「好孩子,再忍耐一下。媽媽馬上就會治好你了」
在夜晚的黑暗中,瑪格莉特緊緊的抱著裹在毛毯裡的孩子,快步向前走著。她的頭髮散亂,臉上毫無血色。但她的雙眼卻閃爍著異樣的光芒,並且像是在警戒著四周般不停的轉動著。如果有人看到她現在的樣子,八成會覺得是發生了什麼駭人聽聞的事件而感到恐慌吧。瑪格莉特的現在的表情就是如此的猙獰。
「就差一點點了。一點點而已。好孩子」
瑪格莉特的口中不停發出同樣的喃喃自語。孩子像是回應她的話似的,從她胸前緊抱著的毛毯中發出了哇哇的聲音。
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瑪格莉特與孩子平安的到達了研究所。
「我們的事,應該沒有人感興趣才是……」
瑪格莉特一邊低聲的說服自己,一邊進入了研究所。協助瑪格莉特的研究員已經在那裡久候多時了。
「我帶來了。趕快開始吧」
研究員點點頭,脫下孩子的衣服讓他平躺在「搖籃」中。然後陸陸續續在他身上接上管子和電極。雖說這是必要的過程,但自己孩子身上漸漸插滿了機器的樣子,卻不是做母親能夠直視而無動於衷的畫面。瑪格莉特的眼中浮出了淚水。
「……不行。都已經走到這一步了」
只要成功就能得救了。親子3個人,就能夠和平,幸福的生活著。
「準備完成了」
「……開始吧」
關上「搖籃」的蓋子後,孩子的哭聲變小了。瑪格莉特表情不變的拉下操控桿。「搖籃」開始產生微弱的震動,接著就發出了像是蟲子拍動翅膀般細微的聲響。
「啟動成功。就先這樣觀察變化吧」
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「搖籃」順利的運轉著。照著這個樣子下去孩子的命就可以保住了。失去血色的瑪格莉特臉上漸漸恢復紅潤。這個實驗的結果會造成什麼樣的後果,瑪格莉特完全不在乎。對她來說,只有拯救自己的孩子才是最重要的事。
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就在「搖籃」啟動後大約過了1個小時,瑪格莉特想著差不多該確認一下孩子的狀況而站起身的瞬間。
「到此為止!所有人不准動!」
打開門,突如其來男人高聲大吼著。
「是審判官!」
研究員的男人大叫。
瑪格莉特回頭一看,舉著槍的士兵們衝了進來。一共有5人,非武裝的研究員們根本無力招架。
「……把所有人都給我綁起來。讓他們趴在地上!」
究竟是怎麼一回事。明明就只差一點而已。為什麼偏偏是現在要被阻撓?瑪格莉特反抗著審問官的命令打算繼續進行作業。
「馬上束手就擒,女人。你想被當場射殺嗎」
「唔……」
「瑪格莉特……照著他的話做」
「伊奧席夫!?」
瑪格莉特因為絕望與悲傷睜大了眼睛。
「難道說,是你把我們的事情給……」
「……是的」
伊奧席夫露出了筋疲力竭的表情,避開瑪格莉特的眼睛,小聲的回答著。
「不要再做這種事了。全家人一起度過那個孩子所剩無幾的時間吧?」
「……伊奧席夫。那樣的話……」
瑪格莉特的眼中不停滾落下淚水。
「已經不行了。這就是命運啊,瑪格莉特。一切從頭開始吧」
瑪格莉特終於明白了伊奧席夫的想法。他只打算明哲保身。但對我來說根本無法想像沒有這個孩子的世界。
「……那是不可能的。這個孩子有他出生的意義。我是絕對不會讓你們殺了他的」
「不准動,女人!」
瑪格莉特拔出藏有的短槍指著伊奧席夫。但在她叩下板機前,就已有數發子彈向她襲去。瑪格莉特的身體被彈飛出去,重重的撞上了「搖籃」。倒下的身體不斷流出大量鮮紅的血。
「我的…唔……」
「瑪格莉特……你真傻」
一定要保護我的孩子。瑪格莉特搖搖晃晃的站起來,掀開「搖籃」的蓋子。這時又有數發子彈打中她的後背。受到衝擊,瑪格莉特的身體跌落到了「搖籃」之中。
「啊……好孩子。再一下下……」
一定要保護這個孩子。我,只有我能保護這個孩子。在這個世界上只有我能夠保護這個孩子。
瑪格莉特憑著執念的力量舉起染血的手臂,蓋上「搖籃」的蓋子。然後,用那隻手緊緊抱住她的孩子。
|
「愚蠢的行為」
闖入房間的審判官長官自言自語著。不管被射殺的瑪格莉特,讓手下繼續回收資料以及逮捕研究員的工作。
過了一陣子,站在一旁的年輕審判官下了命令。
「喂,孩子可能還活著,去確認一下。還有那個男人很礙事,讓他回去」
在默默進行作業的審判官們間,伊奧席夫一個人佇立在「搖籃」前。
「遵命」
「伊奧席夫先生。孩子可能還活著。讓我送你們一起回去吧」
「……啊,嗯」
一個士兵掀開了「搖籃」的蓋子。裡面躺著渾身是血的瑪格莉特,以及安穩睡著的孩子。
「孩子似乎還活著的樣子」
當士兵一邊說著一邊將手伸向孩子時,那隻手就突然就被什麼東西給緊緊抓住了。
「呃……什麼,這是什麼東西!?」
士兵慌張的望向「搖籃」裡,剛才應該還在裡面的瑪格莉特消失無蹤,取而代之的是有如大型犬般的野獸。野獸的腳正壓在士兵的手臂上。
「怪物啊!救命!」
士兵的呼救聲中途就變成了慘叫。士兵一邊甩動著被啃噬到殘破不堪的手臂,一邊在地板上扭動著逃跑。但是,野獸跳上他的身體,咬斷了士兵的喉嚨。
「開始戰鬥!用槍!快用槍!」
在舉著槍的士兵眼中,只看到一隻又一隻的野獸從「搖籃」中出現。就像是憑空冒出來一般,野獸的數量不斷增加。
「……殺了他們」
似乎聽到了女性的低語。但下一瞬間,不論是士兵還是研究員,在那裡的所有人類都被野獸們屠殺殆盡。在血肉四濺的研究室中央,孩子仍然發出安祥的鼾聲。
而在孩子的身旁,還留有一個毫髮無傷的伊奧席夫。
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「─完─」
3378年 「喪失」
「いい子だから、もう少し我慢してね。すぐに治してあげるから」
夜の闇の中、マルグリッドは毛布にくるまれた我が子をしっかりと抱き、早足で歩いていた。髪は乱れ、顔からは血の気が引いている。しかし、その中で目だけは異様な輝きを帯び、辺りを警戒するように絶え間なく動いていた。その姿を見る者があれば、すわ事件かと驚愕しただろう。それ程にマルグリッドの表情は鬼気迫っていた。
「もう少しだから、もう少し。いい子ね」
マルグリッドの口から繰り返し呟きが漏れる。その言葉に反応するかのように、胸に抱いた毛布の中からきゃっきゃっという声が上がっていた。
マルグリッド達は無事に研究所へ辿り着いた。
「私達のことなど、誰も興味などないはず……」
自分にそう信じさせるように呟き、研究所の中に入った。そこにはマルグリッドの研究を手伝った研究員が待っていた。
「連れてきたわ。急いで始めましょう」
研究員は頷くと、子供の衣服を脱がせて「ゆりかご」へと寝かせた。そして、その体にチューブや電極を次々と取り付けていく。必要な事とはいえ、我が子の体に機器が取り付けられていく様子は、母親には直視することのできない光景だった。マルグリッドの目に涙が浮かぶ。
「……駄目よ。ここまできたのだから」
これが成功すれば助かる。親子三人、平和に、幸せに生きることができるのだ。
「準備、完了しました」
「……開始します」
「ゆりかご」の蓋を閉めると、泣き声が小さくなる。マルグリッドは表情を変えないまま、レバーを倒した。「ゆりかご」が小さく振動し、続いて、虫の羽音のような小さな音が鳴る。
「起動成功。このまま経過を観察しましょう」
「ゆりかご」は順調に作動していた。このまま行けば子供の命は助かる。血の気が失せていたマルグリッドの顔にだんだんと赤みが戻ってくる。この実験の結果でどのような事態が生まれるのか、そんなことはマルグリッドには関係が無かった。彼女にとっては、自分の子供を救うことだけが全てだった。
「ゆりかご」が起動してから一時間が経過した。そろそろ子供の様子を確認しなくては。マルグリッドがそう思って立ち上がった瞬間、
「そこまでだ! 全員動くな!」
扉を開けるけたたましい音と男の叫び声。
「審問官だ!」
研究員の男が叫んだ。
マルグリッドが振り返ると、銃を構えた兵士の姿が目に飛び込んで来た。その数五人。非武装の研究員に抵抗する術は無い。
「全員拘束する。そのまま床に伏せろ!」
なんということだろう。あと少しなのに。なぜ今妨害されなければならないのか。マルグリッドは審問官に逆らって作業を続けようとした。
「早く伏せろ、女。この場で射殺されたいのか」
「くっ……」
「マルグリッド……言うとおりにするんだ」
「イオースィフ!?」
マルグリッドの目が絶望と悲哀で大きく見開かれた。
「まさか、あなたが私達のことを……」
「……そうだ」
イオースィフは心底疲れた表情を浮かべながら、マルグリッドに目を合わすことなく、か細い声で答えた。
「こんな事はもうやめよう。あの子に残された時間を家族で過ごそうじゃないか?」
「……イオースィフ。それじゃ……」
マルグリッドの目から涙がこぼれ落ちる。
「もう無理なんだ。これは運命だ、マルグリッド。 一からやり直そう」
マルグリッドはようやくイオースィフを理解した。彼には己の保身と打算しかない。私にはこの子のいなくなった世界など考えられない。
「……そうはいかないわ。この子には生まれてきた意味があるの。私は絶対にこの子を殺させたりしない」
「動くな、女!」
マルグリッドは隠し持っていた短銃を引き抜いてイオースィフに向ける。だが、引き金を引く前に複数の弾丸が彼女を襲った。マルグリッドの体は弾き飛ばされ、「ゆりかご」へと激突する。倒れた体の下から、真っ赤な血がじわじわと流れ出ていた。
「私の…ク……」
「マルグリッド……馬鹿なことを」
我が子を守らなくては。マルグリッドはふらつきながら立ち上がり、「ゆりかご」の蓋を開けた。その背中に、さらに数発の弾丸が着弾した。衝撃を受け、マルグリッドの体は「ゆりかご」の中へと転がり落ちる。
「ああ……いい子ね。もう少しだから……」
この子を守らなくては。私が、私だけがこの子を守れるのだ。この世界でただ私だけが、この子を守ることができる。
マルグリッドは執念の力によって血に塗れた腕をあげ、「ゆりかご」の蓋を閉める。そして、我が子をその手に抱きしめた。
「馬鹿なマネを」
突入してきた審問官の長が呟いた。射殺したマルグリッドをそのままに、資料の回収と研究員達の拘束を続けさせた。
そしてしばらくすると、傍らにいた若い審問官に命令を下した。
「おい、子供がまだ生きているかもしれない。確認しろ。それとあの男は邪魔だ、もう帰ってもらえ」
黙々と作業を続ける審問官達の間に、「ゆりかご」の前で立ち竦むイオースィフがいた。
「了解しました」
「イオースィフさん。お子さんが生きてるかもしれません。 ご一緒に家まで送らせます」
「……あ、ああ」
一人の兵士が「ゆりかご」の蓋を開けた。そこには血に塗れたマルグリッドと、安らかに眠っている子供の姿があった。
「まだお子さんは生きているようです」
そう言って子供の体に手を伸ばした時、その手を何かが、ひし、と掴んだ。
「ん……な、何だコイツはっ!?」
慌てて「ゆりかご」の中を見ると、先程までそこにいた筈のマルグリッドの姿は無く、代わりに大きな犬のような獣がいた。その獣は兵士の腕に足を乗せている。
「化け物だ! 助けてくれ!」
兵士の叫び声は途中から絶叫に変わった。腕を噛み千切られ、床を這いずって逃げる。しかし、獣がその上に躍り掛かり、兵士の喉笛を食い破った。
「戦闘態勢! 銃だ! 銃を!」
銃を構える兵士達の前に、次々と「ゆりかご」の中から獣が姿を現す。まるで生えてくるように、獣達はその数を増やしていった。
「……殺せ」
女性の呟きが聞こえた気がした。しかし次の瞬間には、兵士も研究員も、その場に立っていた全ての人間が獣達によって蹂躙された。血と肉片が飛び散った研究室の中央で、子供は安らかな寝息を立てていた。
そしてその傍には、一人無傷で残ったイオースィフの姿があった。
「—了—」
「いい子だから、もう少し我慢してね。すぐに治してあげるから」
夜の闇の中、マルグリッドは毛布にくるまれた我が子をしっかりと抱き、早足で歩いていた。髪は乱れ、顔からは血の気が引いている。しかし、その中で目だけは異様な輝きを帯び、辺りを警戒するように絶え間なく動いていた。その姿を見る者があれば、すわ事件かと驚愕しただろう。それ程にマルグリッドの表情は鬼気迫っていた。
「もう少しだから、もう少し。いい子ね」
マルグリッドの口から繰り返し呟きが漏れる。その言葉に反応するかのように、胸に抱いた毛布の中からきゃっきゃっという声が上がっていた。
マルグリッド達は無事に研究所へ辿り着いた。
「私達のことなど、誰も興味などないはず……」
自分にそう信じさせるように呟き、研究所の中に入った。そこにはマルグリッドの研究を手伝った研究員が待っていた。
「連れてきたわ。急いで始めましょう」
研究員は頷くと、子供の衣服を脱がせて「ゆりかご」へと寝かせた。そして、その体にチューブや電極を次々と取り付けていく。必要な事とはいえ、我が子の体に機器が取り付けられていく様子は、母親には直視することのできない光景だった。マルグリッドの目に涙が浮かぶ。
「……駄目よ。ここまできたのだから」
これが成功すれば助かる。親子三人、平和に、幸せに生きることができるのだ。
「準備、完了しました」
「……開始します」
「ゆりかご」の蓋を閉めると、泣き声が小さくなる。マルグリッドは表情を変えないまま、レバーを倒した。「ゆりかご」が小さく振動し、続いて、虫の羽音のような小さな音が鳴る。
「起動成功。このまま経過を観察しましょう」
「ゆりかご」は順調に作動していた。このまま行けば子供の命は助かる。血の気が失せていたマルグリッドの顔にだんだんと赤みが戻ってくる。この実験の結果でどのような事態が生まれるのか、そんなことはマルグリッドには関係が無かった。彼女にとっては、自分の子供を救うことだけが全てだった。
「ゆりかご」が起動してから一時間が経過した。そろそろ子供の様子を確認しなくては。マルグリッドがそう思って立ち上がった瞬間、
「そこまでだ! 全員動くな!」
扉を開けるけたたましい音と男の叫び声。
「審問官だ!」
研究員の男が叫んだ。
マルグリッドが振り返ると、銃を構えた兵士の姿が目に飛び込んで来た。その数五人。非武装の研究員に抵抗する術は無い。
「全員拘束する。そのまま床に伏せろ!」
なんということだろう。あと少しなのに。なぜ今妨害されなければならないのか。マルグリッドは審問官に逆らって作業を続けようとした。
「早く伏せろ、女。この場で射殺されたいのか」
「くっ……」
「マルグリッド……言うとおりにするんだ」
「イオースィフ!?」
マルグリッドの目が絶望と悲哀で大きく見開かれた。
「まさか、あなたが私達のことを……」
「……そうだ」
イオースィフは心底疲れた表情を浮かべながら、マルグリッドに目を合わすことなく、か細い声で答えた。
「こんな事はもうやめよう。あの子に残された時間を家族で過ごそうじゃないか?」
「……イオースィフ。それじゃ……」
マルグリッドの目から涙がこぼれ落ちる。
「もう無理なんだ。これは運命だ、マルグリッド。 一からやり直そう」
マルグリッドはようやくイオースィフを理解した。彼には己の保身と打算しかない。私にはこの子のいなくなった世界など考えられない。
「……そうはいかないわ。この子には生まれてきた意味があるの。私は絶対にこの子を殺させたりしない」
「動くな、女!」
マルグリッドは隠し持っていた短銃を引き抜いてイオースィフに向ける。だが、引き金を引く前に複数の弾丸が彼女を襲った。マルグリッドの体は弾き飛ばされ、「ゆりかご」へと激突する。倒れた体の下から、真っ赤な血がじわじわと流れ出ていた。
「私の…ク……」
「マルグリッド……馬鹿なことを」
我が子を守らなくては。マルグリッドはふらつきながら立ち上がり、「ゆりかご」の蓋を開けた。その背中に、さらに数発の弾丸が着弾した。衝撃を受け、マルグリッドの体は「ゆりかご」の中へと転がり落ちる。
「ああ……いい子ね。もう少しだから……」
この子を守らなくては。私が、私だけがこの子を守れるのだ。この世界でただ私だけが、この子を守ることができる。
マルグリッドは執念の力によって血に塗れた腕をあげ、「ゆりかご」の蓋を閉める。そして、我が子をその手に抱きしめた。
「馬鹿なマネを」
突入してきた審問官の長が呟いた。射殺したマルグリッドをそのままに、資料の回収と研究員達の拘束を続けさせた。
そしてしばらくすると、傍らにいた若い審問官に命令を下した。
「おい、子供がまだ生きているかもしれない。確認しろ。それとあの男は邪魔だ、もう帰ってもらえ」
黙々と作業を続ける審問官達の間に、「ゆりかご」の前で立ち竦むイオースィフがいた。
「了解しました」
「イオースィフさん。お子さんが生きてるかもしれません。 ご一緒に家まで送らせます」
「……あ、ああ」
一人の兵士が「ゆりかご」の蓋を開けた。そこには血に塗れたマルグリッドと、安らかに眠っている子供の姿があった。
「まだお子さんは生きているようです」
そう言って子供の体に手を伸ばした時、その手を何かが、ひし、と掴んだ。
「ん……な、何だコイツはっ!?」
慌てて「ゆりかご」の中を見ると、先程までそこにいた筈のマルグリッドの姿は無く、代わりに大きな犬のような獣がいた。その獣は兵士の腕に足を乗せている。
「化け物だ! 助けてくれ!」
兵士の叫び声は途中から絶叫に変わった。腕を噛み千切られ、床を這いずって逃げる。しかし、獣がその上に躍り掛かり、兵士の喉笛を食い破った。
「戦闘態勢! 銃だ! 銃を!」
銃を構える兵士達の前に、次々と「ゆりかご」の中から獣が姿を現す。まるで生えてくるように、獣達はその数を増やしていった。
「……殺せ」
女性の呟きが聞こえた気がした。しかし次の瞬間には、兵士も研究員も、その場に立っていた全ての人間が獣達によって蹂躙された。血と肉片が飛び散った研究室の中央で、子供は安らかな寝息を立てていた。
そしてその傍には、一人無傷で残ったイオースィフの姿があった。
「—了—」