穿著像王子般衣裳的青蛙怪物,以悽慘的姿勢倒在地上。
「已經結束了嗎?真無聊」
史塔夏毫不費力地踢飛滾到腳邊的王冠。被踢飛出去的王冠,就那樣順勢滾落到青蛙怪物出現的湖裡去了。
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「哇,妳的衣服狀況好慘哦」
帶著人偶,音音夢跑到了史塔夏身旁。因為途中換人戰鬥的關係,音音夢的身體保持著大人的樣子。
經過她這麼一說之後,才發現史塔夏的身體,被青蛙怪物的體液弄得非常髒。
掌控史塔夏嗅覺機制的警報不斷響著。不過在異臭的成分中,並沒有包含會對人體或是自動人偶帶來不良影響的成分。
儘管如此,光那個強烈臭味就足以啟動警報了。
「媽媽妳光說我,自己還不是很臭」
音音夢的衣服也被史塔夏擊敗的青蛙怪物波及到,被飛散的體液弄髒了。
「看來得洗洗衣服了」
「可以在那裡的湖洗吧?雖然是剛剛出現青蛙的地方」
史塔夏指著王冠沉落的湖。湖水澄清透明,看起來是非常乾淨的水。
「……那傢伙不要再出現的話就好了」
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在清洗衣服的音音夢身旁,史塔夏穿著衣服就跳進了湖中。
確認黏黏的體液完全洗掉後,史塔夏就上岸了。
史塔夏仔細凝視著神經質般清洗著衣服的音音夢,和無神看著這情況的人偶。
忽然,控制記憶體的晶片瞬間閃過了一個片段。
在很大的游泳池中戲水的自己,跟在一旁擔心看著自己的長髮女人。
應該已經被高精密度的晶片控制住,卻在曖昧不明的記憶深處,找到了龐大紀錄的一點片段。
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漂浮在空中的導都潘德莫尼。因為靠近太陽的緣故,那天的日照相當強烈。
通常靠著裝設在圓球狀濾光器上的氣溫操作裝置,所以潘德莫尼內部的溫度一直都保持在舒適的狀態。但是那天卻因為某種理由,潘德莫尼內部的氣溫變得宛如熱帶國家一樣地炎熱。
跟記憶體一起被保存著的溫度觀測值,是這麼的記錄著的。
「哇!媽媽,涼涼的好舒服喔!」
那是一個很淺的大型泳池。水的冰冷,與炎熱的空氣比起來,讓人感覺非常舒適。
「好了!別太瘋了--」
好像被誰給叫住而轉身。就在那一瞬間,不小心在泳池中腳滑了一下。
接著記憶就中斷了。
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那到底是什麼時候的事呢。
越是試著想要想起詳細情況,記憶的精細度就變得越來越模糊不清。
來到這個東拼西湊的世界後,一直都是維持這個狀況。
不對,搞不好原本就是這樣也說不一定。
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為了想要讓不鮮明的紀錄正常化,開始進行記憶體的復原處理工程。
在跑出好幾次錯誤訊息後,終於成功修復了一部分。
然後再生了復原後的紀錄。
自己在嚎啕大哭。那個長髮女人一邊輕撫著自己的頭,試著要安慰自己的樣子。
女人的臉很不清楚。大概是因為被『哭泣』這樣的感情支配而導致的錯誤吧。
試著想讓女人的臉部變得清楚,所以提高了影像的解析度。那個像被加上馬賽克的女人臉部,因此多少看得出輪廓了。
那張臉,就跟喝了牛奶,變成大人樣子的音音夢長的一樣。
看到那個紀錄後,史塔夏想著,音音夢果然是『媽媽』沒有錯的。
不過這段記憶還真是非常滑稽啊。
炎熱,寒冷,燙,冷,痛,難過,悲傷。應該不會被這些情緒所左右的身體。
可是記憶中,卻清楚地記錄著這麼多的感情。
「怎麼了嗎?」
被音音夢拉了拉衣服的下襬,回神看向那裡的史塔夏。
「什麼事都沒有啊,媽媽」
「所以我就說我不是妳媽媽。到底要說幾次妳才懂!」
鼓起臉頰,否定著的音音夢。
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這曖昧不清的記憶,如果全部都取回後就會變得清楚嗎。
還是會就這樣,保持不清楚的樣子呢。
對史塔夏來說,不管哪一種都無所謂。
不管自己是為了什麼目的被製造出來的,只要能享受這個預測不了未來的世界,那樣就夠了。
如果在這之間記憶能恢復,那就更沒什麼好挑剔的了。只要,這樣就夠了。
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「─完─」
「水辺の夢」
王子のような衣装を身に纏ったカエルの化け物が、無残な姿で地に伏している。
「もうおしまい? つまんないの」
ステイシアは足元に転がってきた王冠を無造作に蹴り飛ばした。勢いのついた王冠は、カエルの化け物が飛び出してきた湖に転がり落ちていった。
「わあ、おようふくがすごいことになってますよぉ」
人形を連れ、ネネムが傍に駆け寄ってきた。戦闘の途中で交代したため、ネネムの体は大きくなっている。
言われてみれば、ステイシアの体はカエルの化け物の体液によって酷く汚れてしまっている。
ステイシアの嗅覚を司る機構にアラートが走る。だが、異臭の成分には、特に人体や自動人形に悪影響を及ぼすものは含まれていなかった。
それでも、その強烈な臭いだけで、アラートを出すには十分であった。
「そういうママも、ひっどい臭い」
ステイシアがカエルの化け物を潰した余波で、飛び散った体液がネネムの服を汚していた。
「おようふくは、あらわないとだめですねぇ」
「そこの湖で洗えるんじゃない? さっきのカエルが出てきたところだけど」
ステイシアは王冠が沈んでいった湖を指差した。湖の水は透き通っており、とても綺麗な水のように思えた。
「……またあいつがでてこないといいんですけどねぇ」
服を洗うネネムの傍ら、ステイシアは服を着たまま湖に飛び込んだ。
べとつく体液が完全に落ちたのを確認すると、ステイシアは岸へ上がった。
神経質そうに服を洗うネネムと、その様子をぼんやりと眺める人形とを、じっと凝視する。
不意に、メモリーを制御するチップに一瞬だけ映像が浮かび上がった。
大きなプール、その中で水と戯れる自分、心配そうに見つめる髪の長い女性。
高度なチップで制御されている筈なのに、曖昧になってしまったメモリーの奥深く、兆大な記録の片隅にそれはあった。
空に浮かぶ導都パンデモニウム。太陽に近いが故か、その日は光が強く照りつけていた。
通常はドーム状のフィルターに取り付けられた気温操作機構により、パンデモニウム内部の温度は快適に保たれている。だが、何がしかの理由で、パンデモニウム内の気温はさながら常夏の国のような暑さになっていた。
メモリーと共に保存されている温度観測値には、そう記録されていた。
「わーい! ママ、冷たくて気持ちいいね!」
水深は浅いが大きなプールだった。水の冷たさは、熱された外気と相まって、とても心地良いものだった。
「こらー! あんまりはしゃぐと——」
誰かに呼ばれたような気がして振り向いた。その瞬間、プールの中で足を滑らせてしまう。
そこで、メモリーは途絶えていた。
あれはいつのことだったのか。
詳細に思い出そうとすればするほど、メモリーはぼやけて精細さを失ってゆく。
継ぎ接ぎだらけのこの世界に来てからというもの、このような調子が続いていた。
いや、元からこんなものだったのかもしれない。
不鮮明な記録を正常化すべく、このメモリーの復元処理を行ってみることにした。
幾度かのエラーを吐き出した後、一部分だけ、復元に成功した。
復元されたメモリーの再生が始まる。
自分は泣き叫んでいた。それを髪の長い女性が自分の頭を撫でながら慰めているようだった。
女性の顔は不鮮明だ。『泣く』という感情に支配された記録のせいだろうか。
何とかして女性の顔を鮮明にしようと、映像の解像度を上げる処理を施した。モザイクがかかったように不鮮明だった女性の顔が、多少ではあるが輪郭を取り戻す。
その顔は、ミルクを飲んで大きくなったネネムにそっくりだった。
このメモリーを見て、やはりネネムは『ママ』で間違いないのだと、ステイシアは思った。
それにしても、このメモリーは酷く滑稽だ。
暑い、寒い、熱い、冷たい、痛い、辛い、悲しい。そんなものに左右される筈のない体。
それなのに、このメモリーにはそんな感情めいたものまで克明に記録されていた。
「どうかしましたかぁ?」
ネネムに服の裾を引っ張られ、意識をそちらに向ける。
「なんでもないよ、ママ」
「だからー、ママじゃないですよぉ。 なんどいえばわかるんですかぁ!」
ぷくう、と頬を膨らませて否定するネネムだった。
この曖昧なメモリーも、全てを取り戻せばはっきりするのだろうか。
それとも、はっきりしないままなのだろうか。
ステイシアにとって、それはどちらでも良いことだった。
自分が何の目的で作られていようと、予測の付かないこの世界を楽しめれば、それで良かった。
その中で己の記憶が取り戻せたら、もう言うことは無い。ただ、それだけだった。
「—了—」
王子のような衣装を身に纏ったカエルの化け物が、無残な姿で地に伏している。
「もうおしまい? つまんないの」
ステイシアは足元に転がってきた王冠を無造作に蹴り飛ばした。勢いのついた王冠は、カエルの化け物が飛び出してきた湖に転がり落ちていった。
「わあ、おようふくがすごいことになってますよぉ」
人形を連れ、ネネムが傍に駆け寄ってきた。戦闘の途中で交代したため、ネネムの体は大きくなっている。
言われてみれば、ステイシアの体はカエルの化け物の体液によって酷く汚れてしまっている。
ステイシアの嗅覚を司る機構にアラートが走る。だが、異臭の成分には、特に人体や自動人形に悪影響を及ぼすものは含まれていなかった。
それでも、その強烈な臭いだけで、アラートを出すには十分であった。
「そういうママも、ひっどい臭い」
ステイシアがカエルの化け物を潰した余波で、飛び散った体液がネネムの服を汚していた。
「おようふくは、あらわないとだめですねぇ」
「そこの湖で洗えるんじゃない? さっきのカエルが出てきたところだけど」
ステイシアは王冠が沈んでいった湖を指差した。湖の水は透き通っており、とても綺麗な水のように思えた。
「……またあいつがでてこないといいんですけどねぇ」
服を洗うネネムの傍ら、ステイシアは服を着たまま湖に飛び込んだ。
べとつく体液が完全に落ちたのを確認すると、ステイシアは岸へ上がった。
神経質そうに服を洗うネネムと、その様子をぼんやりと眺める人形とを、じっと凝視する。
不意に、メモリーを制御するチップに一瞬だけ映像が浮かび上がった。
大きなプール、その中で水と戯れる自分、心配そうに見つめる髪の長い女性。
高度なチップで制御されている筈なのに、曖昧になってしまったメモリーの奥深く、兆大な記録の片隅にそれはあった。
空に浮かぶ導都パンデモニウム。太陽に近いが故か、その日は光が強く照りつけていた。
通常はドーム状のフィルターに取り付けられた気温操作機構により、パンデモニウム内部の温度は快適に保たれている。だが、何がしかの理由で、パンデモニウム内の気温はさながら常夏の国のような暑さになっていた。
メモリーと共に保存されている温度観測値には、そう記録されていた。
「わーい! ママ、冷たくて気持ちいいね!」
水深は浅いが大きなプールだった。水の冷たさは、熱された外気と相まって、とても心地良いものだった。
「こらー! あんまりはしゃぐと——」
誰かに呼ばれたような気がして振り向いた。その瞬間、プールの中で足を滑らせてしまう。
そこで、メモリーは途絶えていた。
あれはいつのことだったのか。
詳細に思い出そうとすればするほど、メモリーはぼやけて精細さを失ってゆく。
継ぎ接ぎだらけのこの世界に来てからというもの、このような調子が続いていた。
いや、元からこんなものだったのかもしれない。
不鮮明な記録を正常化すべく、このメモリーの復元処理を行ってみることにした。
幾度かのエラーを吐き出した後、一部分だけ、復元に成功した。
復元されたメモリーの再生が始まる。
自分は泣き叫んでいた。それを髪の長い女性が自分の頭を撫でながら慰めているようだった。
女性の顔は不鮮明だ。『泣く』という感情に支配された記録のせいだろうか。
何とかして女性の顔を鮮明にしようと、映像の解像度を上げる処理を施した。モザイクがかかったように不鮮明だった女性の顔が、多少ではあるが輪郭を取り戻す。
その顔は、ミルクを飲んで大きくなったネネムにそっくりだった。
このメモリーを見て、やはりネネムは『ママ』で間違いないのだと、ステイシアは思った。
それにしても、このメモリーは酷く滑稽だ。
暑い、寒い、熱い、冷たい、痛い、辛い、悲しい。そんなものに左右される筈のない体。
それなのに、このメモリーにはそんな感情めいたものまで克明に記録されていた。
「どうかしましたかぁ?」
ネネムに服の裾を引っ張られ、意識をそちらに向ける。
「なんでもないよ、ママ」
「だからー、ママじゃないですよぉ。 なんどいえばわかるんですかぁ!」
ぷくう、と頬を膨らませて否定するネネムだった。
この曖昧なメモリーも、全てを取り戻せばはっきりするのだろうか。
それとも、はっきりしないままなのだろうか。
ステイシアにとって、それはどちらでも良いことだった。
自分が何の目的で作られていようと、予測の付かないこの世界を楽しめれば、それで良かった。
その中で己の記憶が取り戻せたら、もう言うことは無い。ただ、それだけだった。
「—了—」