R3 夏洛特(含日版)

3274年 「決斷之日」

聖歌隊的練習結束之後,我馬上回到自己的房間確認日期。

那天剛好是在凱倫貝克老師離開,以及祭神儀式日的一星期前。

我無法掩飾我的驚訝。蕾米雖然擔心地看著我,但我沒有時間在意了。

我飛奔出房間,尋找著老師可能會在的地點。

我馬上找到了老師,他就在會談室裡休息,我跑向老師。

「夏洛特,怎麼了嗎?」

老師和往常一樣臉上露出溫柔笑容看著我。

「老師,祭神儀式那天你要離開這裡是真的嗎?」

面對我這突如其來的疑問,老師露出困惑的表情。

「什麼?那個。是誰說的呢?」

老師用著困擾的表情看著我。

「啊,那個,那個……。對,對不起……」

「凱倫貝克,可以打擾一下嗎?」

「祭司大人,有什麼事嗎?」

「有緊急的事。夏洛特,不好意思,請妳先離開」

祭司大人用一臉沉重的表情看著老師,我行了個禮後就離開會談室了。

不曉得他們談論了什麼事,但是我確定的是,在那之後老師的表情就有了變化。



一星期之後,老師便消失了。

我再次唱起了那首歌。結果,就又回到了祭神儀式日的一星期前。



我不曉得這是什麼原理,雖然也害怕擁有這種力量的歌曲。

但是,恐懼也只是一瞬間,只要能唱那首歌就可以回到過去的話就沒關係。

因為對我來說,沒有什麼事比再也見不到凱倫貝克老師可怕。



我一再回到過去。

我重覆過的那一個星期,是相同又有點不相同的一星期。

但是,不管是什麼樣的一星期,老師一定會在祭神儀式的前一天悄悄地出發離開。

我將一星期的時間使用到極限,想盡辦法試著幾次想與老師交談。

可是,簡直就像是命運還是什麼未知的力量在阻攔我與老師交談。



有一次,我回到正在感冒發燒時的過去。

雖然也有幾次回到身體不太舒服的過去,但是像這樣嚴重到無法行動的程度還是第一次。

我明明沒有空病倒在床上的說。

老師擔心臥病在床的我,趁蕾米不在的時候來探望我。

「夏洛特,妳沒事吧?」

老師一臉擔心地看著我。

「啊……。老,師……」

「不可以勉強說話哦,我會再來看妳的」

難得有機會可以跟老師說話,我卻發不出聲音來。喉嚨腫脹,只要想發出聲音就會劇痛。我滿心後悔。



身體好不容易恢復時,又已經到了祭神儀式的前一天。

也就是凱倫貝克老師離開的那天。

不趕快的話會跟丟老師的,在雪地中,我拖著病剛好的身體追著老師。

我知道我無法阻止老師離開,但還是抱著說不定我能夠說服老師,說不定我的言語可以傳達給老師的希望。

我抱著希望,想著老師那只會對我露出的微笑,追著老師。



老師跟之前一樣,站在老舊大聖堂的中心。

「凱倫貝克老師!」

就在老師打算演奏小提琴的時候,我喊叫出老師的名字。

「夏洛特?」

老師一臉驚訝的表情看著我。

「老師,那個,我……」

我想要傳達我的心情,卻不順利。

「快回去」

面對猶豫的我,老師用強硬的語調向我說道。

「老師……?」

「我說了快回去教會。夏洛特」

「老師,請聽我說,我──」

「快回去!」

我第一次遇到老師聲音這麼大聲的樣子。

然後老師那恐怖的表情,讓我吃驚到無法動彈。

「……抱歉,夏洛特。但是拜託妳聽話」

老師放鬆下來恢復平常那溫柔的樣子,看著我說道。

「不要……我不要,老師」

我抓住老師的外套,像個任性的孩子拒絕老師。

如果現在聽老師的話,就又要從頭開始了。

「妳是個乖孩子,所以會聽話的對吧?」

老師一臉悲傷地將我的手從外套上撥開,然後就拉遠與我的距離。

「老師……」

「我想找的人終於找到了」

老師單方面地說著,一言一語都表現出老師那拼命的感情,我無法插嘴。

「那個人是我很重要的人,所以我不去不行」

那句話,讓我眼前一片黑暗,老師的心中從很久以前就一直有心儀之人了。

「重要的……」

老師的言語充滿了決心的感情,不管是誰,一定就連祭司大人都無法阻止他吧。

憑我怎麼可能阻擋老師的道路,怎麼可能做得到。

「我得走了,夏洛特,妳快回去吧」

老師只說了這些,就拿著小提琴盒快步走掉了。

一定是連把我送回教會的時間都不想耽擱吧,我一個人被留在古老的聖堂內。

「老……師……」

我假裝不知道眼淚已經流下唱起了歌,為了再一次見到老師。

一直一直,邊想著凱倫貝克老師繼續唱著歌。



恍惚的意識變清楚時,我已經回到正在聖歌隊內練習的時候了。

老師跟平常一樣,熱心地教導著我們。

小心翼翼地偷看老師,老師在休息中,用非常悲傷的表情看著遠方。

雖然發現我在看他的時候,向我微笑了,但是他的眼中並沒有映著我的樣子。



我好幾次回到那最後的一星期後,下定決心了一件事。

不管我做什麼都無法改變未來的話,至少要把我的心意傳達給老師。

就算傳達之後有改變什麼,或沒有改變什麼都沒關係。

凱倫貝克老師會接受我心意的機率大概練萬分之一都沒有吧,但即使如此,如果能讓老師因此在心中某處刻印上我的存在,這樣就足夠了。



我決定直到把我的心意傳達給老師為止,我都要一直重複過這最後的一個星期。



「─完─」

日文版
3274年 「決意の日」

聖歌隊の練習が終わった後、私はすぐに自室で日付を確認しました。

その日はカレンベルク先生がいなくなってしまわれた、祭事の日のちょうど一週間前でした。

私は驚きを隠せませんでした。レミが心配そうな顔でこちらを見ていましたが、そんなことを気に留めることすらできません。

私は自室を飛び出して、先生がおられそうな場所を探します。

先生はすぐに見つかりました。談話室でご休憩されていらっしゃいました。私は先生のところへ駆け出します。

「シャーロット、どうしたんだい?」

いつもと同じように優しい微笑みを浮かべる先生の目を、私は真っ直ぐに見つめます。

「先生、祭事の日に旅に出られるって、本当なのですか?」

唐突な私の質問に、先生は戸惑ったような表情をなさいました。

「なんだい? それは。 誰かがそんなことを言っていたのかい?」

先生は困った顔で私を見ておられます。

「あ、あの、その……。ご、ごめんなさい……」

「カレンベルク、ちょっといいかね?」

「司祭様、どうかなさいましたか?」

「火急の用だ。シャーロット、すまんが外しておくれ」

司祭様は深刻そうに先生を見ていらっしゃいます。私は一礼して談話室を去りました。

お二人のやり取りが何であったかはわかりませんでした。ですがそれ以降、先生のご様子に変化があったことは確かだったのです。

 

一週間後、先生は私の前から姿をお隠しになられました。

私は再びあの歌を歌いました。すると、また祭事の一週間前に戻りました。

 

原理はわかりませんし、こんな恐ろしい力のある歌に恐怖も覚えました。

ですが、そんな恐怖を感じたのも一瞬のこと。あの歌を歌うことで過去に戻れるならそれでいい、とすぐに思いました。

カレンベルク先生と二度と会えなくなることの方が、私にとっては余程恐怖なのですから。

 

私は何度となく過去に戻ることを繰り返しました。

私が繰り返す一週間は、同じようで同じでない一週間でした。

ですがどのような一週間でも、先生は必ず祭事の前日にひっそりと出立されてしまいます。

私は一週間という時間を最大限に使って、何度も先生と会話をしようと試みました。

けれども、まるでそれが運命であるかのように、何かの力が先生との会話を遮ってしまうのです。

 

ある時、私は風邪を引いて熱を出した状態の過去に戻りました。

幾度かは体調の悪い過去に戻ることもありましたが、こんな風に動けない程悪いのは初めてでした。

体調を崩している暇など無いというのに。

先生は病に臥せる私を気に掛け、レミがいない時を見計らって尋ねてきてくださいました。

「大丈夫かい? シャーロット」

先生は心配そうに私を見つめていらっしゃいます。

「あ……。せん、せ……」

「無理して喋ったら駄目だよ。また来るから」

先生とお話しできるまたとない機会なのに、私は言葉を紡ぐことができません。喉が腫れていて、声を出そうとすると酷い痛みが襲ってきます。私は悔しい思いに囚われました。

 

やっと体調が回復して声を出せるようになった時には、既に祭事の前日となっていました。

つまり、カレンベルク先生が旅立たれてしまう日です。

急がなければ先生を見失ってしまう。雪の降る中、私は病み上がりの身体を押して先生を追い掛けました。

先生のご出立を止められないのはわかっています。それでも、もしかしたら私の説得に応じてくれるかもしれない。私の言葉が届くかもしれない。

私だけに向けてくださる微笑に一縷の望みを見出して、私は先生を追い掛けました。

 

先生はいつかの時と同じように、古びた大聖堂の中心に立っておられます。

「カレンベルク先生!」

先生がバイオリンで楽曲を奏でようとしたまさにその時、私は叫ぶように先生の名を呼びました。

「シャーロット?」

先生は驚愕の表情で私を見ておられました。

「先生、あの、私……」

先生に思いを告げようとするも、上手く口が動きません。

「帰りなさい」

まごつく私に、先生は今までにない強い口調でそう仰いました。

「先生……?」

「教会に帰りなさい、と言ったんだ。シャーロット」

「先生、話を聞いてください。私は——」

「帰るんだ!」

先生が声を荒げる姿を、私は初めて見ました。

そして先生の鬼気迫る表情に、私は吃驚して固まることしかできませんでした。

「……ごめん、シャーロット。でも、お願いだから言うことを聞いておくれ」

はっとなった先生がいつものお優しい様子に戻られると、私の目を真っ直ぐに見つめてそう仰いました。

「いや……、嫌です。先生」

私は先生のコートを掴み、駄々っ子のように先生の言葉を拒否します。

ここで先生の言いつけをそのまま聞けば、また振り出しに戻ってしまうのです。

「君はいい子だ。だから僕の言うことを聞いてくれるね?」

先生は悲しい顔でコートを掴んでいる私の手を引き剥がすと、そっと私から距離を置かれました。

「先生……」

「探していた人が見つかったんだ」

先生は一方的に仰います。言葉の一つ一つに先生の必死な思いが込められており、私が何か口を挟むことなどできません。

「その人は僕の大切な人なんだ。だから、僕は行かなければ」

その言葉に、私は目の前が真っ暗になりました。先生の心の中にはずっと前から思い人がいらっしゃったのです。

「大切な……」

先生の言葉は決意に満ち溢れておられました。誰にも、司祭様でも止めることはできないでしょう。

私なんかが先生の行く道を阻むことなど、できる筈がなかったのです。

「僕はもう行かなくては。シャーロット、君も帰りなさい」

それだけを仰ると、先生はバイオリンケースを持って足早に立ち去られました。

私を教会に送り届ける時間さえ惜しかったのでしょう。私は古い聖堂に一人取り残されてしまいました。

「せん……せい……」

私は流れる涙に気付かないふりをして歌います。もう一度先生に会うために。

ずっとずっと、カレンベルク先生のことを思いながら歌い続けました。

 

薄れた意識がはっきりしてくると、聖歌隊の練習の最中に戻っていました。

先生はいつもと同じように、私達に熱心な指導をしておられます。

そっと先生の様子を目で追い掛けます。先生は休憩中やふとした拍子に、とても悲しそうな表情でどこか遠くを見ておられました。

私と目が合うと微笑みかけてくださいましたが、その瞳の中に私は映っていませんでした。

 

私は幾度となく最後の一週間を繰り返すうちに、一つの決意をしました。

どうやっても未来を変えられないのであれば、せめて私の思いだけでも告げようと思ったのです。

それで何かが変わっても、変わらなくてもいいのです。

カレンベルク先生が私の思いを受け入れることなど万に一つもないでしょう。それでも、先生の心のどこかに私という存在を刻み込むことができるのなら、それだけで構わないと。

 

この思いを告げることができるその日まで、私は最後の一週間を繰り返し続けることを決意したのです。

「—了—」