抱著支離破碎的雪莉零件,多妮妲回到了博士的身邊。
多妮妲的表情依然僵在那邊。沃肯看到多妮妲的樣子,沒有被雪莉的慘狀給影響地說了一句話。
「能修好的。不用擔心」
從不發一語的多妮妲手中接過裝著雪莉的箱子,沃肯走向自己的研究室。
多妮妲的心已經被支離破碎的雪莉,不,應該說是已經完全陷入了自己會完全停止的幻影之中。永無止盡的黑暗。永遠被關在裡面放置在裡面的自己。
總有一天自己也會變成那個樣子。那個想法在腦中揮之不去。
多妮妲就那樣坐倒在研究室的地板上。靠著牆壁,抱著頭閉上眼睛。然後,試著要將那幻影從自己的腦中驅逐出去。
但是一閉上雙眼,就會想起自己那被分解的四肢以及無法再發一語的慘狀。全身發抖而且有點頭暈,無法忍受靜靜地等待。想辦法站起身後,走向了自己的房間。
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坐在自己的床上拿出最喜歡的書。
這是一本集合了古老童話故事的書。書中有著美麗的插畫以及一些帶有殘酷教訓的故事,是多妮妲的最愛。
一頁一頁地翻著,試著讓心靜下來。
──色彩豐富的世界。會說人話的動物們。快樂卻又殘酷的結局。
──讓自己的心解放出去的童話世界之中。自己成了魔法師的弟子。
靠著這樣的想像,來讓自己從討厭的幻影中解脫。
當已經沉浸在書中世界快要平靜下來時,牆上的對講機突然發出聲響。
傳來博士的聲音。
「多妮妲,來研究室一下。有事情想要拜託妳」
「對不起。我現在不舒服」
「抱歉,不過我這邊也很緊急」
多妮妲拿著書往研究室走去。
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「博士。我感覺不太舒服」
多妮妲就那樣抱著書,用害怕的表情對博士說道。
「這樣啊。那就跟雪莉一起檢查吧。妳在那邊躺下」
「咦……要對我做什麼?現在不要……」
「暫時借用一下妳的身體而已。對妳不會有任何害處。也會幫妳清除不安感」
多妮妲依然一臉害怕的表情動也不動。
「……博士,是因為我做錯了什麼,才要這樣對我嗎?」
「妳在說什麼啊。妳一直做的很好啊。雪莉會變成這樣是因為──」
「……因為,我背叛你的關係?」
「你說什麼?」
對於多妮妲說出那應該已消去的記憶,沃肯感到非常地驚訝。
「對吧?所以要把我除掉」
「不對,我不會那樣對妳的。我只是為了要調查雪莉變成這樣的原因,短暫的借用一下妳的──」
「不關我的事……」
「為了做模擬訊號,只是暫時取出資料而已。對妳不會有任何影響的」
「我就說不關我的事了!那種破爛女人,打從一開始就不要存在就好了!!」
多妮妲大吼著將書本砸到地上。
「多妮妲,冷靜下來」
「夠了。結束吧。我,會離開這裡的!」
「沒辦法。看來也要幫妳檢查一下看看是有什麼問題了」
沃肯操作控制台,利用遠端控制將多妮妲的主電源切斷。
多妮妲就像是要跟被自己砸在地上的書本並列似地,倒在地上。
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多妮妲在黑暗之中。在自己最喜歡的故事之中。跟在書上插畫裡一樣那綠油油樹林茂密森林之中。可以聽到鳥叫聲。
「對了,我正要去找魔法師楚德太太」
多妮妲帶著微笑,在色彩美麗的森林中踏出步伐。
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走了一陣子後,就看到有一個黑色的男子站在森林的出口。他沒有眼睛也沒有鼻子,就只有黑色的人型漂浮在空中。
「沒有人可以永遠活著。任誰都一定會回到黑暗之中」
黑色男子就像是要擋住多妮妲的去路一樣,站在她前方。
「不,我是不會死的。因為,我就是被創造成那樣的存在」
多妮妲無視黑色男子繼續朝著魔法師的家前進。
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這次是在魔法師家的前面遇見綠色男子。果然還是沒有眼睛沒有鼻子,全身綠色的男子。
「背叛者是不能不接受處罰的。所有的行動都會帶來結果」
「我沒有錯。我只是做自己想做的事而已」
多妮妲在綠色男子的一旁說完後就走掉了。
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房子的一樓站著紅色男子。全身紅,簡直就像只用血構成的存在。
「妳帶來死亡。是個誰都不期望的女孩」
紅色男子用手指著多妮妲說道。
「跟其他人沒有關係,我是為了自己而活的」
多妮妲回話之後,紅色男子就消失不見了。
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上了二樓後,一位老婆婆坐在那。紫色的頭髮綁成一束,坐在搖椅上。
「歡迎妳來」
「妳就是楚德太太吧。不過,從那邊的窗戶看起來卻是紅髮妖怪呢」
「妳所看到的全部都沒有錯。人偶小姐」
「是這樣嗎?」
「所以,妳來這兒想要做什麼呢?」
「我已經厭倦了。不管怎樣都想逃走。所以才來這裡」
「討厭妳的父母?」
「不討厭。就是因為不討厭才痛苦。非常」
「這樣啊。這樣的話也不是不能幫妳」
「真的嗎?」
「我可以告訴妳讓家人都可以前往幸福世界的方法喔」
魔法師邊微笑邊那麼說道。
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「多妮妲,醒來吧」
多妮妲聽到沃肯的聲音後醒了過來。
「我全部都想起來了!為什麼我要製造妳們。以及我該做些什麼」
從沃肯的表情看的出來他平常的冷靜都消失了。
「我需要妳立刻來幫忙。也需要雪莉的力量。來吧,起來開始工作了」
多妮妲慢慢地起身。確認著自己跟睡前是不是有什麼不一樣。
「博士。我有事想跟你說」
「抱歉能不能等會兒再說。不趕緊不行。要快點準備到她身邊去才可以」
沃肯因為正持續進行維修雪莉,並沒有把注意力放在多妮妲身上。
「那麼,你就在那邊看著就好了。這樣大家就都可以得到幸福了」
「妳說什麼?」
轉過頭後,多妮妲的手中已經握著她從自己的腹部挖出來的混沌元素電池。
多妮妲的體液飛濺在周圍,內臟器官也散落一地。
「妳在做什麼傻事……」
沃肯為了要讓多妮妲停止朝著控制器的方向走去,不過在那之前,多妮妲已經站在他的面前。
「這樣大家就可以幸福了」
多妮妲睜大著眼睛一邊笑著,一邊將手中的混沌元素電池給捏碎。
下一個瞬間,沃肯跟多妮妲的就被刺眼的閃光給壟罩了。
|
「─完─」
3392年 「閃光」
バラバラにされたシェリのパーツを抱え、ドニタはドクターの元に戻った。
ドニタの表情は固まったままだ。ウォーケンはその様子を見て取り、一言、シェリの惨状にも動じることなく言った。
「直せる。 心配するな」
黙ったままのドニタからシェリの入った箱を受け取り、ウォーケンは自分の研究室へ向かった。
ドニタの心はバラバラになったシェリの、いや、自分自身が完全停止したヴィジョンに取り憑かれていた。いつまでも続く暗闇。そこにずっと閉じ込められ放置される自分。
いつか自分もそうなる。その思いが頭の中にこびり付く。
ドニタは研究所の床にそのまま座り込んだ。壁に寄り掛かり、頭を抱えて目を瞑る。そうして、自分の記憶からヴィジョンを取り除こうとしていた。
しかし目を閉じると、四肢を砕かれて物言わぬ姿になった自分自身の姿が甦ってくる。震えと目眩を感じ、じっとしていることに耐えられなくなった。どうにか立ち上がると、自室に向かった。
自分のベッドの上に座って大好きな本を取り出した。
古の時代に書かれた御伽噺を纏めたものだ。美しい挿絵と時に残酷な教訓話を、彼女は愛していた。
一ページ一ページと手繰って心を落ち着かせようとする。
——色取り取りの世界。人語を話す動物達。愉快で残酷な結末。
——こころを自分の外に出した御伽噺の世界。自分が魔法使いの弟子になる。
そういった想像によって、あの嫌なヴィジョンから自分を解き放とうとしていた。
本の世界に入り込んで心が落ち着き掛けた時、壁の連絡用コンソールが鳴った。
博士の声が響く。
「ドニタ、研究室に来てくれ。 頼みたいことがある」
「すみません。 いま気分が悪くて」
「すまんが、こちらも急なんだ」
ドニタは本を持ったまま研究室に向かった。
「ワタシ、調子が悪いみたい。ドクター」
本を抱えたまま、怯えた表情でウォーケンにドニタは語った。
「そうか。 ではシェリと一緒に検査をしよう。そこに横になって」
「え……ワタシに何かするの? 今は嫌……」
「一時的に君の体を借りるだけだ。君には何の害も無い。不安も取り除いてあげよう」
ドニタは怯えた表情のまま固まった。
「……博士、ワタシが悪いことをしたから、そんなことをするの?」
「何を言ってるんだ。 君はよくやってくれている。 シェリがこうなったのは——」
「……ワタシ、が裏切ったから?」
「何だって?」
ウォーケンは消去した筈の記憶についてドニタが話し出した事に驚いた。
「そうでしょう? だからワタシを消すんだ」
「違う、そんなことはしない。 シェリがこうなった理由を調べるために、一時的に君の——」
「ワタシに関係ないよ……」
「疑似信号を作るのに、一時的にデータを取るだけだ。君には何も影響はない」
「ワタシ、関係ないって言った! そんなガラクタ女、最初からいない方がよかった!!」
ドニタは大声を上げて本を床に叩き付けた。
「ドニタ、落ち着くんだ」
「もういい。 終わりにする。ワタシ、ここからいなくなる!」
「仕方がない。 君に何があったかも調べなければならないようだ」
ウォーケンはコンソールを操作し、遠隔操作でドニタのメインスイッチを切った。
自分が叩き付けた本と並ぶように、ドニタは床に横たわった。
ドニタは暗闇の中にいた。大好きなあの物語の中だった。挿絵にあったとおりの青々とした木々が茂る森の中だ。鳥の囀りが聞こえる。
「そうだ、ワタシ、魔法使いのフラウ・トルーデに会い行くのだったわ」
美しい色彩の森をドニタは笑顔で進んだ。
しばらく進むと、黒い男が森の出口に立っていた。目も鼻も無く、ただ黒いヒトの姿だけが空中に浮かび上がっている。
「永遠に生き続ける者などいない。 誰もが暗闇に戻るのだ」
黒い男は立ち塞がるようにドニタの前に立った。
「いいえ、ワタシは死なない。 だって、そう作られたんだもの」
ドニタは黒い男を無視して魔法使いの家に向かった。
今度は魔法使いの家の前で緑の男に出会った。やはり目鼻の無い、全身が緑色の男がいた。
「裏切り者は罰を受けなきゃいけない。 行動には結果が伴う」
「ワタシは間違ってない。 ワタシはしたいことをしただけ」
緑の男の傍をそう言って通り過ぎた。
家の一階には赤い男が立っていた。全身が赤く、まるで血だけで作られたような存在だった。
「お前は死を運ぶ。 誰にも望まれていない娘だ」
赤い男は指を突き付けてドニタにそう言う。
「他人は関係ない。 ワタシはワタシのために生きるの」
ドニタがそう言い返すと、赤い男は消えた。
二階に上がると老婆が座っていた。紫色の髪を束ね、安楽椅子に腰掛けている。
「よく来たね」
「あなたがフラウ・トルーデね。 でも、そこの窓からは赤い髪の化け物が見えたのに」
「お前が見たものは全部正しいよ。 お人形さん」
「そうかしら?」
「さて、なぜここに来た?」
「ワタシ、もう嫌なの。 どうしても逃げ出したいの。だからここに来たの」
「親が嫌いか?」
「嫌いじゃない。 だからワタシは苦しいの。 とても」
「そうか。 ならば助けてやらないこともない」
「本当?」
「家族皆で幸せに暮らせる世界に行く方法さ」
魔法使いは微笑みを浮かべながらそう言った。
「ドニタ、起きてくれ」
ウォーケンの声でドニタは目を覚ました。
「全てを思い出したよ! なぜ君らを作ったのか。 自分が何をすべきなのか」
ウォーケンの表情からは普段の冷静さが消えていた。
「すぐに手伝って欲しい。 シェリの力も必要だ。 さあ、起きて作業を始めるんだ」
ドニタはゆっくりと起き上がった。眠る前と何も変わっていないことを確かめる。
「ドクター。 ワタシ、話したいことがあるの」
「すまないが後にしてくれないか。 急がないといけない。早く彼女の元へ行く用意をしないといけないんだ」
ウォーケンはシェリの修理を進めていたため、ドニタに注意を向けていなかった。
「じゃあ、そこで見ていてくれればいいわ。 これで皆が幸せになれるの」
「何だって?」
振り向くと、ドニタの手には自らの腹部から引き摺り出したケイオシウムバッテリーが握られていた。
ドニタの体液は辺りに飛び散り、内臓器官も床に散じている。
「何を馬鹿なことを……」
ウォーケンはドニタを停止させようとコンソールに向かったが、それよりも早く、ドニタは彼の目の前に立った。
「これでみんな幸せ」
ドニタは目を見開いて笑いながらケイオシウムバッテリーを握り潰した。
次の瞬間、ウォーケンとドニタは目映い閃光に包まれた。
「—了—」
バラバラにされたシェリのパーツを抱え、ドニタはドクターの元に戻った。
ドニタの表情は固まったままだ。ウォーケンはその様子を見て取り、一言、シェリの惨状にも動じることなく言った。
「直せる。 心配するな」
黙ったままのドニタからシェリの入った箱を受け取り、ウォーケンは自分の研究室へ向かった。
ドニタの心はバラバラになったシェリの、いや、自分自身が完全停止したヴィジョンに取り憑かれていた。いつまでも続く暗闇。そこにずっと閉じ込められ放置される自分。
いつか自分もそうなる。その思いが頭の中にこびり付く。
ドニタは研究所の床にそのまま座り込んだ。壁に寄り掛かり、頭を抱えて目を瞑る。そうして、自分の記憶からヴィジョンを取り除こうとしていた。
しかし目を閉じると、四肢を砕かれて物言わぬ姿になった自分自身の姿が甦ってくる。震えと目眩を感じ、じっとしていることに耐えられなくなった。どうにか立ち上がると、自室に向かった。
自分のベッドの上に座って大好きな本を取り出した。
古の時代に書かれた御伽噺を纏めたものだ。美しい挿絵と時に残酷な教訓話を、彼女は愛していた。
一ページ一ページと手繰って心を落ち着かせようとする。
——色取り取りの世界。人語を話す動物達。愉快で残酷な結末。
——こころを自分の外に出した御伽噺の世界。自分が魔法使いの弟子になる。
そういった想像によって、あの嫌なヴィジョンから自分を解き放とうとしていた。
本の世界に入り込んで心が落ち着き掛けた時、壁の連絡用コンソールが鳴った。
博士の声が響く。
「ドニタ、研究室に来てくれ。 頼みたいことがある」
「すみません。 いま気分が悪くて」
「すまんが、こちらも急なんだ」
ドニタは本を持ったまま研究室に向かった。
「ワタシ、調子が悪いみたい。ドクター」
本を抱えたまま、怯えた表情でウォーケンにドニタは語った。
「そうか。 ではシェリと一緒に検査をしよう。そこに横になって」
「え……ワタシに何かするの? 今は嫌……」
「一時的に君の体を借りるだけだ。君には何の害も無い。不安も取り除いてあげよう」
ドニタは怯えた表情のまま固まった。
「……博士、ワタシが悪いことをしたから、そんなことをするの?」
「何を言ってるんだ。 君はよくやってくれている。 シェリがこうなったのは——」
「……ワタシ、が裏切ったから?」
「何だって?」
ウォーケンは消去した筈の記憶についてドニタが話し出した事に驚いた。
「そうでしょう? だからワタシを消すんだ」
「違う、そんなことはしない。 シェリがこうなった理由を調べるために、一時的に君の——」
「ワタシに関係ないよ……」
「疑似信号を作るのに、一時的にデータを取るだけだ。君には何も影響はない」
「ワタシ、関係ないって言った! そんなガラクタ女、最初からいない方がよかった!!」
ドニタは大声を上げて本を床に叩き付けた。
「ドニタ、落ち着くんだ」
「もういい。 終わりにする。ワタシ、ここからいなくなる!」
「仕方がない。 君に何があったかも調べなければならないようだ」
ウォーケンはコンソールを操作し、遠隔操作でドニタのメインスイッチを切った。
自分が叩き付けた本と並ぶように、ドニタは床に横たわった。
ドニタは暗闇の中にいた。大好きなあの物語の中だった。挿絵にあったとおりの青々とした木々が茂る森の中だ。鳥の囀りが聞こえる。
「そうだ、ワタシ、魔法使いのフラウ・トルーデに会い行くのだったわ」
美しい色彩の森をドニタは笑顔で進んだ。
しばらく進むと、黒い男が森の出口に立っていた。目も鼻も無く、ただ黒いヒトの姿だけが空中に浮かび上がっている。
「永遠に生き続ける者などいない。 誰もが暗闇に戻るのだ」
黒い男は立ち塞がるようにドニタの前に立った。
「いいえ、ワタシは死なない。 だって、そう作られたんだもの」
ドニタは黒い男を無視して魔法使いの家に向かった。
今度は魔法使いの家の前で緑の男に出会った。やはり目鼻の無い、全身が緑色の男がいた。
「裏切り者は罰を受けなきゃいけない。 行動には結果が伴う」
「ワタシは間違ってない。 ワタシはしたいことをしただけ」
緑の男の傍をそう言って通り過ぎた。
家の一階には赤い男が立っていた。全身が赤く、まるで血だけで作られたような存在だった。
「お前は死を運ぶ。 誰にも望まれていない娘だ」
赤い男は指を突き付けてドニタにそう言う。
「他人は関係ない。 ワタシはワタシのために生きるの」
ドニタがそう言い返すと、赤い男は消えた。
二階に上がると老婆が座っていた。紫色の髪を束ね、安楽椅子に腰掛けている。
「よく来たね」
「あなたがフラウ・トルーデね。 でも、そこの窓からは赤い髪の化け物が見えたのに」
「お前が見たものは全部正しいよ。 お人形さん」
「そうかしら?」
「さて、なぜここに来た?」
「ワタシ、もう嫌なの。 どうしても逃げ出したいの。だからここに来たの」
「親が嫌いか?」
「嫌いじゃない。 だからワタシは苦しいの。 とても」
「そうか。 ならば助けてやらないこともない」
「本当?」
「家族皆で幸せに暮らせる世界に行く方法さ」
魔法使いは微笑みを浮かべながらそう言った。
「ドニタ、起きてくれ」
ウォーケンの声でドニタは目を覚ました。
「全てを思い出したよ! なぜ君らを作ったのか。 自分が何をすべきなのか」
ウォーケンの表情からは普段の冷静さが消えていた。
「すぐに手伝って欲しい。 シェリの力も必要だ。 さあ、起きて作業を始めるんだ」
ドニタはゆっくりと起き上がった。眠る前と何も変わっていないことを確かめる。
「ドクター。 ワタシ、話したいことがあるの」
「すまないが後にしてくれないか。 急がないといけない。早く彼女の元へ行く用意をしないといけないんだ」
ウォーケンはシェリの修理を進めていたため、ドニタに注意を向けていなかった。
「じゃあ、そこで見ていてくれればいいわ。 これで皆が幸せになれるの」
「何だって?」
振り向くと、ドニタの手には自らの腹部から引き摺り出したケイオシウムバッテリーが握られていた。
ドニタの体液は辺りに飛び散り、内臓器官も床に散じている。
「何を馬鹿なことを……」
ウォーケンはドニタを停止させようとコンソールに向かったが、それよりも早く、ドニタは彼の目の前に立った。
「これでみんな幸せ」
ドニタは目を見開いて笑いながらケイオシウムバッテリーを握り潰した。
次の瞬間、ウォーケンとドニタは目映い閃光に包まれた。
「—了—」