R3 出葉(手機版含日文)

3387年 「視線」

  男子警戒地潛藏在陰暗的地下道裡前進著。

  男子擁有其他人所沒有的力量。

  但是那個力量,在被稱為連隊這個封閉空間中卻不是很稀奇。

  因此,男子渴求著那不存在特殊能力者的外面世界。

  男子像是藉由使用力量來紓解內心鬱悶的心情般,在外面的世界無惡不作殘虐至極。


  可是,那沒有長久持續下去。

  那樣的力量,對一般人類使用的話,馬上就會因為太強大而被認為是異類。

  男子的行為沒多久就被發現,因而受到了懲罰。


  男子假裝順從。

  服從權力,假裝反省.因而避免了更大的懲罰。

  這樣的話,大概又會有再到外面世界的機會了。

  在外面的行為,對男子來說就像麻藥般的東西。

  被欲望沖昏頭的男子,變成只等待著前往外面世界契機的存在。


  在每次死裡逃生後,男子對外面世界的渴望就更加地強烈。

  前往異界,也擁有能返回的實力,但男子卻沉溺在對弱者施暴的愉悅裡。


  這男子知道,除了一般的出入口外,還有用於搬運物資的地下通道。

  在這個狹隘的世界裡,隨時有可能喪命的日常。已經對那些感到厭煩的男子,決定離開連隊選擇逃亡的生活。


  男子在深夜寂靜無聲的地下通道裡謹慎地前進著。不能掉以輕心,如果發生任何情況,使用力量也沒關係。這樣一來應該就能順利逃脫了吧。

  邊這麼的想著,邊小心注意著四周繼續往前進。

  快了,就快到出口了。

  男子的手碰到了與出口連接的大門。

  在那個瞬間。

  冷冰冰的金屬觸感正抵著男子的脖子。

  過沒多久,從男子的身上冒出了冷汗。

  「到此為止了。」

  傳入耳裡的是,參雜著特殊腔調的男聲。

  唉呀,被抓到了。

  這樣的想法才冒出頭來時,男子也同時失去了意識。


  逮捕違反者的相關任務總負責人,由米利安來代替米爾格倫已行之數年。

  連隊更加進行人員的增強,隊員人數在這幾年陸續增加著。『聖騎士之力』的解析也持續進行中,能夠使用力量的人物,也以與過去無法相比的速度大幅地增加著。

  同時,濫用力量者也同樣地增加著。

  隨著違反者的增加,對於執行此任務的前E中隊成員的出葉等人來說逐漸變得困難。

  因此,根據拉姆的提案,因為某些理由無法參加《渦》攻略作戰的隊員轉為逮捕任務的成員。

  除了截至目前出葉他們原有的四名以外,又多了十幾個人加入逮捕任務的工作。

  隨著人員的增加,任務的內容也有所變化。

  其中一個就是,違反者高機率使用的脫逃通道巡邏任務。

  特別需要注意的有,下水道和物資搬運用的地下通道。

  這兩點經常派有強化警備用的無人機監視,除此之外每隔一段時間也會有負責逮捕任務的人員前往巡視。


  出葉正在需要注意的通道中進行巡邏,剛好遇到了打算脫逃的男子。


  「才剛從懲罰房被放出來,你可真行……」

  出葉和巴希里歐1深深地嘆了口氣。

  認出違反者是才剛收監在拘留設施的資料,上面記載著這個男子在幾天前才剛從懲罰房放出來的內容。

  是將『聖騎士之力』使用在《渦》內部以外的地方而被關進懲罰房的人,要給逮捕部隊的資料上面也註明著是需要特別注意的人物。

  這次才剛從懲罰房放出來就馬上行動,若是出葉沒發現的話應該很可能就這麼被逃脫了。

  「在十五期中也是個精英,何必呢。」

  違反者是二年前左右剛入隊的年輕隊員,從南東地區而來。

  似乎是在成為正式操作員沒多久就獲得『聖騎士之力』,算是在同期中才能比較突出的。

  但是卻變成一場災難,隨著力量的增強,對周遭的態度也變得自大驕傲。

  會被拘留在懲罰房,也是在外出時遇到一點衝突對一般人使用了『聖騎士之力』的結果。

  目前連隊雖然只掌握到這一件事導致進出懲罰房,但在進行盤查時,聽到好幾個同期的人提到,他是常把自己的極端行為拿來吹噓。

  「但是,還真是多了不少」

  出葉再次嘆了口氣。光這幾個月就逮捕了三名違反者,如果以幾年前半年才有一人的次數來算的話,這增加的頻率特別顯著。

  「自從確認出呼喚聖騎士之力的訓練法後,更加嚴重啊。」

  「究竟是好是壞,也很難說啊……」

  「真是的。」

  這幾年成為『聖騎士』的人,與被稱為二期和三期的隊員相比來得還要多很多。

  已經到了還不如計算沒有擁有力量的人還比較快的程度。

  逮捕違反者這幾年,沉溺於力量的人一直持續增加著。

  但是,在得到力量之前,誰又會預料的到是會不會演變成那樣呢。

  「唉,也沒辦法。就是會有這樣的傢伙,得有人來阻止他們啊。」

  「也是……」

  剛開始還很嫌棄這個工作,但隨著時間前E中隊的成員們,也漸漸感受到微妙的使命感。


  隔天的中午左右,在逮捕隊的房間看到了拉姆的身影。一般都是跟米利安一起前來的,卻沒看到米利安,取而代之的是從未見過面的女性工程師。

  「米利安中隊長怎麼了嗎?」

  「啊,他的話好像因為作戰會議延長而走不開。」

  「那麼,那個女性是?」

  「她是研究聖騎士之力的工程師啊,也是裝貼在違反者身上抑制貼紙的開發者。」

  「想要了解貼紙的使用情形,所以對拉姆提出這無理的要求。打擾了。」

  那樣說著的女性工程師微笑著。

  和拉姆一樣,這位女性工程師看起來也是喜形於色的人。

  話說物以類聚,拉姆的周圍似乎盡是些不擅壓抑情緒的工程師也說不一定。

  出葉雖然那樣地想著,但也絕不會說出口。


  被逮捕的違反者,被與拉姆一起前來的男子們帶了進來。

  「真可惜。但是,似乎能成為好研究材料。」

  女性工程師小聲地喃喃說道。

  這位工程師不只是為了查看抑制貼紙的使用情形而來的吧。

  「瑪格莉特。」

  拉姆喚起女性工程師的名字,那語氣似乎帶點責備。

  「啊,真對不起。我第一次像這樣直接見到使用狀況,忍不住,就。」

  「那麼,事情辦完了。該走了吧,瑪格莉特。」

  拉姆有些許慌張的樣子,看起來像是不太想讓出葉聽到瑪格莉特說的話般。

  瑪格莉特像是被趕出去般地離開了房間,突然,轉向出葉微笑著。

  「你呢,如果在這裡膩了要不要來拉姆那呢?不會虧待你的喔。」

  「瑪格莉特,不要這樣。真是對不起。出葉。」

  「啊,沒,沒關係……」

  瑪格莉特的表情雖然正笑著,但視線卻是銳利清晰的。但是,她的眼睛深處卻看起來毫無光彩。

  出葉想起了過去被浮動紀律儀掃描著自己時的感覺。

  那不愉快的感覺還尚未逝去,拉姆就和被稱為瑪格莉特工程師離開了。


  「米利安中隊長,拉姆這位工程師到底是怎樣的人呢?」

  感受到拉姆和女性工程師形跡可疑的出葉,在那天的傍晚便詢問剛好到逮捕隊待機房間的米利安。

  可是,米利安卻沒有回答,反而搖了搖頭。

  「關於他們的事最好不要再深入下去了。」

  「米利安中隊長,但……」

  「再追問下去的話,你也會變成違反者的。」

  米利安以銳利的目光注視著出葉。

  「什!?」

  「如果可以的話,我也不想這樣。前任的米爾格倫副隊長可是拜託我不要讓你們受到不合理的對待,說到這裡你應該懂了吧。」

  「知,知道了……」

  依照米利安所說,再繼續這麼追究下去,不知道還會發生什麼事。

  而且,聽到緊隨史達林辭去連隊的米爾格倫副隊長到了最後還是那麼關心大家,又怎麼能辜負了副隊長的好意呢。


「-完-」

日文版
3387年 「視線」

 薄暗い地下道を、男は息を潜めて注意深く進んでいた。

 男は、他者が持たざる力を持っていた。

 だがその力は、連隊と呼ばれる閉鎖空間ではごくありふれたものだった。

 だから、男は力を持っている者が存在しない外の世界を求めた。

 男は力を使って鬱屈を晴らすかのように、外の世界で暴虐を尽くした。


 しかし、それも長くは続かない。

 その力は、人に向けて振るうにはあまりにも強大で異端だった。

 男の行為は瞬く間に露見し、懲罰を受けた。


 男は大人しくなったふりをした。

 権力に従順になり、内省した素振りを見せて、更なる懲罰から逃れた。

 そうすれば、再び外の世界へ出られる機会も巡ってくるだろう。

 外での行いは、男にとって麻薬のようなものだった。

 簡単に手に入る欲望に取り憑かれた男は、外の世界へ出る契機を窺うだけの存在となった。


 死地へ赴く度に、男は外への渇望を強くしていくばかりであった。

 異界へ向かい、帰還するだけの実力がありながら、男は弱者へ力を振るう快楽に溺れていた。


 男は知っていた。通常の出入り口の他に、物資の搬入に利用されている地下通路があることを。

 この狭い世界。いつ死ぬかもわからない日常。それらにうんざりしていた男は、連隊からの逃亡を決意した。


 真夜中の静かな地下通路を男は身長に進む。油断はしていない。いざとなれば力を使えばいい。そうすれば逃げ果たせられるだろう。

 そう考えながら、周囲を注意深く窺って進み続ける。

 もうすぐ、もうすぐ出口だ。

 男の手が出口へ繋がる扉に掛かる。

 その瞬間だった。

 ひやりとした金属の感触が男のうなじに当たる。

 少しの間を置いて、男の全身から脂汗が吹き出てきた。

「そこまでじゃ」

 聞こえてきたのは、独特の訛りが混じった男の声。

 あぁ、捕まってしまった。

 そんな思考が頭をよぎるのを感じながら、男は意識を落とした。


 違反者の捕縛任務に関する統括責任者がミルグラムからミリアンに代替わりして数年。

 連隊は更なる人員の増強を行い、隊員数は年々増えていった。『聖騎士の力』の解析も進み、能力を扱うことができる者も、以前とは比べ物にならないほど増えた。

 と同時に、力を悪用する者も増える一方であった。

 違反者が増えるに従い、任務に就いているイデリハら元E中隊の面々だけでは対抗が厳しくなっていく。

 そこで、ラームからの提案により、何らかの理由によって《渦》攻略作戦へ参加できなくなった隊員を捕縛任務の人員として宛がうことになった。

 今では元からいたイデリハ達四名の他、十数人が捕縛任務に就いている。

 人員の増加に伴って、任務の内容にも変化があった。

 その一つが、違反者が脱出に使う可能性が高い通路の哨戒任務だ。

 特に注意を要するのは、下水道と物資搬入用の地下通路。

 この二つは強化された警備用ドローンが常に見回り、それ以外にも一定時間毎に捕縛任務に就いている人員が哨戒を行っている。


 イデリハは、その要注意通路の哨戒中に、脱走しようとする男と遭遇したのだった。


「懲罰房から出たばっかりだってのに、よくやるな……」

 イデリハとバシリオは深く溜息を吐いた。

 違反者を勾留施設に収監した後にデータを確認すると、この男はつい数日前に懲罰房から出たばかりである内容が記載されていた。

 『聖騎士の力』を《渦》の内部以外で振るって懲罰房は入れられた者は、要注意人物として捕縛部隊にデータが回される。

 今回は懲罰房から出されてすぐの行動だったため、イデリハが見つけなければそのまま逃亡していた可能性もあった。

「十五期の中でもエース級じゃったというに、勿体なか」

 違反者は二年ほど前に入隊した若い隊員で、南東の地域からやって来ていた。

 正規のオペレーターになって程なく『聖騎士の力』を得たらしい。同期の中ではそこそこに突出した才能を持っていたようだ。

 だがそれが災いしたのか、次第に力に驕るようになり、周囲への態度が高圧的になっていったらしい。

 懲罰房へ入れられたのも、外出の際に出くわした揉め事で『聖騎士の力』を一般人に振るった結果だとか。

 連隊が把握しているのは懲罰房行きになった一件だけだが、聴取を行ったところ、過激な行動を自慢げに話していたのを、何人かの同期が聞いたことがあるらしい。

「しかし、増えたのう」

 イデリハは再び溜息を吐いた。ここ数ヶ月で捕縛した違反者は三名。数年前は半年に一人ほどのペースであったことを考えると、その増加傾向は顕著である。

「聖騎士の力を呼び起こす訓練法が確立してから、余計にな」

「いいことなのか悪いことなのか、わからんなぁ……」

「まったくだ」

 この数年で『聖騎士』となった者は、二期や三期と呼ばれる時期の隊員と比べると遥かに多い。

 力を持たない者を数えた方が早いくらいであった。

 違反者を捕縛し続けて数年が経ったが、力に溺れる者は増えるばかり。

 しかし、力を得てみるまでは、そのような事態に陥るかどうかは誰にもわからない。

「ま、仕方ない。そういう奴ってのは往々にして出るもんだ。誰かが止めてやらないと」

「そう、じゃな……」

 初めは嫌々とやっていたこの任務だが、元E中隊の面々は時間の経過と共に、妙な使命感を覚えているのだった。


 翌日の昼頃、ラームが捕縛隊の待機部屋に姿を見せた。通常であればミリアンと共にやって来る筈だが、ミリアンの姿は見えず、代わりに見知らぬ女性エンジニアを連れて来ていた。

「ミリアン中隊長はどうしたんですか?」

「ああ、彼なら作戦会議が長引いているようでね」

「それと、そこの女性は?」

「彼女は聖騎士の力を研究しているエンジニアだよ。違反者に装着する抑制シールの開発者でもある」

「シールの使用状況が知りたくて、ラームに無理を言ったのよ。お邪魔するわね」

 そう言って女性エンジニアは微笑んだ。

 ラームと同様に、この女性エンジニアも表情を表に出すタイプのように見えた。

 類は友を呼ぶという言葉があるが、ラームの周囲には抑制的ではないエンジニアが集まりやすい傾向があるのかもしれない。

 イデリハはそんな風に考えたが、決して口には出さなかった。


 捕縛されていた違反者は、ラームの連れてきた男達に連れられて出てきた。

「勿体ないわね。でも、いい研究ができそう」

 女性エンジニアは小さく呟いた。

 このエンジニアは抑制シールの使用状況を見に来ただけではなかったのか。

「マルグリッド」

 ラームが女性エンジニアの名前を呼ぶ。その口調は窘めるようなものだった。

「ああ、ごめんなさい。こうやって直接見るのは初めてだから、つい、ね」

「さ、もう用事は終わった。行こうか、マルグリッド」

 ラームは少し慌てているようだった。マルグリッドの言葉をイデリハに極力聞かせたくないようにも見えた。

 追い立てられるように部屋を出て行こうとするマルグリッドだったが、ふと、イデリハに視線を向けて微笑んだ。

「貴方、ここに飽きたらラームの所へいらっしゃらない? 悪いようにはしないわ」

「マルグリッド、やめるんだ。すまないな、イデリハ君」

「あ、い、いえ……」

 マルグリッドの表情は笑っているが、その視線は鋭い。だが、彼女の目の奥には光が宿っていないように見えた。

 イデリハは、以前ドローンが自分を見ていたときの気分を思い出す。

 その不気味さを拭いきれぬうちに、ラームとマルグリッドと呼ばれたエンジニアは去って行った。


「ミリアン中隊長、ラームというエンジニアは一体何者なんですか?」

 ラームと女性エンジニアの動向に不審なものを感じていたイデリハは、その日の夕方に捕縛隊の待機部屋を訪れたミリアンに尋ねた。

 しかし、ミリアンはイデリハの質問には答えず、首を横に振った。

「彼らには深入りしないほうがいい」

「ミリアン中隊長、ですが……」

「これ以上食い下がるようなら、お前も違反者となるぞ」

 ミリアンは鋭い視線をイデリハに向けた。

「な!?」

「できれば俺もそんなことはしたくない。前任のミルグラム副長からも、お前達が理不尽な目に合わないようにして欲しいと頼まれている。ここはわかってくれ」

「わ、かり、ました……」

 ミリアンの言う通り、これ以上深入りすると何が起きるのかわからないのだろう。

 それに、スターリングを追って連隊を辞したミルグラム副長が最後まで自分達を気に掛けていたと言われると、副長の意志を無碍にすることもできなかった。


「―了―」

  1. R2迪諾中譯為巴西利歐。