R2 娜汀(含日版)

「接觸」

遠古時代,這個世界有著偉大的魔法師,為了人們發揮自己強大的力量。

但是有一天,無情的傢伙傷害了魔法師。魔法師在復仇的心念驅使下,將自己變成了巨大的蛆。

魔法師復仇成功之後,卻走火入魔失去自我,仍然以這個姿態生活著。

於是,不知道從什麼時候開始,魔法師便被稱做『妖蛆』。

那是經由森林大母、大叔母那代流傳下來的故事,娜汀因為一些原因已經聽過好幾次了。

出生於寶珠森林裡的人,不是成為守護寶珠抵抗妖蛆與外敵的戰士,就是與森林大母一起供奉寶珠,一定要從兩者中選出一個。

但是,要成為侍奉者必需要有特別的才能,所以大部份的人都會成為戰士。

娜汀的雙親也不例外,都是守護森林的戰士。

特別是父親,可說是目前尚未有人可以並駕齊驅的強者。

「我出門了」

英勇父親的手,輕撫著幼小娜汀的頭。

「馬上就回來,乖乖地等我們回來哦」

帥氣的母親緊抱住娜汀。

「嗯,路上小心」

那是娜汀與父母親最後一次的對話。

其他人告訴娜汀,她的雙親都是為了守護森林而犧牲的。

部份逃出寶珠封印的妖蛆襲擊森林的時候,父母為了把妖蛆從森林內引開,把跟寶珠相同的氣息帶在身上,將自身當作了誘餌。

大母告訴娜汀自古以來的傳承,而且她的雙親不畏傳說中的災厄,是英勇的戰士。

森林的戰士、大叔母們也稱娜汀的父母親是非常偉大的英雄。

──但是,就算他們告訴娜汀妖蛆有多危險,對於森林的居民來說有多大的威脅。

──就算面對那妖蛆的雙親,被稱為多麼偉大的英雄。

──對於奪走自己與雙親安穩生活的妖蛆。

──對於沒有選擇自己,而選擇守護森林,導致再也無法回到娜汀身邊的雙親。

「無法原諒」

娜汀只有越發憎恨。

從此娜汀便成了一味追求力量的戰士。

娜汀那義無反顧的態度,在他人眼中以為她是為了想幫雙親報仇的復仇者。

但是對娜汀來說,討伐妖蛆並不是為了報父母親的仇。而是她認為如果可以做到雙親做不到的事,就是對雙親的復仇。

如此追求力量的娜汀,卻對趁著『黑夜』而來的『黑船搭乘者』們,連一根箭都射不中。

他們用壓倒性的力量將森林的戰士打倒,奪走了寶珠。

『黑船搭乘者』們,擁有未知的武力,剎那間橫掃森林的戰士。

「……好強」

娜汀雖然受傷但是幸運逃走,也同時目擊了他們壓倒性的力量。

不過,娜汀的心並沒有感到恐懼。

只是被那力量給吸引。要是能擁有與他們相同的力量,就可以打倒妖蛆。這份可能性讓娜汀心情不禁雀躍了起來。

但是,『黑船搭乘者』們之後再也沒有出現。

還沒等到為了找回寶珠而踏上旅途的艾茵歸來,崩壞的時刻就來臨了。

賭上性命,離開森林的娜汀他們,在沒有寶珠的世界無法阻止妖蛆。

巨大的地震聲響,撼動了曾經是湖畔的地方。越來越強烈的搖動下,誰也無法站好。

有人哭泣。有人笑著。在無計可施的狀況下,大家陷入精神錯亂。

娜汀盯著大家那個樣子,什麼也做不了。

只能看著事情發生的史普拉多就在這不遠處。她跟娜汀一樣,站著不動等待著最後的時刻到來。

眼前開始被大片的黑暗覆蓋,腳下的土地崩碎,全都落入黑色的深淵裡。

紅、橙、黃、綠、藍、靛、紫、紅、橙、黃、綠、藍、靛、紫……

在這一個接著一個、又或是複數顏色不斷緩慢變化的空間裡,讓娜汀感到暈眩。

在分不清上下的空間裡,什麼都做不了。

就在這時,娜汀幻想著,要是有『黑船搭乘者』們那般武力的話。

不曉得究竟這樣過了多久,眼前又陷入一片黑暗。

接下來出現在娜汀眼前的是故鄉的森林。

應該已經被妖蛆吞食殆盡的森林,映照著朦朦朧朧的星光,一片平靜祥和的光景。

在森林深處有個東西在微微地發光。走進森林深處,發現可以靠近那個發光體。

光線中看到一個人影。可以看出來是個少女。娜汀有看過那個身影。

「艾茵?」

娜汀叫出了她的名字。那個被森林大母選上,背負著取回寶珠使命的少女。

但是,各種雜音消失之後,看到的不是那個自信滿滿說「我一定達成使命」的少女。

艾茵正在哭泣。那不是喜悅的眼淚。娜汀也曾經感受過,那是哀傷的眼淚。

她失敗了嗎?

這個想法馬上就被否定了。艾茵的手中有個東西發出微微的光,看一眼就知道那是可以拯救森林、拯救世界的寶珠。

「妳想──嗎?」

少女般的細語聲斷斷續續地傳來,好像是在說什麼解決艾茵哀傷的方法。

「嗯,當然!」

艾茵叫著。

「那就──吧」

然後寶珠的光芒一瞬間增加,包裹住艾茵與森林,以及娜汀。

艾茵視線前方的寶珠清楚地浮現出『黑船搭乘者』其中一人的身影。

娜汀回到了許多顏色不斷變化的空間裡。

「那是……」

究竟是怎麼回事。

艾茵是向寶珠祈求了什麼嗎?寶珠原本就有那種能力嗎?

在大母與大叔母都被黑暗給吞噬的現在,沒有人可以解答這個疑問。

「呵呵呵呵呵。妳想知道嗎?」

突然,聽到了剛剛與艾茵對話的女性聲音。那個聲音一改剛才和艾茵對話時的莊重感,變成了欣賞著故事,單純少女般的聲音。

對於這個聲音,娜汀覺得似乎很早之前就已認識。

「那個是艾茵選擇的」

「啊哈哈哈哈!沒錯!正確答案!我只是在後面推了她一把而已」

看來艾茵有了就算失去故鄉,也想得到的東西。

娜汀只理解了這一點。

「所以,我覺得妳應該也有選擇權才對」

「就算那是與艾茵不同的選擇也可以嗎?」

「那孩子不是自己選了嘛,妳也選就好了啊,很簡單啊」

少女開心似地笑了,對她來說,世界變成怎麼樣,似乎都只是小事。

娜汀明明是第一次遇到這位少女,卻莫名地了解這位少女的事。

「所以呢,妳打算怎麼辦?」

少女逼著娜汀選擇。

從雙親沒有回來的那一日起,娜汀的願望都只有一個。

「不管使用什麼手段,就算世界會毀滅,我也要打倒妖蛆。因此需要力量」

「妳的願望永遠那是那個耶」

「沒錯,我一直都只有這個願望」

娜汀重新祈願,前往擁有能力對抗妖蛆力量的世界,獲得力量與知識。

就算最後,會毀滅『黑船搭乘者』們的世界跟自己的故鄉森林,也無所謂。

「那就走吧,向妳所追求的混沌去」

光的激流隨著少女高昂的笑聲朝娜汀撲面而來,接著慢慢顯現出風景。

出現在娜汀眼前的是,乾淨的金屬建築物,然後在該建築物中全力工作的研究者們。

「─完─」

日文版
「接触」

古の時代、この世界に偉大な魔法使いがおり、その者は超大な力を市井の人々のために振るっていた。

しかしある時、心無き者が魔法使いを害してしまった。復讐の念に取り憑かれた魔法使いは、自らを巨大な蛆の姿に変えた。

復讐を果たした魔法使いは、尚も我を忘れたままその姿で生き続けている。

そして、魔法使いはいつしか『妖蛆』と呼ばれる存在となった。

 

それは大母、大叔母に伝えられる伝承だが、ナディーンはある事情からこれを幾度となく聞かされていた。

 

宝珠の森に生まれた者は、宝珠を妖蛆や外敵から守る戦士となるか、あるいは森の長である大母と共に宝珠を奉る者となるか、いずれかの選択をしなければならなかった。

しかしながら、宝珠を奉る者になるには特別な才が必要であるため、殆どの者は戦士となる。

ナディーンの両親も、この例に漏れず森を守る戦士だった。

特に父親は、並び立つ者は暫く現れないだろうと言われた強者であった。

「行ってくる」

勇ましい父の手が、幼いナディーンの頭を撫でた。

「すぐに帰ってくるわ。いい子にして待っててね」

凛とした母がナディーンを抱き締めた。

「うん。いってらっしゃい」

それが、父母と交わした最後の言葉だった。

 

両親は森を守るために死んだのだ、と言われた。

宝珠の封印から逃れた妖蛆の一部が森を襲った時、妖蛆を森から引き離すために、宝珠と同じ気配を身に纏い、囮になったとのことだった。

大母はナディーンにかの伝承を明かし、両親は伝説の災厄に立ち向かった素晴らしい戦士であったと説いた。

森の戦士や大叔母達も、彼らを勇気ある英雄と称えた。

——だが、妖蛆がどれ程危険で、どれ程森の民にとって脅威かを説かれても。

——その妖蛆に立ち向かった両親が、とても素晴らしい英雄だったと称えられても。

——両親との平穏な暮らしを奪った妖蛆を。

——自分を置いて森を守ることを選択し、二度とナディーンの元に帰ってこなかった両親を。

「ゆるさない」

と、ナディーンは強く憎んだのだった。

 

それからのナディーンは、ひたすらに強さを追い求める戦士となった。

なり振り構わないナディーンの態度は、他人には両親の仇討ちに燃える復讐者と映った。

しかしナディーンにとって、妖蛆の討伐は仇討ちなどではなかった。両親が果たせなかったことを成し遂げることで、両親へ復讐しようと考えていたのだ。

 

そこまでして強さを追い求めたナディーンだったが、『黒い夜』にやって来た『黒いゴンドラ乗り』達に、その矢は一本も届かなかった。

彼らは圧倒的な力で森の戦士達を倒し、宝珠を奪っていった。

『黒いゴンドラ乗り』達は、未知の武力をもって瞬く間に森の戦士達を薙ぎ払った。

「……凄い」

怪我を負ったものの運よく逃れ、同時に圧倒的な彼らの力を目撃したナディーン。

だが、ナディーンの心に恐怖は無かった。

唯々、その力に魅せられた。この者達と同じ力があれば妖蛆を倒せる。その可能性に心を躍らせた。

 

しかし、『黒いゴンドラ乗り』達が再び現れることはなかった。

宝珠を捜しに旅立ったアインが戻るのを待たず、崩壊の時が来てしまったのだ。

 

生き残りを賭け、故郷の森から離れたナディーン達だったが、宝珠無き世界では妖蛆を止めることはできない。

大きな地響きが、かつては湖畔だった場所を揺るがした。徐々に大きくなる揺れに、誰も立っていることすらできなくなった。

泣く者がいた。笑う者がいた。どうにもならない状況に追い込まれ、皆錯乱の最中にあった。

ナディーンはその様子をじっと見ていた。もう何もできないのだ。

すぐ近くに、事の成り行きを見守るしかできないスプラートがいた。彼女と同様に、ナディーンもじっとその場で最後の時を待っていた。

 

視界を大きな暗闇が覆い始めた。足下が崩れ去り、真っ黒な奈落に何もかもが落ちていった。

赤、橙、黄、緑、青、藍、紫、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫……

一つずつ、あるいは複数の色がゆっくりと変化し続けるその空間は、ナディーンを酔わせる。

どちらが上でどちらが下かもわからない空間に、どうすることもできなかった。

こんな時、『黒いゴンドラ乗り』達の武力があれば、とナディーンは空想した。

 

一体どれ程そうしていただろうか。再び視界が真っ黒に染まる。

 

次にナディーンの視界に飛び込んできたのは、故郷の森だった。

妖蛆に飲み込まれた筈の森は仄かな星の光に照らされ、平和そのものに見えた。

森の奥で何かが淡く輝いた。歩いてみると、そこに近付くことができた。

光の中に人影が見えた。少女のようにも見える。ナディーンはその姿に見覚えがあった。

「アイン?」

ナディーンは彼女の名前を呟いた。大母によって選ばれ、宝珠を取り戻す使命を背負った少女だった。

だが、様々な雑音を退けて、「お役目を絶対に果たす」と確言した気丈な少女の姿はそこには無かった。

アインは嗚咽していた。それは歓喜の涙ではなかった。ナディーンも身に染みる程に知っている、哀しみの涙であった。

彼女は失敗したのか?

その考えは即座に否定された。アインの手には淡く光る何かがある。それこそが森を、世界を救う宝珠であると、一目見た瞬間に理解した。

 

「彼を——の?」

少女のような囁き声が切れ切れに聞こえた。アインの哀しみを解決する方法がそこにあると言わんばかりだ。

「ええ、もちろん!」

アインは叫んだ。

「じゃあ、——わ」

すると宝珠の光が増し、アインと森、そしてナディーンを包んだ。

アインの視線の先にあった宝珠には、『黒いゴンドラ乗り』の一員の姿がはっきりと映っていた。

 

ナディーンはたくさんの色彩が変化し続ける空間に戻っていた。

「あれは……」

一体なんだったのか。

アインは何を宝珠に望んだのか? そもそも、宝珠にそのような力があったのか?

大母も大叔母達も闇に飲まれた今、その疑問に答えられる者はいない。

 

「うふふふふふ。知りたい?」

突然、先刻アインと会話をしていた女の声が聞こえてきた。その声はアインに語り掛けていたような荘厳さは無く、物語を楽しむ、只の少女のような声色だった。

この声を、ナディーンは昔から知っているような気がした。

「あれはアインが選択したこと」

「あはははは! そう! 正解! アタシは背中を押しただけ」

故郷が無くなっても仕方がないと思うまでに、アインは何かを欲したのだ。

それだけは理解していた。

「だから、貴女にも選択権はあると思うの」

「アインとは違うことを望む可能性があってもか?」

「あの子は選択したじゃない。貴女もそうすればいい。単純な話よ」

少女は楽しそうに笑った。彼女にとって、世界がどうなるかということは些末なことなのだろう。

初めて出会った筈の少女だったが、ナディーンはこの少女のことを何故か理解できていた。

「で、どうするの?」

少女が選択を迫る。

今も昔も、両親が帰ってこなかったあの日から、ナディーンの願いは唯一つだ。

「どんな手を使っても、例えそれで世界が滅びようとも、妖蛆を倒す。そのための力が欲しい」

「貴女の望みはいつもそれね」

「そうさ。私はずっとこれだけを願ってきた」

改めてナディーンは願う。妖蛆に対抗できる力がある世界へ赴き、力と知識を手に入れる。

その結果、『黒いゴンドラ乗り』の世界や故郷の森を滅ぼすことになっても構わない。

「じゃあ、行きましょうか。貴女が求める混沌へ」

少女の高笑いと共に光の奔流がナディーンを襲い、少しずつ風景を形作っていく。

無機質だが清潔な金属質の建物。そこで精力的に働く研究者の姿が、ナディーンの目に映った。

「—了—」