R2 凱倫貝克(含日版)

3257年 「超越者」

終於說服了父親,將倒下的碧姬媞送進了醫務室。

留在音樂堂裡的凱倫貝克,怒視著表情依舊欣喜的父親。

「請說明一下究竟是怎麼回事。碧姬媞是如此地痛苦,為何您還這樣地高興!?」

「別那麼氣憤。我慢慢說給你聽」

父親說著便開始一邊用誇張的手勢比劃一邊開始敘述。



--在薄暮時代,曾經有一位感嘆人類的進化停滯不前的偉大人物。

--這位人物,為了讓人類能夠提昇至新的境界而發起了某個行動。

--結果,有些人因此獲得了超越人類的能力。

--這個露比娜絲學園,就是為了培育出那些擁有超越人力之者而建立的設施。

--而凱倫貝克你,是能夠將這個力量發揮到極限的,新超人第一號。



「我,不是人類……」

這話雖然很難讓人相信,但是碧姬媞確實被小提琴的音色所傷,倒下了。這就証明了凱倫貝克擁有那被賦予的力量。

「不,你是超人。凱倫貝克,你是作為超越了人類的新人類,有領導眾人的使命」

「父親大人您是認真的嗎?您認為這個傷害碧姬媞或其他人的能力能夠領導眾人?」

凱倫貝克用悲痛的聲音詢問著父親。

「實現大善世界力量是必須的。我們的阻礙很多。需要能擊垮這些阻礙,壓倒性的力量」

「我無法理解」

「我不會要你馬上理解。你今天已經很累了吧,好好休息吧」

父親說完便帶著黑衣男子們離開了音樂堂。

被留下的凱倫貝克茫然地站在原地片刻之後,踏著沉重的腳步走出音樂堂。



隔天,凱倫貝克到了碧姬媞所在的醫院。是學園附設,有一整套完整手術設備的醫院。

凱倫貝克聽說這座醫院是因為學園位於山區,考慮到移送至羅占布爾克的醫院太花時間才設立的。

雖然碧姬媞的意識很清楚,但臉色依舊不太好地躺在病床上。

「碧姬媞,抱歉」

「你不需要道歉的……」

「有哪裡痛,或不舒服的地方嗎?」

「沒事的,不用擔心」

「那就好……」

凱倫貝克之後常常來往醫院探望碧姬媞。

見到日漸恢復元氣的碧姬媞,凱倫貝克也就放心不少。



凱倫貝克開始思考得到的這份力量。一個人在音樂堂裡試著演奏。

「……不行」

但是,弄傷碧姬媞的畫面不時出現在腦海之中,不管怎樣都沒辦法彈奏。凱倫貝克坐在椅子上,想要放鬆一下。

父親的話語在凱倫貝克心中環繞不散。超越者到底是什麼,自己又是什麼時候變成非人類的。

在那之後,就沒和父親說過話了。

自己有著這樣的力量,到底能做些什麼。凱倫貝克拿著名為扎吉的新小提琴持續思考著。

「凱倫貝克大人?」

突然音樂堂的門被打開,碧姬媞緩緩的走了進來。

以她穿著便服的情況來看,應該是剛出院而已。

「碧姬媞!?身體已經沒問題了嗎?」

「是的,醫生已經說沒問題了」

「這樣啊……」

「發生什麼事了嗎?」

「……可以請妳回到妳自己的房間嗎。而且,也不要再跟我見面了會比較好吧」

凱倫貝克說出了自從碧姬媞倒下之後,自己一直在猶豫要不要說出口的話。

要對至今一直都認為是自己最愛的人說出這樣的話,凱倫貝克自己也是相當痛苦。

但是總比傷害她好得多。對自己這樣解釋後,才終於決定要跟她分開。

「為什麼?難道是因為在意那時候的事情嗎?」

「是啊。要是我彈小提琴的時候,妳又倒下了的話……」

「那時候只是音色實在太出色了的關係,有點沒辦法承受而已」

「不是的!我已經不是人類了。不要靠近我這個怪物啊!」

碧姬媞將那時發生的事,說的好像只是個小事故而已。還不如讓她用恐懼的眼神看著自己,心理會有多輕鬆。

明明只要被最愛的人拒絕,連自己的存在都能否定掉的話,就能面對自己早已不是人類的現實。

凱倫貝克,對即便如此都要與自己同在的她感到了煩躁。

「沒關係的。不管是怎麼的樣外型,怎樣的人,您就是您啊」

雖然碧姬媞一瞬間露出了膽怯的模樣,但是很快的就露出了微笑。

接著,溫柔的摸了摸凱倫貝克的頭。

「……碧姬媞,對不起」

「為什麼要道歉呢?您並沒有做出什麼壞事啊」

凱倫貝克垂下頭,任由碧姬媞安撫著。

不能讓善良的她被培養成怪物。必須帶著她逃得遠遠的才行。

凱倫貝克做出新的覺悟。



凱倫貝克偷偷地弄到了學院所在的山岳地帶以及羅占布爾克周遭的地圖。

接著以要前往小提琴工房的名目找來變裝用破舊衣物,以及尋找躲藏時用的住所,一步一步的準備逃脫相關的事物。

剩下的問題就只有說服碧姬媞了。她還完全沒有自己所在的世界是很危險的認知。

即便如此,還是不斷進行著準備,只要她一點頭就能馬上逃離學院。



完全準備好的時候,凱倫貝克將碧姬媞叫來自己的房間。

「這麼晚有什麼事嗎?」

雖然早就已經過了宿舍的熄燈時間,但是以監督生的特權,沒被教師們有什麼追究就喚來了碧姬媞。

話雖如此,還是必須在巡邏的教師過來前說服碧姬媞才行。

「碧姬媞,請仔細聽我接下來要說的事。或許妳會感到驚訝、感到害怕、但還是請妳相信我」

凱倫貝克以相當嚴肅的態度向碧姬媞說明學院的真相。

像是自己不知道被做了什麼而變成了怪物的事,以及自己的父親跟設立學院的人物所共同進行的恐怖計畫。

「什麼。我也會變成怪物嗎……?」

碧姬媞聽完之後,臉色發青的發著抖。

「我不會讓這種事情發生。所以碧姬媞,跟我一起逃離這裡吧」

「凱倫貝克大人……」

碧姬媞凝視著凱倫貝克的雙眼點了點頭。



二人穿上準備好的老舊衣服,從窗口放下繩梯逃出了宿舍。凱倫貝克拉著碧姬媞的手,以很快的速度在深記於腦中的小徑上前進。

走出小徑後到達了流淌在羅占布爾克第十層隔壁以及第九階層隔壁間的河川。從這邊順著河往下走的話,就能進入羅占布爾克中產階級所生活的第十階層了。

露比娜斯1學院是由羅占布爾克的支配階級所管轄。預測上來說,只要進入中產階級的第十階層的話,由於階層隔閡的關係,就算支配階級要追上來也要花上不少時間。

但是這也是一種賭注。支配階級有著莫大的權力。階層的隔閡或許也輕易就能突破。



「碧姬媞,妳還好嗎?」

「嗯,還可以……」

凱倫貝克一邊留意碧姬媞的情況一邊在小徑上前進。沒多久,就到達了可以看到從山岳流下的大河的谷地。

就在到達了這個地方的時候,碧姬媞停下了腳步。

「怎麼了?很快就能離開隔壁,如此一來就能逃脫……」

字句被劃破空氣的聲音給中斷。凱倫貝克的腹部上被刺進了某種銳利的東西。

「這樣可不行啊,凱倫貝克大人」

碧姬媞維持著一如往常的溫柔表情,碧姬媞將自己沾滿鮮血的指尖從凱倫貝克的腹部拔出。

保養的很漂亮的指甲,就像是刀刃般銳利且細長。

「碧……姬媞?……不會、吧」

「是的,沒錯。我也想變得跟您一樣。所以請父親大人幫我了」

注視著以恍惚的表情看著自己指甲的碧姬媞,凱倫貝克的眼裡自然地流下了淚水。

太遲了。碧姬媞早就已經變得跟自己一樣了。後悔的感覺遠遠超過了腹部傷口的痛。

「所以,不需要逃了。為了大善世界,我們以後也會永遠在一起的」

碧姬媞用指甲緩緩的抹去凱倫貝克的眼淚。

「回學院治療傷勢吧。那樣的話,您也一定能理解您父親所說的話了」

「不,行……」

要是在這邊被帶回去的話,自己肯定也會變得像碧姬媞一樣。

這樣的話就再也沒辦法救出她了。凱倫貝克擠出身上的餘力,跳進了河中。

就在被激流沖走的時候,不知道是不是出血跟身體變冷的原因,意識變得越來越模糊。



「─完─」

日文版
3257年 「超越する者」

父を何とか説得して、ようやく倒れたビアギッテを医務室に運ばせることができた。

音楽堂に残ったカレンベルクは、なおも嬉しそうな表情の父に怒りの目を向ける。

「どういうことか説明してください。ビアギッテが苦しんでいるのに、何がそんなに嬉しいのですか!?」

「そう憤るな。順番に説明しよう」

父はそう言うと、大仰な手振りで語り始めた。

 

——薄暮の時代、人間の進化の停滞を嘆いた偉大な人物がいたこと。

——その人物は、人類を新たなステージへと昇華させるために行動を起こしたこと。

——その結果が、超越した力を得た者達だということ。

——このルピナス・スクールは、超越した力を持った者を生み出すために作られた施設であるということ。

——そして、カレンベルクはその力を最大限に発揮することができる、新しい超人の第一号だということ。

 

「僕が、人間じゃない……」

俄には信じがたい話ではあったが、現にビアギッテはバイオリンの音色一つで傷つき、倒れた。それこそが、カレンベルクに与えられた力の証明となっていた。

「否、超人だ。カレンベルク、お前には人を超越した新たな人類として、皆を導く役目があるのだ」

「お父様はビアギッテや他人を傷つける力が人々を導くと、本気でお考えなのですか?」

悲痛な声で父に尋ねる。

「力こそが善き世界を作るために必要なものなのだ。我々には障害が多い。それを叩き潰す圧倒的な力が必要なのだ」

「僕にはわかりません」

「すぐに理解しろとは言わん。今日は疲れたろう、もう休め」

父はそれだけ言うと、黒服を連れて音楽堂を去った。

残されたカレンベルクはしばし呆然とした後、重たい足取りで音楽堂を立ち去った。

 

翌日、カレンベルクはビアギッテのいる病院を訪れた。スクールに併設されており、手術設備などが一通り整った病院である。

スクールが山岳地帯にあるために、ローゼンブルグの病院への搬送時間が懸念されたために作られたとカレンベルクは聞いていた。

ビアギッテの意識ははっきりとしていたが、まだ青い顔をしてベッドに横たわっていた。

「ビアギッテ、すまない」

「謝ることはないですわ……」

「どこか痛いとか、苦しいとかはないかい?」

「大丈夫です」

「よかった……」

カレンベルクは何度も病院に通い、ビアギッテを見舞った。

日々元気を取り戻していくビアギッテを見て、カレンベルクは安堵した。

 

カレンベルクは自分が手に入れたという力について考え始めていた。音楽堂で一人、カレンベルクはザジを手に演奏を試みる。

「……だめだ」

だが、ビアギッテを苦しめた場面がありありと思い出されてしまい、どうしても弾く事ができずにいた。音楽堂の椅子に座り、カレンベルクは気を落ち着かせることにした。

父の言葉がカレンベルクの心に重く圧し掛かっていた。超越する者とは何なのか、自分はいつ人間でなくなってしまったのか。

あれ以来、父とは会話をしていなかった。

自分にどういった力があって、何ができるのか。ザジと銘打たれた新たなバイオリンを手に考え続けていた。

「カレンベルク様?」

不意に音楽堂の扉が開いて、ビアギッテがゆっくりとした足取りで入ってきた。

私服姿のところを見ると、退院してきたばかりと見える。

「ビアギッテ!?身体はもういいのかい?」

「はい、お医者様からもう大丈夫だろうと」

「そうか……」

「どうかしましたか?」

「……部屋に戻ってくれないか。それに、もう僕とは会わないほうがいいだろう」

ビアギッテが倒れてから言うか言わまいか、ずっと悩んでいたことを口にした。

今までずっと最愛の人として想ってきた相手にそれを告げるのは、カレンベルク自信も辛かった。

だが彼女を傷つけるよりはいい。自分にそう言い聞かせて、決別をすることを決めていた。

「なぜ?まさか、あの時のことを気にしていらっしゃるの?」

「ああ。僕がバイオリンを弾いて、また君があんなことになったら……」

「あの時は素晴らしい音色にちょっと圧倒されてしまっただけです」

「違う!僕はもう、人間じゃない。化け物なんかに近づくんじゃない!」

あの時のことを、まるで軽い事故のように言ってのけるビアギッテ。いっそ恐怖の目で見られた方が、どれほど気が楽か。

最愛の人から拒絶され、自身の存在を否定されれば、自分が人ならざる者であるという現実をいやでも直視できるのに。

カレンベルクは、それでも共にあろうとする彼女に苛立ちを覚えた。

「大丈夫ですわ。どんな姿でも、どんな人でも、貴方は貴方ですもの」

一瞬怯んだ様子を見せたビアギッテだったが、少しの間を置いて微笑んだ。

そうして、カレンベルクの頭を優しく撫でた。

「……ビアギッテ、すまない」

「なぜ謝るのですか?貴方は悪いことなど、何もしていませんわ」

カレンベルクは俯き、ビアギッテにされるがままになった。

優しい彼女を怪物になどしてはならない。彼女を連れてどこか遠くへ逃げなければ。

カレンベルクは新たな覚悟を固めたのだった。

 

カレンベルクはスクールがある山岳地帯とローゼンブルグ周辺の地図を密かに入手した。

次にバイオリン工房に出向くという名目で扮装用の襤褸着を調達し、当座凌ぎで隠れるための寂れた宿も探し、少しずつ脱出に関する手筈を整え始めた。

残る問題はビアギッテの説得だった。彼女はまだ自分が置かれている世界が危ういものであるとは微塵も思ってもいない。

それでも、彼女が頷けばすぐにでもスクールから脱出できるよう、準備を進めていった。

 

準備が完全に整ったとき、カレンベルクはビアギッテを自室に呼び寄せた。

「こんな時間にどうされました?」

寄宿舎の消灯時間はとうに過ぎていたが、監督生としての優遇か、教師らに何も咎められることなくビアギッテを呼ぶことができた。

とは言え、見回りの教師が巡回に来るまでにはビアギッテを説得しなければならなかった。

「ビアギッテ、今から言うことをよく聞いて欲しい。驚くかもしれない、怖いかもしれない、それでも僕を信じて欲しい」

カレンベルクは真剣な態度でビアギッテにスクールの実体を告げた。

自分は何かしらの処置を施されて化け物のようになってしまったこと、自分の父親がスクールを作った人物と共に恐ろしいことを計画していること。

「そんな。私も怪物になってしまうの……?」

ビアギッテは話を聞き終えると、青い顔をして震えた。

「そんなことは僕がさせない。だからビアギッテ、一緒にここから逃げ出そう」

「カレンベルク様……」

ビアギッテはカレンベルクの目を見つめて頷いた。

 

二人は用意した襤褸服を纏うと、窓から縄梯子を降ろして寄宿舎から脱出した。カレンベルクは頭に叩き込んでおいた獣道を、ビアギッテの手を引きながら早足で進んでいく。

獣道を進めばローゼンブルグの第十階層隔壁と第九階層隔壁の間に流れる堀に通じる川に出る。そこから川を下れば、ローゼンブルグの中流層が暮らす第十階層へ抜けられる。

ルピナス・スクールはローゼンブルグの支配層が管轄している。中流層の第十階層に入り込んでしまえば、隔離された階層が仇となって、支配層でも追うには時間が掛かると予測がついた。

しかしそれは一種の賭けでもあった。支配層は強大な権力を持っている。階層の壁など容易く破る可能性も大きかった。

 

「ビアギッテ、大丈夫かい?」

「えぇ、なんとか……」

カレンベルクはビアギッテの様子を気に掛けながら獣道を進んだ。漸く、山岳から流れる大きな川が見える谷に辿り着いた。

その場所に着いた途端、ビアギッテの足が止まった。

「どうしたんだい?もうすぐ隔壁に出る、そうしたら脱出もすぐ……」

言葉は空を切る音で中断される。カレンベルクの腹に鋭利な何かが突き刺さっていた。

「いけませんわ、カレンベルク様」

いつもの優しげな表情のまま、ビアギッテはカレンベルクの腹から血塗れた指先を引き抜いた。

綺麗に整えられていた爪が、刃物のように鋭く伸びていた。

「ビア……ギッテ?……まさ、か」

「ええ、そうです。私も貴方と同じになりたくて。お父様にお願いしましたの」

恍惚の表情で自身の爪を見るビアギッテに、カレンベルクの目から自然と涙がこぼれた。

間に合わなかった。ビアギッテは既に自分と同じものになってしまっていた。その悔しさは腹の傷の痛みさえも凌駕していた。

「だから、逃げる必要なんて無いんです。善き世界のために、私たちはこれからもずっと一緒ですわ」

ゆっくりとカレンベルクの涙を爪で拭う。

「スクールで傷を治してもらいましょう。そうすればきっと、貴方のお父様の言うこともおわかりになりますわ」

「だめ、だ……」

ここで連れ戻されては、自分もビアギッテと同じようになるという確信があった。

そうなればもう二度と彼女を救うことはできない。カレンベルクは最後の力を振り絞って、川へと飛び込んだ。

急流に流されるうちに、出血と身体の冷えが原因か、意識が遠くなっていった。

「—了—」

  1. 翻譯的錯字。應為露比娜絲。