R2 古斯塔夫(含日版)

2769年 「始動」

薄暮時代,以改善世界為使命的工程師們,創造出了基因改造人類。

然後,將這當中特別優秀的三人命名為蕾格烈芙、格雷巴赫、梅爾基奧,並將世界的改善與革新託付予他們。

古斯塔夫即是沒有被選中的數百人中的一名。

包含古斯塔夫在內的數百名孩童,都具有與蕾格烈芙他們不相上下的優秀能力。只是,他們的能力,並不是當時的技術者們所需求的,可以站在世界頂點領導眾人的能力。差別就如此而已。



「你們的生命是為了改善世界,並以更好的發展為目標而存在,千萬別忘了」

從懂事以來,像是『父母』般的存在所說的話,都不是該對幼童說的話。但是,這些話卻像烙印般支配著古斯塔夫他們的思想。

十幾年後,就像兩親們說的一樣,被基因改造的孩童們為了改善世界這個使命而持續研究著。

孩童們在各領域出色地活躍著,一點一點地改善著世界。



古斯塔夫為了半年一次的定期發表而來到了統治局。

來到這個定期發表會的,只有與古斯塔夫同時出生的人,這個定期發表對於基因改造人類來說具有非常重要的意義。

在這裡發表的研究只要被統治局認可其實用性後,就可以開始往實用化方向研究,進而拿到大筆預算,網羅優秀的人員在最適合的環境做更深入的研究。

「喲,古斯塔夫,你看起來沒什麼變啊」

早先一步到會場的高階工程師向古斯塔夫搭話。

「嗨,格蘭特、葛爾,你們二個也好像沒什麼變嘛」

「可能是因為才剛保養過的關係吧,看起來比較有精神」

因為古斯塔夫跟格蘭特與葛爾二人的研究領域相近的關係,經常交換情報。由於往來都是用電子郵件或語音通訊的關係,實際上見面只有上一次的定期發表會。

「當然啦。話說,上次給你的情報有派上用場嗎?」

古斯塔夫轉回面向格蘭特。

「托你的福,總算是趕上發表了」

「你們兩個,到會場裡面再繼續聊吧。不快點進去的話,就來不及了」

就在古斯塔夫跟格蘭特聊起提供情報的話題時,葛爾催促道。

三人進到會場裡比鄰而坐。

古斯塔夫這天,發表了關於提高基因治療成功率的嶄新研究。

格蘭特也順利地發表結束回到座位,換葛爾起身準備發表。

幾個發表之後,葛爾的研究發表開始了。

葛爾發表的是將人的神經細胞透過電子信號轉換與網路相互連接的研究,如果決定將它實用化的話,人類將會有更豐富的生活。

這是很少見的革新性的研究內容。



出席者全員發表完畢之後,統治局依序下達了審查結果。

古斯塔夫與格蘭特的研究雖然沒有獲得實用化的認可,但是為了研究更進一步,決定編列預算。

是很不錯的成果。

「只剩下葛爾的結果了」

「你這次的發表內容非常棒,如果決定實用化的話,人類將會發展得更高」

「因為我也不想輸給你們,所以稍微做了一點冒險」

的確,這幾年葛爾的評分並不高。

之前葛爾找古斯塔夫探討時,他就指出原因是葛爾的個性小心謹慎,所以無法放手去做研究。葛爾聽了古斯塔夫的意見之後,提出來的就是這次的研究,古斯塔夫那時的意見成了葛爾的動力。

古斯塔夫這麼一想,就覺得開心。

接著,葛爾的研究審查結果出來了。

「關於葛爾技官的研究,結論是時期尚早」

一反先前的氣氛,沉重的沉默向三人襲來。相反的,周圍的人似乎感到疑問地騷動了起來。

如同古斯塔夫判斷這是個創新的研究,其他的人似乎也這麼認為。

「肅靜。這的確是個創新的研究,但是由於這攸關到一般市民的安全,目前還需要一些時間做判斷」

統治局代表發言的工程師繼續說道。

「這個研究,等現在的文明程度再往上提昇幾個階段之後,應該可以再次接受評價吧。因此,再評價的期限未定」

會場更加騷動了起來,但是,發言的工程師對騷動不予理會。

「因此,葛爾技官的發表結論是無效,下令三個月後發表別的研究,完畢」



全部的審查結束之後,三人迅速離開會場,誰也沒有看互相一眼。

就在古斯塔夫猶豫著是否該說些什麼的時候,葛爾走到了二人的前面轉身過來。

「哈哈,沒辦法。我的東西統治局看不進眼,只是這樣而已」

想強裝出開朗的葛爾的聲音裡,怎麼聽都是無精打采。

「好了,回去吧。你們都還有下一個研究課題要做吧?」

葛爾勉強地微笑後,輕輕地推了古斯塔夫與格蘭特的背。



這是發生在定期發表會結束幾天後的事。

一封附帶語音的電子郵件,寄到了古斯塔夫的研究所兼自宅。

寄件人是葛爾。

加上之前定期發表會的事,讓古斯塔夫有種不祥的預感。

古斯塔夫一邊祈求只是自己多心,馬上將電子郵件打開,聲音自動播放了出來。

『我呢,對於找出自己存在的意義感到累了。當你們看到這封郵件的時候,我應該已經自殺了』

這段留言竟然是遺言,葛爾平靜地留言裡,聽不到幾天前見面時候的溫和口吻。

從留言內容得知,這個電子郵件除了古斯塔夫,也寄給了其他人。

『我似乎是比我自己想像中還要懦弱的人,我已經沒有繼續研究的力氣了』

古斯塔夫的通信機發出尖銳的來電聲與葛爾的聲音重疊。

「喂,古斯塔夫!葛爾發的──」

透過通信機,聽到了格蘭特焦急的聲音。

「我現在正在聽……」

古斯塔夫臉色發白,格蘭特也收到這封電子郵件的話,表示這個電子郵件很可能是,發給了在那個定期發表會裡擔心過葛爾的所有人。

『向這樣懦弱的我伸出手的人,我只能說感謝。謝謝』

葛爾不帶情緒的聲音傳到了耳裡。

『但是,你們和我不一樣,你們絕對不要變得和我一樣,這是我最後的請求』

聲音就在這裡結束了,葛爾的聲音聽起來已經覺悟,到最後都淡淡地說道。



葛爾的死,在古斯塔夫他們收到電子郵件的幾天後傳開來。

葬禮低調地舉行,雖然有備份用的複製人,但是沒有將知覺記錄移轉,而是將複製人全部處理掉了。

是他自己希望,能夠讓複製人不繼承記憶直接死去。

來葬禮的人非常地少,只有收到郵件的古斯塔夫跟格蘭特,以及跟葛爾同研究所的工程師三名左右。古斯塔夫跟格蘭特以外的同期生,都覺得葛爾的死毫無所謂。

葛爾的葬禮結束後,馬上就發表了由哪位高階工程師來承接葛爾的研究。與統治局連名發出的這篇聲明文,寫著統治局是以人類發展為目標的文字。

古斯塔夫認為那是統治局對葛爾的死,草率處理的證據。



「我,開始搞不懂統治局在想什麼,是以什麼為基準來改善世界的」

「真是巧,我也有同樣的想法」

在葛爾的墓前,格蘭特同意古斯塔夫的自言自語。

「統治局所做的事,真的是在改善世界嗎?」

古斯塔夫提出疑問。

「我不知道,但是我覺得葛爾並不是為了這樣自殺才出生的」

雖然葛爾的確是評價不高的高階工程師,但是他比任何人都還要熱心努力要改善世界。

「沒錯,但是不管發明多麼革新的技術,統治局都會排除與他們意見不合的技術,這樣的世界是錯的」

「你想做什麼?」

古斯塔夫正打算離開葛爾的墓,格蘭特覺得奇怪而問道。

「我要去找黃金時代的研究資料,我想知道讓我們誕生的技術者們的想法,然後在真正的意義上來找出改善世界的東西」

古斯塔夫堅定的說完後,格蘭特皺起眉。

「找我們出生的資料說不定會被認定是叛逆的行為啊」

「我已經無法在蕾格烈芙跟統治局之下作為傀儡活著了。我要找出脫離統治局支配的方法……」

「古斯塔夫……。不,我沒話可說了。我現在找不到理由來阻止你」

古斯塔夫看了就此沉默的格蘭特一眼後,就真的從葛爾的墓前離開了。



「─完─」

日文版
2769年 「始動」

薄暮の時代、世界の改善を使命とするエンジニア達は、遺伝子操作を加えた人間を作り出した。

そして、その中でも特に秀でた三人にレッドグレイヴ、グライバッハ、メルキオールの名を与え、世界の改善と革新を託した。

ギュスターヴは、この三人の中に選ばれなかった数百人の内の一人だ。

彼を含めた数百人の子供達は、レッドグレイヴ達に勝るとも劣らない優れた能力を持っていた。ただ、彼等が持っていた能力はその時の技術者達が求めた能力、世界の頂点に立って人々を導くための能力ではなかった。それだけの話だった。

 

「お前達の命は世界を改善し、更なる発展を目指すためのみにある。努々忘れるな」

物心ついた頃から『親』に該当する存在に言われた言葉は、到底幼子に聞かせるようなものではなかった。だが、その言葉は刷り込みのようにギュスターヴ達の思考を支配していった。

十数年後、親の言葉に押されるように、遺伝子操作を加えられた子供達は世界を改善する使命のために研究を続けていた。

子供達は各分野で目覚しい活躍をし、世界は少しずつ改善されていった。

 

ギュスターヴは半年に一度の定例発表のために、統治局へ赴いていた。

この定例発表に集まるのは、ギュスターヴと同じ時に生み出された者達だけだ。この定例発表は、遺伝子操作を加えられた人間にとって非常に重要な意味があった。

ここで発表された研究が統治局に実用性を認められると、実用化に向けた研究を始めることができる。膨大な予算が組まれ、最適な環境と優秀な人員を取り揃えて更なる研究を進めることが可能となるのだ。

「やあ、ギュスターヴ。変わりはなさそうだな」

先に会場に着いていたテクノクラートから声を掛けられた。

「やあ、グラント、ゲイル。二人とも変わりなさそうだな」

「トリートメントを受けたばかりだからね。元気にも見えるさ」

グラント、ゲイルの二人とは、研究分野が近いためか、よく情報交換を行っている。やり取りの全ては電子メールや音声通信で行っているので、実際に会うのはそれこそ前回の定例発表以来だ。

「自明だったな。それよりも、前回提供した情報は無駄になっていないだろうな?」

ギュスターヴはグラントに向き直る。

「お陰様で、何とか発表に間に合ったよ」

「二人とも、続きは会場の中でやろう。早くしないと、話すどころじゃなくなってしまうよ」

提供した情報について話し込みそうになったところを、ゲイルに促される。

三人は会場に入り、隣り合った席に座った。

ギュスターヴはそこで、遺伝子治療の成功率を更に高める画期的な研究を発表した。

グラントもスムーズに発表を終えて席へと戻ってきた。入れ替わりにゲイルが席を立つ。

いくつかの発表の後、ゲイルの研究発表が始まった。

ゲイルは人の神経細胞を通る電気信号を変換し、電子ネットワークと相互に繋ぐ研究を発表した。これの実用化が決まれば、人類は更に豊かな生活を送ることができる。

極めて革新的な研究内容であった。

 

出席者全員の発表が終わった後、順に統治局の審査が下された。

ギュスターヴとグラントの研究は実用化までは認められなかったものの、研究の更なる発展のための予算が組まれることが決定した。

成果としては上々だ。

「あとはゲイルだけか」

「今回の発表は凄かったな。実用化が決定すれば、人類は更に発展する」

「僕も君達に負けていられないからね。少し冒険をしてみたのさ」

確かに、ここ数年のゲイルの評価は芳しくなかった。

それについて相談を受けたギュスターヴは、ゲイルの性質が慎重なために思い切った研究ができていないことが原因であると指摘していた。その指摘を受けて行動を起こした結果が今回の研究であるとしたら、その時の助言は良い方向に働いたということだろう。

それを思うと、ギュスターヴは嬉しくなった。

そして、ゲイルの研究についての審査結果が告げられる。

「ゲイル技官の研究について、時期尚早という結論が出た」

先程までと打って変わって、重い沈黙が三人を襲う。反対に、周囲は困惑したようにざわついていた。

ギュスターヴがこの研究を革新的であると判断したように、他の者も同じような思いだったのだろう。

「静粛に。この研究は確かに革新的ではあるが、それを一般市民が安全に扱えるようになるためには、今しばらくの時間が必要との判断である」

統治局の言葉を代弁するエンジニアは言葉を続けた。

「この研究は、現在の文明レベルが数段上がった後に再評価を受けることになるだろう。為に、再評価の期限は不明」

会場は更にざわついた。だが、エンジニアはそのざわつきを気にも留めない。

「よって、ゲイル技官の発表は無効。三ヶ月後に別の研究の発表を命じる、以上だ」

 

全ての審査が終わった後、三人は足早に会場を後にした。誰も互いの顔を見ようとはしなかった。

ギュスターヴが声を掛けるべきか逡巡していたところ、ゲイルが二人の前に進み出て振り返った。

「はは。仕方がないよ。統治局の御眼鏡に適わなかった、ただそれだけさ」

務めて明るく振舞おうとするゲイルの声色は、どう聞いても精彩を欠いていた。

「さあ、帰ろう。二人とも次の研究課題が待っているんだろう?」

ゲイルは僅かに微笑むと、ギュスターヴとグラントの背を軽く押すのだった。

 

定例発表が終わってから数日のことだった。

ギュスターヴの研究所兼自宅に、一通の音声付き電子メールが届いた。

差出人はゲイルだった。

定例発表の件もあり、薄ら寒い嫌な感覚があった。

気のせいであることを願いながら、ギュスターヴはすぐにメールを開く。自動的に音声が再生された。

『私は、私という存在の意義を見出すことに疲れた。この電子メールを君達が見る頃には、既に私は自死しているだろう』

メッセージはまさに遺言だった。淡々と語られるメッセージに、先日会った時のような柔らかい口調は無い。

言葉の内容から、この電子メールはギュスターヴの他にも何人かに送られているように受け取れた。

『私は、私が思っていたより弱い人間だったようだ。もう私には研究を続ける気概は無い』

音声に重なるように、ギュスターヴの通信機がけたたましく着信を告げた。

「おい、ギュスターヴ! ゲイルから——」

通信機越しに、グラントの焦った声が聞こえてくる。

「いま聞いている……」

青ざめるギュスターヴ。グラントにもメールが届いているということは、この電子メールはあの定例発表でゲイルを気遣った者全員に送られている可能性が高い。

『このような弱い私に手を差し伸べてくれたことに、唯々感謝するしかない。ありがとう』

ゲイルの抑揚のない声が耳に吸い込まれていく。

『だが、君達は私とは違う。私のようには決してならないでくれ。それが私の最後の願いだ』

音声はここで終わった。どこか悟ったかのように、最後まで淡々としていた。

 

ゲイルの死は、ギュスターヴ達が電子メールを受け取った数日後に周知された。

葬儀はひっそりと行われた。バックアップ用のクローンがあったが、センソレコードを移すことはせず、クローンも全て処分することになった。

このまま記憶を引き継がずに死なせて欲しいという、故人の意向だった。

葬儀に訪れた者はひどく少なかった。遺言を送られたギュスターヴとグラント、そしてゲイルが所属していた研究所のエンジニアが三人程。ギュスターヴやグラント以外の同期達は、ゲイルの死をどうでもいいものと判断したようだ。

葬儀が終わってすぐ、ゲイルが行っていた研究を引き継ぐテクノクラートが発表された。統治局と連名で提出された声明文には、統治局と共に人類の発展を目指すといった旨の文章が綴られている。

それは、統治局がゲイルの死を末梢的に扱っていることの証拠のように思えた。

 

「私は、統治局が何を考え、何をもって世界を改善しようとしているのか、わからなくなったよ」

「奇遇だな。私も同じようなことを考えていた」

ゲイルの墓前で呟いたギュスターヴの言葉に、グラントは静かに頷いた。

「統治局の行うことは、本当に世界の改善に繋がるのか?」

ギュスターヴは疑問を呈する。

「わからない。だが、ゲイルはこんな風に自死するために生まれてきた訳ではない筈だ」

確かに、ゲイルは大きな評価を受けたテクノクラートではなかった。だが、誰よりも熱心に世界の改善を進めようと努力していた。

「ああ、その通りだ。だが、どれほど革新的な技術を発明しても、統治局の意向に沿わなければ排除されてしまう。こんな世界は間違っている」

「お前、何をする気だ?」

ゲイルの墓から立ち去ろうとするギュスターヴを、グラントは怪訝な目で見やった。

「黄金時代の研究資料を探す。我々を生み出すに至った技術者達の思惑を知り、本当の意味での世界の改善とは何かを見出す」

ギュスターヴの強い言葉に、グラントは眉を顰めた。

「私達全員の出生に砂を掛ける行為になりかねんぞ」

「このままレッドグレイヴや統治局の傀儡として生きる気は、もう私には無い。統治局の支配から脱する方法を探し出すんだ……」

「ギュスターヴ……。いや、何も言うまい。君を止められる言葉を、今の私は持っていないよ」

それきり黙ってしまったグラントを一瞥すると、ギュスターヴは今度こそゲイルの墓前から立ち去るのだった。

「—了—」