傳出低沉的聲音。

  『核心回收完畢!確保退路的狀況怎麼樣了?』

  「敵性生物的攻擊太猛烈,狀況十分嚴峻!請求武裝艇支援!」

  『知道了!在武裝艇到達之前,想辦法挺住。』

  「收到了!」

  通信中斷了。聽到指示的自己,將來福槍對準了迫近的魔獸。

  「米利安中隊長怎麼說?!這樣繼續下去的話很不妙啊!」

  「核心已經回收完畢了!還有,已經請求武裝艇支援了,援軍很快就來!」

  「知道了」

  在周圍戰鬥著的人,看起來瞬間取回了士氣。

  包括自己在內,在這裡的所有人,都已經對打不完的魔物感到身心俱疲。但是,如果有支援會來的話就不一樣了,很快就能回去了。

  心中充滿著希望,繼續用來福槍對著逼近的魔物射擊。


  伊普西隆醒來了。

  「……又來了。」

  不知道是從哪個改造階段開始的,伊普西隆開始常常夢見不可思議的夢。

  那些夢,有的是與不久之前見過的高攻擊性生命體戰鬥,有的是在與這裡不一樣的地方,和與自己形態相同的生命體進行著訓練,各種類型的夢都有。

  因為技師說「夢是整理記憶時產生出來的」,所以對做夢這件事本身能夠理解。

  因此,有戰鬥的夢還能理解。但是,和形態相同的生命體進行交流是『伊普西隆』所沒有的記憶。


  「嗯。說不定是被作為素體的生命體腦中,原本存在的殘留記憶給影響了。」

  找技師咨詢了夢的事情後,得到了這樣的回答。

  「我的孩子,你應該知道,你所擁有的大腦,是做為素體生命體的基礎,從大腦開始加以改造的對吧。」

  「是的。」

  伊普西隆點頭。這件事,是在自己能夠領悟技師的話後,最先聽到的事。

  「有可能是在不斷改造的過程中,讓素體記憶中的一部分蘇醒了。」

  「這種事有可能發生嗎?」

  「所謂的智慧生命體大腦是很複雜的。我最近對你的思考和記憶等的機構進行了改造,說不定是因為哪個動作使素體記憶的一部分表層化了,這個假設是足夠成立的。」

  觸手撫摸著伊普西隆的頭。

  技師的話比起平常更加抽象了,伊普西隆只能理解頭腦是很複雜的存在,目前要弄清楚一切還是很困難這一點。

  「你想要怎麼處理? 要是殘餘記憶讓你不舒服的話,再做一次檢查吧。然後,如果有必要的話就幫你改造一下?」

  「應該,沒關係。」

  「是嗎。」

  「是的,不過……不,還是算了。」

  「嗯?怎麼了?你可以說出來。」

  「我可能還會找你咨詢夢的事。」

  「呵呵,沒關係的。什麼時候都可以來找我,我的孩子啊。」

  技師似乎很開心地用觸手摸摸伊普西隆的頭。


  向技師咨詢過後,伊普西隆依舊做著不可思議的夢。

  有次夢見的是,準備好要出門旅行的自己在和誰親密地交談著。

  天空是一望無際的藍,茂密的綠草原一片延綿,怎麼看都不像是會讓人認為世界正面臨著危機的地方。

  「你要走了嗎?」

  「如果有方法能夠改變現在這種狀況,我就要去。」

  「路上小心,我等媽媽的病安定下來後,我也會去。」

  「你在說什麼啊,我會連你的份一起做的,你就別來什麼連隊了。會讓阿姨擔心的。」

  「我說啊……」

  在讓人覺得懷念的對話逐漸交錯之中,伊普西隆不知道什麼時候醒了過來。

  這是素體生活過場所的夢嗎。

  伊普西隆覺得,心中的某個地方被無法平靜的感覺控制住了。

  雖然只在夢中見過那個地方,但是那個地方看起來令人感到舒服。

  過去即使見到和自己形態相同的生命體,內心也不會有任何波瀾。但是,現在卻被夢中見到的景色撥動了心弦。

  「我想去看看那個地方……」

  不知不覺間,伊普西隆產生了願望,想要去看看構成自己的這個生命體的故鄉。

  但是有個問題。伊普西隆是由技師製作完成的生命體,而不是由自己的意志來活動的生命體。

  從能理解技師的話,能進行對話後,就一直都是遵從著技師的指示進行活動。

  要是違反這個情況的話,究竟是否是『做了也沒關係』的事呢……。


  「主人,我有話要說。」

  有一天,伊普西隆終於向技師提出這件事。

  內心的衝動一個勁地膨脹,使伊普西隆不斷地煩惱。

  但是,就算煩惱下去也無法改變結果。

  可能會被技師反對,而被改造成不會考慮多餘事情的大腦。即便如此,伊普西隆還是做好了覺悟並做出了行動。

  「什麼事,我的孩子。」

  「我想出去旅行。我想去尋找這個素體的故鄉。我不知道會花多久時間,可以允許我去嗎?」

  伊普西隆無法像技師那樣用詞順暢。

  像技師那樣條理清晰地談論事物很難。所以,用盡可能簡單的,易於傳達自己意思的方式地說出口了。

  「……是,嗎。終於,這樣啊,原來如此。」

  技師他,在經過漫長的沉默之後,身體像是感慨至極般抖著。

  「主人……?」

  「啊啊,伊普西隆。我可愛的孩子啊,你終於擁有自主意識了啊。」

  太棒了,太棒了,技師像這樣一邊反復呢喃著一邊用觸手撫摸著伊普西隆。

  「用自己的意志去選擇,去行動。這是只有智慧生命體才被賦予的特權,我的研究終於達到了這一步。太好了,真是太美妙了!」

  技師發自內心地喜悅。伊普西隆第一次從自己口中說出『想這樣做』來表明自我意志,似乎使他從心底感到無法抑制的喜悅。

  「主人。但是,我可以去嗎?」

  「為什麼我要反對呢?孩子總有一天要離開的。我可愛的孩子,現在只不過是終於迎來了這一天啊。」

  技師微微地抖動著身體,伊普西隆不經意間感覺到,聲音中包含著悲傷與喜悅。

  不知道是從什麼時候開始,伊普西隆能夠從技師的言行中理解到技師的感情了,伊普西隆對此感到驚訝。

  「主人……」

  「沒關係的,自主意識覺醒是一件很美好的事。所以,我無法阻止你的選擇,也不可能去阻止。」

  「但是,主人。你……」

  伊普西隆想向顫抖的技師伸出手。但是,這個動作被技師果凍狀的觸手阻止了。

  「別再說了,會讓我的決心動搖的,我的孩子。」

  「對不起。」

  「你不需要道歉。那麼,什麼時候啟程好呢?在那之前還要準備各種東西才行。」

  技師像是要甩去悲傷似地用明快的聲音,歡欣雀躍地為支援伊普西隆的出行,開始準備。


  於是,終於迎來了啟程的日子。

  技師至今為止,為了讓伊普西隆能在異世界生活下去而傳授了他一切知識。並且,準備好穿越世界所需要的器材和能量電池之類的。

  雖然行李的量有點多,但是伊普西隆也明白這些都是漫長旅途必要的東西。

  「我的孩子。不對,伊普西隆。我要給你最後的指示,你絕對不可以再回到我這裡來。」

  技師用像是抑制住感情的聲音,向伊普西隆宣告。

  「……我知道了。」

  「你要是回來的話,我應該會用盡任何手段,把你束縛在這裡吧。」

  「這樣啊……」

  「不過啊,我會經常祈禱願你的旅途能夠一帆風順的。」

  技師撫摸伊普西隆的頭,那個觸感已經沒有悲傷,只剩下滿滿的慈愛。

  「謝謝您,主人。」


  技師用一副開朗的樣子激勵伊普西隆,目送他離開。

  伊普西隆雖然感受到那個視線,但是也帶著再也不回到這裡的決心穿過了門,向著沒有終點的旅途出發了。


「-完-」

日文版
「自意識」

 通信機から低い声が響く。

『コアを回収した! 退路の確保はどうなっている』

「敵性生物の攻撃が激しく、確保が厳しい状況です! アーセナルキャリアの支援要請を!」

『わかった! アーセナルキャリアが到着するまで、何とか持ち堪えてくれ』

「了解!」

 通信は途切れた。指示を聞いた自分は、迫る魔獣にライフルを向ける。

「ミリアン中隊長は何だって?! これ以上は厳しいぞ!」

「コアの回収は完了した! それと、アーセナルキャリアの支援を要請した。もうすぐ援軍が来る!」

「わかった!」

 周囲で戦っていた者達が、俄に士気を取り戻したように見えた。

 自分も含めここにいる全員が、終わりの見えない魔物への対処に疲弊していた。しかし、支援が来るとなれば話は別だ。もうすぐ帰還できる。

 その希望を胸に、迫り来る魔物に対してライフルを撃ち続ける。


 エプシロンは目を覚ました。

「……またか」

 いつの改造段階からだろうか、エプシロンは度々不思議な夢を見るようになってた。

 それは、先程まで見ていたような攻撃性の高い生命体と戦っている夢だったり、こことは異なる別の場所で、自分と同じ姿をした生命体と訓練を行っている夢だったりと、様々であった。

 技師から「夢は記憶の整理によるものである」ということを聞かされていたため、夢を見るということ自体には理解が持てていた。

 だから、戦闘の夢はまだ理解できる。しかし、同じような生命体との交流は『エプシロン』には無い記憶だ。


「ふむ。素体に使用した生命体の頭脳にある記憶の残滓が影響したのかも」

 技師に夢のことを相談すると、そのような答えが返ってきた。

「我が子。お前のその頭脳は、素体となった生命体のものを基本として、そこから改造を加え続けているのは知っているね」

「ああ」

 エプシロンは頷く。そのことは、技師の言葉を理解できるようになって最初に聞かされていた。

「改造を加え続けているうちに、素体が持ったいた記憶の一部が蘇った可能性がある」

「そんなことが起こり得るのか?」

「知的生命体の頭脳というのは複雑なんだよ。最近は思考や記憶関連の機構にも手を加えたからね。何かの拍子に素体が持っていた記憶の一部が表層化したのかもという仮説も、充分に成り立つんだ」

 触腕がエプシロンの額を撫でる。

 技師の言葉はいつも以上に抽象的であった。頭脳というのは複雑で、未だ全ての解明は難しいのだということだけは理解できた。

「どうする? 残滓が不快なのであれば、もう一度検査をしよう。その上で、必要ならば改造を加えるよ?」

「大丈夫、の筈だ」

「そうかい」

「ああ、でも……いや、やめておく」

「うん? 何だい? 言ってみるといい」

「また夢のことを相談するかもしれない」

「ふふ、構わないよ。いつでも相談しなさい、我が子よ」

 技師は嬉しそうにエプシロンの頭を触腕で撫でた。


 技師に相談した以降も、エプシロンは不思議な夢を見続けた。

 ある時見た夢では、旅支度を整えた自分が親しい誰かと言葉を交わしていた。

 空はどこまでも青く、緑生い茂る草原は広く、とても世界が危機に瀕しているとは思えないような場所だった。

「行くのか?」

「こんな状況を変えられる手段があるのなら、俺は行くよ」

「気をつけろよ。俺も母さんの病気が落ち着いたら追い掛ける」

「なに言ってんだ。お前の分も俺がやってやるから、お前は連隊になんか来るんじゃねえよ。おばさんに心配を掛けちまうだろ」

「あのなあ……」

 懐かしいと思えるような会話を重ねるうちに、エプシロンはいつの間にか目を覚ましていた。

 これは素体が暮らしていた場所の夢だろうか。

 そう考えると、エプシロンは心のどこかが落ち着かないような感覚に囚われた。

 夢で見ただけの場所だが、そこはとても心地の良さそうなものに映った。

 自分と同じ形をした生命体を見ても何も心には浮かばなかった。なのに、いま見た夢の景色には心を動かされた。

「あの場所に行ってみたい……」

 いつしかエプシロンは、自分を構成する生命体の故郷へ行きたいと願うようになっていた。

 しかし問題はある。エプシロンは技師が作り上げた生命体であって、自分の意志で活動する生命体ではない。

 技師の言葉が理解できるようになり、会話ができるようになってからもずっと、エプシロンは技師の指示に従って活動していた。

 それを覆すことは、果たして『やてtも良いこと』なのだろうか……。


「主、話がある」

 ある日、ついにエプシロンは技師に話を切り出した。

 胸の内の衝動は膨らむばかりで、エプシロンを悩ませ続けていた。

 しかし、悩み続けていたところで結果が変わる筈もない。

 技師に反対され、余計なことを考えないように頭脳を改造されるかもしれない。そのことも覚悟して、エプシロンは行動を起こした。

「何だい、我が子よ」

「旅に出たい。この素体の故郷を探したい。いつまで掛かるかわからない。許してくれるだろうか?」

 エプシロンは技師のように言葉を駆使しることができない。

 技師のように理論整然と物事を話すのは難しい。だから、なるべく簡潔に、自分の意思が伝わりやすくなるように話した。

「……そう、か。ついに、そうか、そうなんだね」

 技師は、たっぷりの沈黙の後、感極まったように身体を震わせた。

「主……?」

「ああ、エプシロン。可愛い我が子。お前はついに自意識を得たんだね」

 素晴らしい、素晴らしいと、技師は何度も呟きながらエプシロンを触腕で撫で続ける。

「自らの意思で選択し、行動する。これこそが知的生命体に与えられた特権だ。ついに我が研究もそこに至ることができた。嬉しい、素晴らしいよ!」

 技師はどこまでも嬉しそうだ。エプシロンが自らの口で初めて『こうしたい』という意志を示したことが、心の底から嬉しくで堪らないといった様子だ。

「主。だが、いいのか?」

「どうして反対する必要がある? 子はいずれ巣立つものだ。可愛い我が子、ついにその時が来ただけのことだよ」

 技師は小刻みに身体を震わせる。その声は悲しみと喜びに満ちていると、エプシロンは黙然と感じ取ることができた。

 いつの間にか、技師の声色から技師の発する感情を読み取れるようになっていた。そのことにエプシロンは驚愕していた。

「主……」

「いいんだよ。自意識の目覚めは素晴らしいものだ。そして、その選択を止めるとは私にはできない。してよい筈がない」

「だが、主。あなたは……」

 震える技師にエプシロンは手を伸ばそうとする。しかし、技師のゼリー状の触腕がそれを制止した。

「それ以上はいけない。私の決意が鈍るからね、我が子よ」

「すまない」

「謝る必要などない。さて、出立はいつにしようか? それまでに色々用意をしておかねばならないからね」

 技師は悲しみを振り払うように明るい声色を出すと、いそいそとエプシロンの旅立ちを支援するべく、準備を始めるのだった。


 そして、旅立ちの日がやって来た。

 技師は今日この日までに、エプシロンに異界で生活するためのあらゆる知恵を授けた。

そして、世界を渡るために必要な機材やエネルギーバッテリーなどを準備した。

 結構な量であったが、長い旅に必要なものばかりだというのはエプシロンにも理解できた。

「我が子。いや、エプシロン。君に最後の指示を与えよう。君は二度と私の所へ戻ってきてはならない」

 技師は感情を押し殺したような声でエプシロンに告げる。

「……わかった」

「戻ってきたが最後。私はどんな手を使ってても、君をこの場所へ縛りつけるだろう」

「そうか……」

「でもね、私は常にお前の旅が良きものになるよう願っているよ」

 技師はエプシロンの頭を撫でる。その触腕にはもう悲しみはなく、ただただ慈愛があるだけだった。

「ありがとう、主」


 技師は務めて明るくエプシロンを激励し、見送った。

 その視線を感じながらも、エプシロンは二度とここには戻らないという決意を胸にゲートをくぐり、果てのない旅へ出立したのだった


「―了―」