R1 尤哈尼(含日版)

3392年 「日記本」

在協定監視局內的某間訓練室內,尤哈尼和同事布列依斯正在練劍。

協定審問官的任務是把地上的違反協定者或汙染者找出來,並『消除』。因此,多少需要通曉些武術。

並且,審問官有定期修練的義務。



剛好在練完一個回合的時候,尤哈尼手腕上的裝置震動了起來。

尤哈尼看了一眼,是早已看慣的記號在閃爍著。

尤哈尼確認了記號之後,將拿著劍的手放下。

「尤哈尼,修練還沒有結束」

尤哈尼的行動遭到布列依斯的責備。

「啊啊,抱歉啊。上司叫我」

「不可能,修練是最重要的任務之一,上級長官不可能在修練途中呼叫的」

汙染者跟協定違反者為了從審問官手中逃走,會不惜施展攻擊。所以如果審問官放棄修練的話,就等同讓自己生命遭遇危險。

「就算你這麼說,呼叫就是呼叫啊。就這樣啊,掰~」

尤哈尼隨便應付了布列依斯後,便走向在訓練室後頭的監督官所在位置。

「集合命令」

「……了解,去吧」

尤哈尼將裝置給監督官看了之後,監督官像是理解裝置上顯示的記號般點了點頭。取得監督官許可的尤哈尼,不慌不忙地從還在修練的審問官同事們的旁邊穿過去。

同事們對於尤哈尼這樣的態度,顯露出厭惡的神情。

「放下重要的修練,究竟是要去哪裡?」

「反正,一定是犯了什麼嚴重的失誤吧」

「終究只是個下層的人類」

同事們故意要讓尤哈尼聽見似地,大聲在慢悠悠走掉的尤哈尼背後議論著。



走出訓練室的尤哈尼,快步地從協定監視局的後門出去。在那裡,已經有一台自動駕駛車停在那裡等著尤哈尼。

尤哈尼像是要避人耳目似地坐進了副駕駛座,在尤哈尼坐進車內的同時,自動駕駛車便開走了。

自動駕駛車的玻璃全部都是霧面的,從外面不容易判別車裡乘坐的是誰。

尤哈尼用著笨拙的手勢操作著副駕駛座上的小型裝置。

接著,從自動駕駛車的喇叭傳出了像是少女又像是女性的聲音。

『協定審問官尤哈尼,有新的法典搜索任務要交給你』

由於是錄音檔,所以只是個單方面的訊息傳遞。

『任務內容是調查在麥歐卡北部孤島發現的建築物。這個建築物是差不多十天前被派往麥歐卡的技師發現的』

尤哈尼呆愣地聽著錄音。

『雖然目前資料不足,但推測這個孤島是由於3100年左右發生的《渦》,所引起的地殼變動影響而產生的。迅速前往調查,找出法典』

在差不多聽完任務內容的時候,車也到達飛行甲板了,甲板上已經有長期調查用的快船在等著尤哈尼。



孤島的建築物是薄暮時代所建造的大宅邸,與現在的潘德莫尼一樣具功能性、設計簡單利落。

沒有被地上人物盜掘過的痕跡,看來在技師發現之前沒有人來過。

宅邸被植物給覆住,除非從上空俯瞰,不然大概不會有人發現吧。

「那麼,我該從哪裡開始著手呢……」

尤哈尼一個人嘟囔著走進了宅邸。

「協定審問官No-862235,尤哈尼。開始調查位於麥歐卡北部孤島上的建築物」

尤哈尼啟動了調查用裝置的錄影模式,開始進行調查。



尤哈尼雖然是隸屬於協定監視局的協定審問官,但任務地點卻主要是這類未經調查過的地方。那是因為尤哈尼除了體能優越之外,擁有長期在地上活動所需要的抗壓性。

而且,尤哈尼的任務內容也只有在協定監視局上層的極少數人知道而已。

因為,任務裡包含了『自動人偶相關法典回收』如此重要的東西。



宅邸內的房間很多,簡單查看就知道這些房間各有不同的用途。

雖然調查日數設了蠻長的天數,但是不確定尤哈尼一個人是否能夠全部調查完畢。

「啊-……,這是什麼啊?」

尤哈尼想都沒想的就脫口而出,不在意聲音也會被記錄下來。

宅邸最上層的一個大房間裡,陳列了大量的自動人偶。

女性型、男性型、大人型、小孩型。各種類的頭部幾十個裝飾在牆壁上,最裡面的桌上,是一具沒有四肢、人工皮膚也剝落的自動人偶坐鎮。

「失禮一下,我看看哦」

尤哈尼靠近沒有四肢的自動人偶,讀取刻印在頭部的製造碼,傳送至潘德莫尼查詢。

不久後,裝置上顯示出『製造年:2810年,製造者:伊利雅思·格雷巴赫,樣式:女性型』等相關資料。

這個資料讓尤哈尼露出微笑,格雷巴赫製造的女性型自動人偶。一點也不用懷疑這是個重要的關鍵訊息。

尤哈尼心想『中獎了』,於是決定徹底調查這最上層的房間。



馬上就發現了比沒有四肢的自動人偶製造日期還新的自動人偶頭部,這個也是格雷巴赫製造的。

而且,還從桌子裡發現了舊書面資料、日記本等等。

確認了書面資料後,得知這個宅邸的主人是《渦》出現之後才出生的人類。

某日,在麥歐卡的遺跡挖掘到沒有四肢的自動人偶,然後就被自動人偶的魅力給迷住,與同好一起進行自動人偶的買賣。

從對自動人偶容貌的讚美文辭推測,那個沒有四肢的自動人偶在被挖掘的當初應該是相當美的造型。



繼續看著日記本的時候,裝置的鬧鐘響起,提醒定期報告的時間到了。

「啊呀,已經這麼晚啦」

將找到的遺物暫時擺著,雖說已經將零件分割好了,但要全部搬運也是個重勞動。

至於要回收還是要棄置,打算等定期報告的時候請求指示。



尤哈尼返回快船,潤潤乾渴的喉嚨,喘了口氣後,操作起通訊機。

「咦?這個要……」

在通訊機的觸碰面板上輸入數字出錯了好幾次。

終於將線路連上了潘德莫尼的時候,已經過了10分鐘左右了。

『定期報告的時間早就過了哦』

從喇叭傳來像是少女的聲音。

「抱歉,看來我還是不習慣操作機器」

『算了,在報告前有事要問你。找到法典了嗎?』

「沒有。雖然沒有找到目標物品,但是發現了耐人尋味的東西」

『報告來聽』

「發現一具沒有四肢的自動人偶,自動人偶的頭部五十個,軀幹五個。其中,沒有四肢的自動人偶與一個頭部,經過確認是由格雷巴赫的工坊所製造的。

『知道了,但是,頭部的數量並不太尋常。能找到是什麼原因嗎?』

「這個建築物的所有者似乎有進行過機能停止的自動人偶買賣。有找到被挖掘到的人偶書面資料,及記載買賣記錄的日記本」

『這樣啊』

「找到法典,或是結束調查之後這些該怎麼處理?」

『包含機能已經停止的自動人偶,回收所有殘骸、書面資料、日記本。特別是格雷巴赫製造的自動人偶,連一片碎片都不留地帶回來』

「遵命」

在回覆的同時,通訊斷了。

尤哈尼確認通訊完全已切斷後,一個人嘟囔著。

「真是會指示人的最高領導者大人啊……」

尤哈尼嘴上雖然表示不滿,但對蕾格烈芙瞭解尤哈尼的能力,並給予他適合的任務這一點,其實抱著感謝之心。

「不過,只要有趣就好」

對尤哈尼來說,任務就只是有趣的程度而已。

「好,再來工作吧」

尤哈尼從快船上下來,伸了一個懶腰後,就為了執行命令,再次走進屋子去。



「─完─」

日文版
3392年 「日記帳」

協定監視局内にある訓練室。そこでユハニは同僚のブレイズと剣の修練を行っていた。

協定審問官の任務は地上の協定違反者や汚染者を捜し出して『除去』することである。そのため、多少なりとも武術の心得が求められる。

そして、審問官は定期的な修練を行うことが義務付けられていた

 

一通りの打ち合いが終わったところで、ユハニの腕に取り付けているデバイスが震えた。

デバイスを見やると、ユハニにとっては見慣れた記号が明滅している。

記号を確認したユハニは、剣の構えを降ろした。

「ユハニ、まだ修練は終了していないぞ」

ユハニの行動をブレイズが咎める。

「ああ、すみませんね。上司からの呼び出しです」

「そんな筈はない。修練は最重要タスクの一つだ。その最中に上官から呼び出されるなど、あり得ん」

汚染者や協定違反者は審問官から逃れるためなら形振りなど構わない。審問官が修練を放棄するということは、命に関わるのと同義である。

「んなこと言っても、呼び出しは呼び出しっすよ。んじゃ、そういうことでー」

ブレイズの言葉を適当にあしらい、ユハニは訓練室の奥にいる監督官の所へと向かう。

「召集です」

「……わかった、行け」

ユハニがデバイスを監督官に見せると、監督官はデバイスに映る記号に納得したように頷いた。監督官の許可を得たユハニは、まだ修練を行っている同僚の審問官達の横を悠々とすり抜けていく。

そのユハニの態度に、同僚達はあきれたような視線を送っていた。

「大事な修練を放棄してまで、一体何をしに行くんだ?」

「どうせ、あり得ないくらい酷いミスをしたのだろう」

「所詮、下層の人間ということか」

ユハニに聞こえるよう、わざわざ大声であげつらう同僚達の非難を背に、ユハニはのんびりとした足取りで訓練室を立ち去った。

 

訓練室を出たユハニは、早足に協定監視局の裏口から外へ出た。そこには、ユハニを待ち構えるように一台の自動運転車が停車していた。

人目を避けるように自動車の助手席に乗り込むユハニ。ユハニが乗り込むと同時に、自動車は動き出した。

自動車のガラスは全面がスモークで覆われており、中に誰が乗り込んでいるかは容易には判別できないようになっている。

助手席には小型のデバイスが取り付けられていた。ユハニは少々たどたどしい手つきでデバイスを操作する。

すると、自動車のスピーカーから少女とも女性とも取れる音声が聞こえてきた。

『協定審問官ユハニ、お前に新たなコデックス捜索任務を命ずる』

音声は録音であり、一方的な通達であった。

『任務内容は、マイオッカ北部の孤島で発見された建造物の調査だ。この建造物はつい十日ほど前に、マイオッカに赴任している技師により発見された』

ユハニは流れる音声をぼんやりと聞いていた。

『資料が不足しているが、この孤島は三一〇〇年頃に発生した《渦》によって引き起こされた地殻変動の影響で生成されたと推測される。速やかに調査し、コデックスを発見せよ』

任務の内容を聞き終わる頃、自動車はフライトデッキに到着した。デッキには既に長期調査用のクリッパーが待機していた。

 

孤島の建造物は薄暮の時代に建てられた大きな屋敷であった。現在のパンデモニウムに通じる、機能的で洗練されたデザインをしている。

地上人による盗掘などの痕跡は無く、技師が発見するまで未踏の地であったことが伺えた。

屋敷は成長した植物に覆われており、上空から眺めでもしない限り発見されることはなかったであろう。

「さて、どっから手をつけるべきかねえ……」

ユハニは一人ぼやくと、屋敷内へと入っていった。

「協定審問官No−862235、ユハニ。マイオッカ北部孤島に存在する建造物の調査を開始する」

調査用デバイスの録画モードを起動し、ユハニは調査を開始した。

 

ユハニは協定審問官として協定監視局に所属しているが、任務地はこういった未調査地域が主となっている。それはユハニの身体能力が優れていたこともさることながら、地上での長期にわたる活動に必要なストレス耐性値が群を抜いていたことが理由であった。

そして、ユハニの任務内容については、協定監視局に勤める者でも上層のごく一部しか知らされていない。

何故なら、任務の中には『自動人形に関するコデックスの回収』という重要なものが含まれているからだった。

 

屋敷の内部は部屋数が多く、少し覗いただけでも、そのどれもが様々な用途に使用されていたことが判明した。

調査期間はそれなりの長期が設定されていたが、ユハニ一人で全てを調査できるかは不明であった。

「はー……、なんだこりゃ?」

音声が記録されていることも構わず、ユハニは思わず声を上げた。

屋敷の最上階にある大部屋には、大量の自動人形が並べられていた。

女性型、男性型、大人型、子供型。種類を問わない頭部が何十個と壁に飾られており、最奥のデスクには、四肢が無く、人工皮膚も剥がれた一体の自動人形が鎮座していた。

「ちょっと失礼しますよ、っと」

ユハニは四肢の無い自動人形に近付くと、頭部に刻印されている製造ナンバーを読み上げ、パンデモニウムに照会する。

程なくしてデバイスに『製造年:二八一〇年、制作者:セイリアス・グライバッハ、形式:女性型』といった一連の情報が表示された。

その情報にユハニは目を細める。グライバッハ製造の女性型自動人形。これが重要なキーであることは疑いの余地もない。

これは『当たり』かもしれない。そう考えたユハニは、この最上階の部屋を徹底的に調査することにした。

 

すぐに、四肢の無い自動人形より新しい年代に作られた自動人形の頭部を発見。これもグライバッハ作であった。

更にはデスクから古い書類や日記帳などが発見された。

書類等の文面を確認すると、この屋敷の持ち主は《渦》が出現した後に生を受けた人間であることがわかった。

ある時にマイオッカの遺跡で四肢の無い自動人形を発掘。以降、自動人形の魅力に取り憑かれ、同好の者と共に自動人形の売買を行っていたことが読み取れた。

自動人形の容姿を賛美する文言から推察するに、あの四肢の無い自動人形は、発掘された当初は相当に美しい造詣をしていたらしい。

 

日記帳を読み進めていると、デバイスから定時報告の時間を告げるアラームが鳴り響いた。

「おっと、もうそんな時間か」

発見した遺物はひとまずそのままにした。パーツごとに分割されているとはいえ、全てを運ぶのは重労働だ。

回収するのか捨て置くのか。それは定時報告の際に指示を仰げばいいだろうと考えた。

 

クリッパーへ戻ってきたユハニは、乾いた喉を潤して一息つくと、通信機を操作した。

「あれ? えーっと……」

通信機のコンソールをタップして数値を入力するも、何度か操作を誤る。

ようやっと回線がパンデモニウムに繋がったときには、通信を試みてから一〇分ほどが過ぎていた。

『定時報告の時間は過ぎているぞ』

スピーカーから少女のような声が聞こえてきた。

「すみません。どうにも機械の扱いに慣れなくて」

『まあいい。報告の前に尋ねよう。例のコデックスは発見できたか?』

「いえ。目的物は発見できていません。ですが、興味深いものを発見しました」

『報告せよ』

「四肢の無い自動人形が一体、自動人形の頭部を五十個、胴体を五個発見しました。その内、四肢の無い自動人形と一個の頭部については、製造ナンバーによってグライバッハ氏の工房で製造されたことを確認しています」

『わかった。しかし頭部の数が尋常ではないな。理由は判明しそうか?』

「この建造物の所有者は機能停止した自動人形の売買を行っていたようです。発掘された人形に関する書類や、売買履歴が記述された日記帳も発見しました」

『そうか』

「コデックスを発見、もしくは調査が終了した後はどうしますか?」

『機能停止した自動人形を含め、全ての残骸と書類、日記帳を回収せよ。特にグライバッハの製造した自動人形については、欠片も残さずに回収を行え』

「承知しました」

返事をすると同時に通信が途絶える。

ユハニは完全に通信が切れたことを確認すると、一人呟いた。

「人使いの荒い最高指導者サマだこと……」

口ではそう不満がるものの、ユハニは自身の能力を把握し、適した任務を与えてくれたレッドグレイヴに対して感謝の念を持っている。

「ま、楽しいからいいんだけどさ」

自分に与えられる任務がどれだけ面白いか。ユハニにとっては、ただそれだけの話である。

「さて、もう一仕事しましょうかね」

ユハニはクリッパーから降りて大きく伸びをすると、命令を遂行すべく、再び屋敷へと足を向けるのだった。

「—了—」