R2 碧姬媞(含日版)

3365年 「魔」

碧姬媞接受PrimeOne首領德拉克魯茲的包養,過了一些日子了。

德拉克魯茲隨時都帶著碧姬媞一同行動,為了將她的美貌現給其他幹部看。

但還無法掩蓋她曾經是發瘋而死的幹部情婦這個過去,碧姬媞還是常常遭受懷疑與厭惡的視線。

「那個女人,已經把首領給迷的團團轉了」

「笨蛋,要是又被其他幹部得手看看。到時又變成第二個蓋伊」

「首領不要變成像那樣就好了……」

像這樣的竊竊私語,不停地傳到碧姬媞的耳裡。

「妳只要專心變美麗就可以了。除此之外的事都不需要在意」

每當碧姬媞聽到這些侮辱的話,德拉克魯茲都會這樣安撫她。



「再開快點!這樣下去會被追上的」

聽得到槍聲,碧姬媞與德拉克魯茲乘坐的車子,為了盡可能從槍聲處遠離,用高速奔馳穿過小路。

「馬上就可以到達士兵們待命的地方了,請再忍耐一下」

在某一天聚會的回程上。碧姬媞與德拉克魯茲一起遭受到其他組織的襲擊。

雖然不知道是哪個組織。但是由於爭奪地盤是他們的家常便飯,光憑會襲擊他們這一點,很難判斷是哪個組織所為。

車子的後輪可能是被打中了,車子歪斜一邊。司機拼死地操控方向盤,雖然道路都被堵住了,但總算平安停在小路裡。

「可惡,他們還真敢做啊!首領、碧姬媞大人,真是非常抱歉」

「道歉等活著回去再說。現在要馬上離開這裡」

聽得到從大路上傳來車子的引擎聲。追兵已經來到很靠近的地方了。

司機與護衛保護碧姬媞與德拉克魯茲下車。碧姬媞突然覺得眼前發生的事,似乎似曾相識。

過去,也曾經像這樣從某種事物逃走,然後似乎也遇到過同樣的狀態。

「請等等。這台車,已經不能再用了對吧?」

「要直接丟在這裡了,怎麼了嗎?」

「那將它炸掉吧」

「太亂來了。要是那麼做的話,會被他們發現我們的所在地的」

「所以才要這麼做的。這條路一直走到底只會到達我們這邊士兵待命的地方。只要這裡變成了火海,敵人就不會再來追我們了不是嗎?」

碧姬媞記得這周圍的地理位置。德拉克魯茲為了預防萬一交給她的地圖,已經都記在腦裡了。

德拉克魯茲看著碧姬媞的眼睛。碧姬媞用認真的神情回看他。

「知道了,巴拉基你先走在前面確保我們的安全。貝姆你在車上點火後馬上跟上」

「知,知道了!」

「走吧!」

巴拉基打了個暗號後,碧姬媞與德拉克魯茲就以小跑步往小路裡前進。看到司機貝姆從後面跑來的同時,從車子的那個方向傳來一陣熱風。

之後敵人也沒有追過來,平安回到了名下的一棟房子內。



過幾天後,由幹部的報告中得知,這次襲擊事件是爭地盤打輸的Pantoliano成員,為了報仇才策劃的。

「碧姬媞,這個給妳」

事情過了沒多久,德拉克魯茲送給碧姬媞一個包裝精美的箱子。

「好漂亮的手拿鏡,謝謝您,首領」

「這是之前的謝禮」

「我會珍惜的」

因碧姬媞的機靈得救的德拉克魯茲更加地信賴碧姬媞了,不只是隨時帶著她移動,甚至連工作中都讓她待在身旁。從此,碧姬媞不只是情婦還是愛人的角色而已,甚至成了德拉克魯茲的秘書,開始與PrimeOne有了更密切的關係。



有一天,碧姬媞看到PrimeOne資金洗白計劃中,有一部分的數字被竄改過了。

「首領,我有事想商量」

「長話短說」

「卡巴內爾負責的資金洗白資料中發現有遭人竄改過。我已經把資料整理好了」

「放在那邊,我等等再看」

碧姬媞將資料整理好,放在德拉克魯茲的桌邊。本來這件事應該就此結束的。



數星期後。在自己房間休息的碧姬媞被德拉克魯茲緊急叫出去。

碧姬媞感覺到與平常不同的緊張氣氛,將手拿鏡跟護身用的槍放進小包裡,然後將護身符的兔子玩偶藏好後,就前往了德拉克魯茲的辦公室。

在辦公室裡的是憤怒到極點的德拉克魯茲,與站在一旁露出下流笑容的卡巴內爾。

幹部卡巴內爾從一開始就不喜歡碧姬媞這個存在,每次德拉克魯茲要派事情給碧姬媞時總是表示反對。

「碧姬媞,之前那個資金洗白的事……。是妳做的嗎?」

「您在說什麼,我不懂」

「別裝傻了,竟然打算陷害我,證據都在這裡了!」

卡巴內爾在旁翻著些什麼資料,雖然看不到內容,但應該是寫著對碧姬媞不利的內容吧。碧姬媞的直覺告訴自己,是這個男人要陷害她。雖然沒有證據,但卡巴內爾那神經質的笑容就已經強烈地說明了事實。

「不是的」

「真是倔強的女人啊。就老實承認如何?至少還可以饒妳一命」

「首領,要怎麼處置她?」

「殺了她,才剛讓她做些像秘書的事就給我搞出這種烏龍。到底是什麼樣的女人啊」

碧姬媞的本能告訴她,不逃不行。這裡只有卡巴內爾跟德拉克魯茲兩個人而已。

碧姬媞從小包中拿出槍,向卡巴內爾跟德拉克魯茲的腳邊開槍。瞬間拉遠與兩人的距離後,趁機逃出了房間外。

「別讓她逃走!給我追!」

卡巴內爾的聲音響徹走廊,可能早已準備好了,士兵們馬上朝這邊跑來。

碧姬媞躲進一個沒有人在用的小房間,從裡面的窗戶往外看。確認沒人在後,將長裙撕開到大腿為止,簡單地做了條繩子。用這個繩子綁在窗角,逃到了房子外面。

然後躲在草叢裡往後門前進,舉著槍環顧周圍。

但是,踩斷小樹枝的聲音被人發現了。

「找到了!貝姆,快點」

「好,我知道了」

找到碧姬媞的是巴拉基與貝姆。

巴拉基一找到碧姬媞就將有帽子的外套蓋到她身上。

「上次妳救了我們的命,那個恩就在這裡還妳」

「快走吧!我們什麼都沒有看到」

而且貝姆還給碧姬媞一個小包包。

碧姬媞點頭示意後,就那樣從後門離開屋子往外跑了。



「找到了!在那邊!」

屋子外雖然很多地方可以藏身,但同時也派有很多士兵在看守,他們都眼睛發紅地在尋找碧姬媞。

最終,碧姬媞還是被追到了一個沒人煙的倉庫,被一位士兵給拘束住。

「給我安靜點」

「放開我!」

碧姬媞一抵抗,兔子玩偶就從包包裡掉出來。為了撿兔子玩偶,碧姬媞咬了士兵的手腕想要逃開。

「唔!?妳這個瘋女人!」

士兵對著去撿玩偶的碧姬媞扣下了板機。

子彈命中了碧姬媞的腹部。同時,也聽到了什麼東西裂開的聲音。衝擊與痛楚讓碧姬媞縮起身體。

此時只剩下火藥的味道與寂靜。

「誰,誰叫妳要抵抗!本,本來首領還可憐妳說要把妳交給我們任意處置的!!」

士兵一個人亢奮地叫喊著,打破了沉默。

『妨礙我睡眠的,是何人。』

突然間,士兵聽到從地底下傳來低沉的聲音。

「還,還活著嗎!?」

士兵對著動也不動的碧姬媞開了好幾槍。

雖然聽得到槍聲。但是子彈都在碰到碧姬媞的身體之前停了下來。

『就是你嗎?要傷害我主人的人』

士兵的眼前站著一個有著異形外貌的人。像骷髏一樣的臉,頭上長著角。而且寬廣到可以覆蓋士兵的廣大批風裡,有著無數發光的紅色眼睛。

「惡,惡魔……」

那句話是最後的聲音,倉庫回到寂靜。

過沒多久,其他士兵來到了那個倉庫。那邊剩下的,只有帶著驚恐表情死去的士兵遺體而已。



「─完─」

日文版
3365年 「魔」

ビアギッテがプライムワンのボス、デラクルスに身請されてから暫くの時間が過ぎていた。

デラクルスはいつもビアギッテを同伴者として連れ歩き、その美貌を幹部達に見せ付けるようにしていた。

だが、錯乱して死んだ幹部の情婦だったという過去が覆る筈もなく、ビアギッテは常に懐疑と嫌悪の視線に曝されていた。

「あの女、うまいことボスに取り入ったな」

「馬鹿野郎、下手に他の幹部に渡ってみろ。それこそガイの二の舞だ」

「ボスもああならなきゃいいがな……」

このような囁き声が、絶えることなくビアギッテの耳に届いていた。

「お前は美しくなることだけを心掛けろ。それ以外は気にする必要はねぇ」

侮蔑の言葉がビアギッテに聞こえる度に、デラクルスはそう慰撫していた。

 

「もっとスピードを出せ! このままじゃ追いつかれる」

銃声が聞こえてきた。ビアギッテとデラクルスが乗った車は、銃声から遠ざかるように寂れた路地を猛スピードで走り抜ける。

「もうすぐソルジャー達が待機する場所に出ます。あと少し辛抱してください」

ある日のパーティの帰路だった。ビアギッテはデラクルス共々、他組織からの襲撃を受けていた。

どこの組織の者かはわからなかった。縄張り争いは日常茶飯事であったため、襲撃を受けただけで見当を付けることは困難であった。

車の後輪に弾が当たったのか、車が傾いた。運転手の必死のハンドル捌きもあって、道を塞ぐようにしてだが、何とか路地裏に停止した。

「クソッ、やってくれたな! ボス、ビアギッテ様、申し訳ありません」

「謝罪は生きて戻ってからだ。今すぐここから移動するぞ」

大きな路地から車のエンジン音が近付いてくる。追っ手はすぐそこまで迫ってきていた。

運転手と護衛がビアギッテとデラクルスを庇うように車外へ出る。ビアギッテはその光景を見た瞬間、フラッシュバックのようなものに襲われた。

嘗て、こうやって何かから逃げ、似たような場面に遭遇したような。そんな気がした。

「待ってください。この車、もう使えないのですね?」

「ここに捨てていく。それがどうした」

「爆破しましょう」

「無茶です。そんなことをすれば、こちらの居場所が知られてしまう」

「だからこそです。この路地に続く道はこちらのソルジャーの待機場所にしか繋がっていません。ここが火の海になれば、敵はこれ以上私達を追えなくなるのでは?」

ビアギッテは周辺の地理を覚えていた。何かあった時のためにとデラクルスに渡されていた地図を、頭の中に叩き込んでいたのだった。

デラクルスはビアギッテの目を見つめた。ビアギッテは真剣な眼差しでデラクルスを見つめ返す。

「わかった。バラッキは先導して安全を確保。ベーム、お前は車に火を点けてから来い」

「わ、わかりました!」

「行きます!」

バラッキの合図と共にビアギッテとデラクルスは小走りに路地を進んでいく。運転手のベームが後ろから走ってくるのが見えたと同時に、車のあった方角から熱風が吹き付けてきた。

その後は敵が追ってくることもなく、無事にプライムワンが所有する邸宅の一つに戻ってくることができた。

 

後日、この襲撃事件は縄張り争いに負けたパントリアーノの構成員が報復として仕組んだものであったと、幹部から伝えられた。

「ビアギッテ、これをお前にやろう」

事件から少しして、ビアギッテはデラクルスから綺麗な包装を施された箱を受け取った。

「素敵な手鏡ですわ。ありがとうございます、ボス」

「この間の礼だ」

「大事にいたします」

機転によって自身の危機を救ったことで、デラクルスはビアギッテを尚更に信頼するようになり、単に連れ歩くだけでなく、仕事中も彼女を傍に置くようになった。そのため、ビアギッテは情婦・愛人としての役割だけでなく、デラクルスの秘書としてプライムワンの奥深くに関わるようになっていった。

 

ある日、ビアギッテはプライムワンの資金洗浄計画の一部に不審な数字の改竄があるのを発見した。

「ボス、少しご相談が」

「手短に頼む」

「カバネルの担当している資金洗浄に不審な改竄を見つけました。資料はまとめてあります」

「そこに置いてくれ。あとで見る」

ビアギッテはすぐに見られるよう資料を整え、デスクの脇へと置いた。それでこの件は終了する筈だった。

 

数週間後の深夜、自室で休んでいたビアギッテはデラクルスに緊急の要件で呼び出された。

普段とは違う緊張した雰囲気に只事ではないと感じたビアギッテは、ポーチに手鏡と護身用の銃、そしてお守りのウサギのぬいぐるみを忍ばせてデラクルスの執務室へと向かった。

執務室では隠しきれない憤怒を湛えた表情のデラクルスと、下碑た笑みを浮かべているカバネルがいた。

幹部の一人であるカバネルはビアギッテの存在を初めから快く思っていない人物で、ビアギッテがデラクルスから何かを任される度に、反対の声を上げ続けていた。

「ビアギッテ、こないだの資金洗浄の件だが……。あれはお前がやったんだな?」

「何を仰っているのか、わかりませんわ」

「しらばっくれるんじゃねぇ。オレを嵌めようとしやがって。証拠は全部あがってるんだよ!」

デラクルスの横でカバネルが何かの書類をひらひらと振っていた。内容は読み取れなかったが、何かビアギッテが不利になるようなことが書かれているのだろう。

この男に嵌められた。ビアギッテはそう直感した。根拠は無いが、カバネルの粘着質な笑い顔が、そうであると強く言っているような気がした。

「違います」

「強情な女だ。素直に認めれば、殺さない程度の恩情を掛けてやったものを」

「ボス。どうします?」

「殺せ。秘書の真似事をさせた途端にこれとはな。とんだ女だ」

逃げなければ。ビアギッテは本能的にそう感じていた。まだこの場にはカバネルとデラクルスの二人しかいない。

ビアギッテはポーチから銃を取り出すと、カバネルとデラクルスの足元に向かって発砲する。咄嗟に二人がビアギッテと距離を取った隙に、ビアギッテは部屋の外へと出た。

「逃がすな! 追え!」

カバネルの声が廊下に響く。すでに手配されていたのだろうか、ソルジャー達がこちらに向かって駆けてくる。

ビアギッテは誰も使わない小さな部屋に入り込むと、そこの窓から屋敷の外を窺った。誰もいないことを確かめると、ロングスカートの裾を太ももまで破って簡単なロープを作り、それを窓枠に括り付けて屋敷の外へと出た。

茂みに隠れて裏門の方へ進み、銃を構えて周囲に注意を払う。

しかし、小枝を踏み締めた音で見張りに気付かれてしまった。

「いたぞ! ベーム、急げ」

「よし、わかった」

ビアギッテを見つけたのはバラッキとベームであった。

バラッキはビアギッテをみつけるや否や、彼女にフードの付いた外套をすっぽりと被せた。

「あの時、アンタには命を救ってもらった。ここで借りを返す」

「行け! オレ達は何も見ていない」

更にベームはビアギッテに小さな鞄を手渡した。

ビアギッテは小さく頷き、そのまま裏口から屋敷の外へと走り出した。

 

「いたぞ! あっちだ!」

屋敷の外は隠れる場所が多かった。だが同時に配備されているソルジャーの数も多く、彼等は血眼になってビアギッテを見つけ出そうとしていた。

ついにビアギッテは寂れた倉庫へと追い詰められ、ソルジャーの一人に拘束されてしまった。

「おとなしくしろ」

「離しなさい!」

ビアギッテが抵抗すると、鞄からウサギのぬいぐるみが零れ落ちた。それを拾おうと、ビアギッテはソルジャーの腕に噛み付いて振り解こうとする。

「っ!? このアマ!」

ぬいぐるみを拾おうとするビアギッテに、ソルジャーが銃の引き金を引いた。

銃弾がビアギッテの腹部に命中する。同時に、何かが割れる音がした。衝撃と痛みにビアギッテは仰け反る。

硝煙の匂いと静寂だけが残った。

「て、抵抗なんかするからだ! お、俺達で好きにしていいとボスが情けを掛けてくださったというのに!!」

沈黙を破って、ソルジャーは興奮したように一人で喚きだした。

『我が眠りを妨げるのは、何者ぞ』

不意に、地面の底を這うような声がソルジャーの耳に届いた。

「ま、まだ生きてやがるのか!?」

ソルジャーは動かぬビアギッテに向けて何度も引き金を引いた。

銃声は確かに響いた。だが、銃弾はビアギッテに当たる寸前で停止していた。

『お前か。我が主となる者を傷つけるのは』

ソルジャーの眼前に異様な風体の人型が立っていた。髑髏のような顔、額から生えたうねる角。そして、ソルジャーを覆うほどに広がった外套に光る無数の赤い瞳。

「あ、あ、悪魔……」

その呟きを最後に、倉庫に静寂が戻った。

程なくして別のソルジャーがその倉庫にやって来た。そこに残されていたのは、恐怖に引き攣った表情のまま息絶えたソルジャーの遺体だけだった。

「—了—」