「快逃!」
「警備隊到哪去了!?」
「媽媽~!!」
「快點!」
四處遍布著男女老少的叫喊聲。
這時候的諾艾菈,與大家一樣在逃跑著。
那天,諾艾菈在大型購物中心的露天咖啡館裡。
坐在店外的椅子上,一邊喝著咖啡一邊看著來來往往的行人。
親密走著的夫婦、帶著孩子的父母、年輕的情侶。疲累的人,看起來很高興的人,看似忙碌的人。
這些各種情感的流動,就如同每個購物中心都看得到的景象。
看膩了行人的諾艾菈,開啟了行動裝置閱讀著新聞。
報導上寫的是差不多二年前某個地方,在潮流店工作的自動人偶某天夜裡消失無蹤的相關事件
──雖然這個事件被懷疑與最近震驚世間的自動人偶暴動事件有關連,但是事件的當事者也就是老闆,現在住院中,無法取得事件更進一步的詳細情況。已確認除了這個事件之外也有多件自動人偶失蹤,一連串的事件正一同追查中──。
大概內容是這樣的報導。
「與暴動事件的關係,嗯……」
諾艾菈的自言自語,被購物中心的喧鬧聲給打住了。
主人與自動人偶這樣常見的組合經過了剛讀完新聞的諾艾菈的眼前。
自動人偶抱著行李跑,主人在後頭追著。
視線不經意地跟著他們。就在前進了大約10阿爾雷的地方,那個自動人偶突然停下腳步。
主人馬上住意到了吧,對著自動人偶不知道說了什麼。
下個瞬間,看到自動人偶突然毆打起主人。
主人發出叫喊聲並呼喊著購物中心常駐的警衛。
「又來了嗎」
「好可怕喔。快走吧」
不安的聲音此起彼落。
感覺到危險的人們,快速地離開了購物中心。
數年前,一具老舊的自動人偶暴走。當時被認為只是單純的老舊與故障。
但是就這樣,從老舊的自動人偶開始的『那個』,漸漸地波及到新型的自動人偶。
統治局並沒有袖手傍觀,已經以極快的速度探究人類生活必需的自動人偶暴走原因以及尋找對策。
但是,自動人偶暴走數量的增加速度遠比統治局快。
『那個』的原因依舊不明,挑起了人們的不安。
暴走事件與日俱增,終於,在羅占布爾克第十二階層蘇巴斯地區發生了自動人偶暴動事件。
這時大家終於察覺到異常。
但是,自動人偶在人們生活裡已成了不可或缺。就算慌慌張張地廢棄自動人偶,自己也無法取代自動人偶的勞動力。
購物中心的現場一瞬間就擠滿了人群。缺少危機意識的人到處都有。
「這位客人,請進來這邊」
店員對看著現場情況的諾艾菈搭話。
乍看之下,雖然跟人沒有什麼不同,但是手腕的關節,證明了這個店員是自動人偶。
「喔,也是。只要進去就好了嗎?」
「是的,真的很不好意思」
諾艾菈的視線看到警衛神情凝重的跑過。也看到鎮壓暴動的重裝自動人偶。
「沒問題吧……」
看著這麼嚴重的陣仗,諾艾菈再次自言自語著。
以靜靜的,但是就連統治局都不能完全控制住的速度,『那個』逐漸侵略著。
接著,『那個』就突然張開了血盆大口。
暴走的現場響起沉重的聲音,人群中開始傳出悲鳴。
諾艾菈停下走入店內的腳步,觀察起現場的樣子。
「喂,那邊那個!?到底怎麼了!?」
「很危險!趕快逃啊」
是人類的警衛吧。好幾個人這樣喊著。
因為人群跟警衛的聲音發覺有危險的人們,開始朝購物中心的出口跑去。
當人群散開之後,諾艾菈的眼前是一副令人感到衝擊的景象。
為了鎮壓暴動的自動人偶跟在附近工作的自動人偶,為了掩護暴走的自動人偶而攻擊著人類。
「……到底是怎麼回事?」
諾艾菈退後了一兩步。就撞到了背後的店員。
「喔啊、喔嘎啊、沙、沙沙沙」
自動人偶店員明顯也很奇怪。
「噫……!」
看了看周遭,其他的自動人偶店員跟自動人偶隨從們也都做出怪異的行動。
店內一陣吵雜。其他的客人也注意到自動人偶的異常了。
諾艾菈反射性地從店面入口跳開。
購物中心各處都傳來破壞聲以及人的悲鳴。再加上逃跑的人塞滿通道,比剛剛的景象更是恐怖。
「為什麼,到底是……」
諾艾菈一邊感到困惑,一邊隨著倉皇逃跑的人們,從暴走的自動人偶般逃跑了起來。
雖然總算是逃到了購物中心外面,但是在外面等待的,果然還是暴徒化的自動人偶。
就在心想無路可逃時,從周圍傳出了破壞自動人偶的聲音。
「救援來了!」
某個人喊著。
列隊前進的鎮暴部隊,將暴走的自動人偶逐一破壞。
諾艾菈盡可能的不去看那個景象,聽從著隊員發出的避難指示逃難。
避難場所,一個自動人偶也沒有。
人們放下心,等待著暴動結束。有從裝置確認最新狀況的人,也有趕緊跟家人聯繫的人。
在那之中,諾艾菈什麼也沒做,就只是看著周圍人的樣子。
「真是場災難啊」
就在看著人們的樣子時,一個上了年紀的女性向諾艾菈搭話。
「是啊……真是太可怕了」
「也沒有統治局的消息,政府到底在做什麼呢」
「聽說還是原因不明,所以要馬上解決大概很困難吧?」
「是這樣嗎。我倒是覺得,現在已經不是蕾格烈芙能掌握的時代了」
老婆婆把想說的說完之後,似乎是找到熟人的樣子,就往那邊走去了。
政府並不是無能。但是,永無止盡的暴動讓民眾的不滿逐漸升高。
諾艾菈嘆出一口氣後站起身。認為自己不應該待在這裡。
趁著紛亂,諾艾菈從避難所溜出。看向裝置,發現有收到一封電子郵件。
『我想跟你談談。請回應我』
「……到底是什麼情況?」
諾艾菈看到郵件的發送者後,就一直持續凝視著畫面。
「─完─」
2837年 「叫び」
「逃げろ!」
「警備隊はどこなんだ!?」
「おかあさあああああん!!」
「早く!」
老若男女の叫び声が周囲を支配していた。
ノエラはその只中を、人々と同じように逃げていた。
その日、ノエラは大型ショッピングモールのカフェテラスにいた。
店外に設置された椅子に腰掛け、珈琲を嗜みながら行き交う人々を眺める。
仲睦まじく歩く夫婦、子供連れの母親や父親、若いカップル。疲れた人、楽しそうな人、忙しそうな人。
そういった様々な感情が渦巻く、何処にでもあるショッピングモールの風景だ。
人々を眺めるのに飽きたノエラは、ポータブルデバイスを起動してニュースを読む。
記事に書かれていたのは、とある地方の流行店に従事していたオートマタが一晩の内に消えてしまったという、二年ほど前の事件に関するものだった。
——この事件に、昨今世の中を騒がせているオートマタ暴動との関連が疑われるが、事件の当事者であるオーナーは現在入院しており詳細な手掛かりは掴めていない。この事件以外にも複数のオートマタ失踪事件が確認されており、それらと共に鋭意調査中である——。
との報道であった。
「暴動との関係、ねぇ……」
ノエラの呟きは、モールの喧騒に掻き消された。
記事を読み終わったノエラの目の前を、主人とオートマタという、ごくありふれた組み合わせが通り過ぎた。
オートマタは荷物を抱えて、主人の後を追うように歩いていた。
その様子をなんとなく目で追う。10アルレほど進んだところで、そのオートマタの動きが突然に止まった。
主人はすぐに様子に気付いたのか、何か声をオートマタに掛けていた。
次の瞬間、オートマタがいきなり主人に殴り掛かったのが見えた。
主人の悲鳴と、モールに常駐する警備員を呼ぶ声が聞こえる。
「またか」
「怖いわねえ。早く行きましょ」
不安の声があちこちから聞こえてきた。
危険を感じた人々は、足早にショッピングモールから去っていく。
数年前、一体の古いオートマタが暴走した。その時は単なる老朽化による不具合だと思われた。
そうやって古いものから始まった『それ』は、次第に新しいものへと波及していった。
統治局とて傍観していたわけではない。人間の生活に必須なオートマタの暴走である。対策や原因究明は極めて迅速かつ的確に行われている。
だが統治局の対応以上に、暴走するオートマタの数が増えるのが早かった。
依然として原因のわからない『それ』は、人々の不安を掻き立てていた。
事例は日に日に増えていき、ついにローゼンブルグ第十二階層スバース地区で、オートマタによる暴動が発生した。
人々は、ようやくここで異常に気が付いた。
だが、オートマタは人々の生活に根ざし過ぎていた。大慌てでオートマタを廃棄しようとしても、自分達がオートマタに代わる労働力になど、なれる筈もなかった。
ショッピングモールの現場は瞬く間に野次馬で埋め尽くされた。危機意識の足りない者は何処にでもいる。
「お客様、こちらにお入りください」
様子を眺めていたノエラに店員が声を掛けてきた。
一見、人と変わりないように見えるが、手首の関節が、この店員がオートマタであることを示していた。
「あぁ、そうね。中に入ればいいかしら?」
「はい。申し訳ありません」
ノエラの視界を警備員が物々しい様子で走り過ぎた。暴動鎮圧用の重厚な装備を施したオートマタの姿も見える。
「大丈夫かしら……」
あまりの物々しさに、ノエラは再び呟いた。
静かに、だが統治局でも制御しきれない速さで、『それ』は侵攻しつつあった。
そして、『それ』は瞬く間に大きな牙を剥き出しにした。
暴走の現場で鈍い音が響くと、野次馬の中から悲鳴が上がった。
ノエラは店内に入るのをやめて、現場の様子を伺った。
「おい、お前! 一体どうした!?」
「危険です! 逃げてください!」
人間の警備員だろう。何人かが叫ぶ。
野次馬と警備員の声に危険を感じた人々が、モールの出口に向かって走り出す。
野次馬がいなくなると、ノエラの目に衝撃的な光景が飛び込んできた。
暴動を鎮圧するためのオートマタと近くの店で働くオートマタが、暴走したオートマタを庇うように人間を攻撃しているのだ。
「……どういうことなの?」
ノエラは一歩、二歩と後退る。そして、背後の店員にぶつかった。
「おきゃ、おきゃく、さ、さささ」
店員のオートマタも明らかにおかしかった。
「ひ……!」
辺りを見回すと、別の店員のオートマタや付き添いのオートマタも、皆おかしな行動を見せている。
店内がざわつく。他の客もオートマタの様子がおかしいことに気が付いた。
ノエラは店の入り口から反射的に飛び出す。
モールのあちこちから破壊音と人の悲鳴が聞こえてきた。更に逃げ出してきた人で通路が溢れ、先程よりも酷い様相を呈していた。
「何で、どうして……」
ノエラは困惑しながら、逃げ惑う人々と共に、暴走するオートマタから逃れようと走り出した。
なんとかショッピングモールの外へと脱出するも、外で待っていたのは、やはり暴徒化したオートマタだった。
もう逃げ場はないと思われたが、オートマタを破壊する音が周囲から聞こえてくる。
「助けが来たぞ!」
誰かが叫んだ。
隊列を組んだ暴動鎮圧部隊が、暴走するオートマタ達を次々と破壊していく。
その様子を極力見ないようにして、ノエラは避難指示を出す隊員に従った。
避難場所には、オートマタは一体もいなかった。
人々は安堵し、暴動が終わるのを待っていた。デバイスで最新の情報を拾う者、家族に連絡を取る者。
そんな中、ノエラは何をするでもなく、周囲の人々の様子を眺めていた。
「災難だったねぇ」
人々の様子を眺めていると、老齢の女性に声を掛けられた。
「ええ……物騒なことです」
「統治局からの発表は無いし、政府も何をしてるんだか」
「原因不明と聞いていますし、すぐの解決は難しいのではないでしょうか?」
「どうだかね。そろそろレッドグレイヴじゃ駄目な時代が来てると、あたしゃ思うよ」
老婆は言うだけ言うと、知り合いの姿を確認したのか、そちらへと行ってしまった。
政府は無能ではない。だが、終わりのない暴動に民衆の不満は募るばかりだ。
ノエラは溜息を吐くと立ち上がった。自分はここにいるべきではないと思ったからだ。
喧騒に紛れるようにして、ノエラは避難所からこっそりと出て行く。デバイスを見ると、一件の電子メールが届いていた。
『話がしたいの。応えてくださいな』
「……どういうことかしら?」
ノエラはメールの送り主を見て、デバイスをじっと見つめ続けた。
「—了—」
「逃げろ!」
「警備隊はどこなんだ!?」
「おかあさあああああん!!」
「早く!」
老若男女の叫び声が周囲を支配していた。
ノエラはその只中を、人々と同じように逃げていた。
その日、ノエラは大型ショッピングモールのカフェテラスにいた。
店外に設置された椅子に腰掛け、珈琲を嗜みながら行き交う人々を眺める。
仲睦まじく歩く夫婦、子供連れの母親や父親、若いカップル。疲れた人、楽しそうな人、忙しそうな人。
そういった様々な感情が渦巻く、何処にでもあるショッピングモールの風景だ。
人々を眺めるのに飽きたノエラは、ポータブルデバイスを起動してニュースを読む。
記事に書かれていたのは、とある地方の流行店に従事していたオートマタが一晩の内に消えてしまったという、二年ほど前の事件に関するものだった。
——この事件に、昨今世の中を騒がせているオートマタ暴動との関連が疑われるが、事件の当事者であるオーナーは現在入院しており詳細な手掛かりは掴めていない。この事件以外にも複数のオートマタ失踪事件が確認されており、それらと共に鋭意調査中である——。
との報道であった。
「暴動との関係、ねぇ……」
ノエラの呟きは、モールの喧騒に掻き消された。
記事を読み終わったノエラの目の前を、主人とオートマタという、ごくありふれた組み合わせが通り過ぎた。
オートマタは荷物を抱えて、主人の後を追うように歩いていた。
その様子をなんとなく目で追う。10アルレほど進んだところで、そのオートマタの動きが突然に止まった。
主人はすぐに様子に気付いたのか、何か声をオートマタに掛けていた。
次の瞬間、オートマタがいきなり主人に殴り掛かったのが見えた。
主人の悲鳴と、モールに常駐する警備員を呼ぶ声が聞こえる。
「またか」
「怖いわねえ。早く行きましょ」
不安の声があちこちから聞こえてきた。
危険を感じた人々は、足早にショッピングモールから去っていく。
数年前、一体の古いオートマタが暴走した。その時は単なる老朽化による不具合だと思われた。
そうやって古いものから始まった『それ』は、次第に新しいものへと波及していった。
統治局とて傍観していたわけではない。人間の生活に必須なオートマタの暴走である。対策や原因究明は極めて迅速かつ的確に行われている。
だが統治局の対応以上に、暴走するオートマタの数が増えるのが早かった。
依然として原因のわからない『それ』は、人々の不安を掻き立てていた。
事例は日に日に増えていき、ついにローゼンブルグ第十二階層スバース地区で、オートマタによる暴動が発生した。
人々は、ようやくここで異常に気が付いた。
だが、オートマタは人々の生活に根ざし過ぎていた。大慌てでオートマタを廃棄しようとしても、自分達がオートマタに代わる労働力になど、なれる筈もなかった。
ショッピングモールの現場は瞬く間に野次馬で埋め尽くされた。危機意識の足りない者は何処にでもいる。
「お客様、こちらにお入りください」
様子を眺めていたノエラに店員が声を掛けてきた。
一見、人と変わりないように見えるが、手首の関節が、この店員がオートマタであることを示していた。
「あぁ、そうね。中に入ればいいかしら?」
「はい。申し訳ありません」
ノエラの視界を警備員が物々しい様子で走り過ぎた。暴動鎮圧用の重厚な装備を施したオートマタの姿も見える。
「大丈夫かしら……」
あまりの物々しさに、ノエラは再び呟いた。
静かに、だが統治局でも制御しきれない速さで、『それ』は侵攻しつつあった。
そして、『それ』は瞬く間に大きな牙を剥き出しにした。
暴走の現場で鈍い音が響くと、野次馬の中から悲鳴が上がった。
ノエラは店内に入るのをやめて、現場の様子を伺った。
「おい、お前! 一体どうした!?」
「危険です! 逃げてください!」
人間の警備員だろう。何人かが叫ぶ。
野次馬と警備員の声に危険を感じた人々が、モールの出口に向かって走り出す。
野次馬がいなくなると、ノエラの目に衝撃的な光景が飛び込んできた。
暴動を鎮圧するためのオートマタと近くの店で働くオートマタが、暴走したオートマタを庇うように人間を攻撃しているのだ。
「……どういうことなの?」
ノエラは一歩、二歩と後退る。そして、背後の店員にぶつかった。
「おきゃ、おきゃく、さ、さささ」
店員のオートマタも明らかにおかしかった。
「ひ……!」
辺りを見回すと、別の店員のオートマタや付き添いのオートマタも、皆おかしな行動を見せている。
店内がざわつく。他の客もオートマタの様子がおかしいことに気が付いた。
ノエラは店の入り口から反射的に飛び出す。
モールのあちこちから破壊音と人の悲鳴が聞こえてきた。更に逃げ出してきた人で通路が溢れ、先程よりも酷い様相を呈していた。
「何で、どうして……」
ノエラは困惑しながら、逃げ惑う人々と共に、暴走するオートマタから逃れようと走り出した。
なんとかショッピングモールの外へと脱出するも、外で待っていたのは、やはり暴徒化したオートマタだった。
もう逃げ場はないと思われたが、オートマタを破壊する音が周囲から聞こえてくる。
「助けが来たぞ!」
誰かが叫んだ。
隊列を組んだ暴動鎮圧部隊が、暴走するオートマタ達を次々と破壊していく。
その様子を極力見ないようにして、ノエラは避難指示を出す隊員に従った。
避難場所には、オートマタは一体もいなかった。
人々は安堵し、暴動が終わるのを待っていた。デバイスで最新の情報を拾う者、家族に連絡を取る者。
そんな中、ノエラは何をするでもなく、周囲の人々の様子を眺めていた。
「災難だったねぇ」
人々の様子を眺めていると、老齢の女性に声を掛けられた。
「ええ……物騒なことです」
「統治局からの発表は無いし、政府も何をしてるんだか」
「原因不明と聞いていますし、すぐの解決は難しいのではないでしょうか?」
「どうだかね。そろそろレッドグレイヴじゃ駄目な時代が来てると、あたしゃ思うよ」
老婆は言うだけ言うと、知り合いの姿を確認したのか、そちらへと行ってしまった。
政府は無能ではない。だが、終わりのない暴動に民衆の不満は募るばかりだ。
ノエラは溜息を吐くと立ち上がった。自分はここにいるべきではないと思ったからだ。
喧騒に紛れるようにして、ノエラは避難所からこっそりと出て行く。デバイスを見ると、一件の電子メールが届いていた。
『話がしたいの。応えてくださいな』
「……どういうことかしら?」
ノエラはメールの送り主を見て、デバイスをじっと見つめ続けた。
「—了—」