R1 艾依查庫(含日版)

3396年 「Dog Eat Dog」

艾依查庫開槍打穿了男子的頭部。

從後腦穿出的子彈隨著鮮血一起噴出,艷紅的血霧在一瞬間就飄散於屋內。

艾依查庫拔槍的舉動,快到連與男子面對面的艾伯李斯特都沒有查覺。而坐在桌子對面的這個男人,自稱是席道爾將軍的使者。

大半夜的突然造訪說是有急事,在確認過他的官職身分無誤後就讓他進屋說明了。

「這傢伙打算動手的」艾依查庫邊說邊把男子從椅子上弄下來。

扒開上衣之後果然就發現了綁在男子身上的高性能炸藥。是足以炸飛整個房間的量。

艾依查庫將炸藥從屍體身上拆下並將導管拆除,隨意地擺到了桌角。

「什麼時候發現的?」依舊坐在椅子上的艾伯李斯特這樣問道。雖然屍體與炸藥就在眼前,語調依舊冷靜。

「是氣味,那個合成炸藥的氣味很獨特」艾伯李斯特稍微調整坐姿,將放在桌上的炸藥拿起來查看。

艾依查庫仍在暗殺者的身上東翻西找。

若是在這個住著許多將官的地區引爆炸彈,肯定會造成不小的騷動,對暗殺者方來說也是相當大的風險。

「真是令人不安的事件」

「是啊,你有什麼頭緒嗎?」

「誰知道」艾伯李斯特用著就像是開玩笑般的語氣回答。這是跟艾依查庫兩人獨處的時候才會有的輕鬆態度。

「有太多頭緒了所以才困擾,這點也很值得思考」艾依查庫一邊翻找著男子一邊回道。



艾依查庫早就知道總有一天會發生這種事。因為帝國的內鬥正逐漸浮上檯面,而且首當其衝的就是他們自己。

現在,帝國內部分裂成以軍閥席道爾將軍為中心的擴大派,以及由帝國軍政治局卡頓長官和有權政治家們組成的統制派。

主張將戰火無限擴大的擴大派、以國內安定為第一考量而主張與魯比歐那停戰的統制派,兩個派系正激烈地對立著。但那也只是表面上看起來如此。

其實單純只是大部分成員都是「薄暮時代」就掌有權力的統制派政治家們,與因為戰爭長期持續而擴展勢力的軍閥方間的權力鬥爭罷了。

在這樣的對立中,艾伯李斯特以席道爾將軍派的年輕將校身分崛起。

擴大派的兩大支柱分別是瘋狂且熱衷擴大戰爭的老將軍,及在幕後輔助的年輕又冷靜的艾伯李斯特。

艾依查庫的工作則是在暗中排除這兩大支柱的阻礙。

最一開始是統制派的幾位政治家突然失蹤,然後被各種不會留下證據的手段抹殺了。這個事實使得統制派的人因恐懼而畏縮。

長時間生活於封閉世界的政治家們,也因這事件才驚覺與擴大派的鬥爭早已開始。這是因為艾伯李斯特他們總是在對手行動前就加以痛擊的緣故。

不論是對外敵,或是對政敵都是一樣的。

艾依查庫對於這種骯髒的工作並沒有什麼感覺。活在這種鬥爭的世界中都是艾伯李斯特與艾依查庫自己所期望的。

特別是艾依查庫更是徹底享受著那種驚險感。不論是軍閥間的內爭或是戰場上與敵兵的互鬥,對艾依查庫來說都一樣是鬥爭。

現在以帝國的席道爾將軍為首的擴大派正享有權勢。

但是,統制派當然也不打算就這樣乖乖就範。



隔天,艾依查庫將艾伯李斯特送到國境邊,將他託付給部隊後就回到了館邸。

因為還必須將刺客的屍體給處理掉。警察機關的首長是敵對方的所以無法信任。

要是不小心將情報洩漏出去就不好了。雖然是很麻煩的工作,但是艾依查庫並沒有很在意。

才剛進屋將外套放下,馬上就被爆炸音與閃光所衝擊。

艾依查庫瞬間將自己切換成戰鬥模式。光與煙慢慢地出現在自己周遭。

在那個空間中,艾依查庫一邊觀察著煙幕的另一側,一邊快速地拔出槍來瞄準。

從煙幕的另一側,四個重武裝的憲兵依序進入了房間。

艾依查庫見狀就將槍先行放下,將時間流逝的感覺調整回來。

一位穿著政治局制服的男子從拿著衝鋒槍的憲兵們後方走出來。政治局人員以維護對皇帝的忠誠為名目,在帝國軍內享有極大的權力。

「羅斯帕爾德大尉,麻煩您跟我們走一趟」面無表情的男子一副理所當然地說道。

「我可沒有要去的理由」

「是關於在浴室裡的那句屍體與炸彈的事件。大尉一定得跟我們走並接受查問,這些可是反叛罪的嫌疑」

艾依查庫馬上就瞭解到昨天發生的事情也是對手安排的一部分。

「如果我拒絕的話?」

「這是政治局的決定,抵抗的話一律視為對皇帝陛下的反叛」

「反叛嗎……有趣」艾依查庫邊說邊露出奇妙的笑容。

「?」這意外的回答,連本來面無表情的局員也不禁冒出了一下困惑的表情。

艾依查庫再度切換模式。世界就好像是瞬間暗下了一樣,但很快就復原了。艾依查庫進入了通常的士兵所看不見的世界。

一瞬間就閃身到政治局員的身旁,抓起他的手腕就扯了起來。接著,那雙手就被活生生地拉開。

活生生被撕開的人體,就像是人偶一樣無力飛散在空中,被撕裂的身體就直接砸往武裝憲兵們的身上。

憲兵們的視線中只有那一瞬間就被徒手撕裂的政治局員,這出乎預料的發展讓他們一時反應不過來。那是股壓倒性的速度和力量。白刃在狹窄的空間飛舞過後,緊接著的就是四處飛濺的血沫了。

拿著衝鋒槍的手腕一雙雙地落下,就像是小孩子拔掉昆蟲四肢在玩似的,刻意不讓他們馬上死去地拿他們來血祭。而且那張臉上所浮現的果然是笑容。

數分後,艾依查庫一人站在血泊中。

倒臥在血泊中的男人們全都已經斷了氣,真是悲慘的死法。

艾依查庫往浴室走去。坐在丟有昨晚屍體的浴缸旁邊,仔細地擦著靴子上的血。

接著他慢慢地吸了一口氣,眺望著天空。



夜晚來臨,帝都中響起了爆炸聲。

艾伯李斯特的館邸熊熊燃起,那火光照亮著夜晚帝都的天空。在設有許多公館的帝都,因這場爆炸騷動所引發的混亂一直到深夜都還持續著。

但是這件事卻沒有成為隔日的新聞頭版。那是因為,卡頓長官離奇自殺的新聞已經占據了所有的版面。



「-完-」

日文版
3396年 「ドッグ・イート・ドッグ」

アイザックは座った男の頭を撃ち抜いた。

後頭部へ抜けた弾は血潮をはじけさせ、その血は赤い霧となって部屋を漂った。

アイザックの銃を抜く挙動は、男と向かい合っていたエヴァリストも気付けないほど素早かった。机を挟んで対面して座っていた男は、シドール将軍からの使者だと言っていた。

夜も遅かったが急な話だと言い、軍属であることは確かだったので、話を聞くために部屋に招き入れた。

「こいつ、やる気だった」アイザックは呟きながら男を椅子から降ろした。

身体に巻きつけられた高性能爆薬を、上着をはだけさせて見つけ出した。部屋ごと吹き飛ばすに十分な量だった。

アイザックは男から爆薬を引き剥がすと雷管を抜き、無造作に机の脇に置いた。

「いつ気付いた?」

椅子に座ったままのエヴァリストが聞く。死体と爆薬の前だが、落ちついた口調だった。

「匂いさ。その合成爆薬の匂いは独特だからな」

エヴァリストは座に浅く座り直し、机に置かれた爆薬を手にとって眺めた。

アイザックはこの暗殺者の懐中を探っている。

将官が多く住むこの地域で爆弾騒ぎとなれば、暗殺者側にもかなりのリスクがある。

「物騒な話だ」

「まったくだ。心当たりは?」

「さあな」

軽い冗談でも言っているかのような調子で答えた。エヴァリストはアイザックと二人だけの時は、普段の態度よりもずっとくだけていた。

「ありすぎて困るってのも考えモノだ」

男を物色しながらアイザックも言った。

いずれこうなることは、アイザックには前からわかっていた。帝國内での闘争はエスカレートしていた。その一端を担っているのが自分達だからだ。

今の帝國内部は、軍閥であるシドール将軍を中心とした拡大派と、帝國軍政治局のカンドゥン長官と有力政治家達で作られる統制派に分裂していた。

際限なく戦火を拡大させる将軍の拡大派に対し、ルビオナとの和睦も含め、国内の安定を第一に考えるという統制派の二派の対立だった。しかし、表向きの対立軸はそうであっても、統制派の大部分は「薄暮の時代」に権力を持っていた政治家達であり、戦時が続くことによって拡大した軍閥側との、純粋な権力闘争に過ぎなかった。

そんな対立軸の中、エヴァリストはシドール将軍一派の若い将校として台頭していた。狂的に拡大の情熱に取り憑かれた老将軍、それを陰で支える若く冷徹なエヴァリスト、というのは、拡大派の両輪として機能していた。

その両輪の邪魔になるものを影で排除してきたのがアイザックだった。

まず統制派の政治家の内、幾人かが突然失踪した。あらゆる手を使って証拠を残さずに始末したのだった。この事実に統制派は恐怖し、萎縮した。

閉じた世界に長く暮らしていた政治家達は、ここに至って初めて、拡大と闘争の時代が来ていることを知った。エヴァリスト達は常に相手が行動を起こす前に痛撃を加え続けた。それは外敵に対しても、政敵達にあっても同じだった。

アイザックはこの汚れた仕事に対して何も感じていなかった。エヴァリストとアイザックの二人は、闘争の世界の只中にいることを自ら望んでいた。

特にアイザックはその場のスリルを徹底的に楽しんでいた。軍閥同士の戦いも、戦場で敵国の兵と戦うのも、どちらも「闘争」という点でアイザックには等しかった。

今や帝國でシドール将軍を筆頭とする拡大派は権勢を誇っていた。しかし、統制派も黙ってやられる訳にはいかないだろう、と感じていたのだった。

次の日、アイザックはエヴァリストを国境まで送り、彼を部隊に引き渡した後に館に戻った。殺した男の始末をつける必要があったからだ。警察機構の長は敵対する相手なので、信用する訳にはいかなかった。

下手な情報を渡すのは得策ではなかった。面倒な作業ではあるが、別に気にはならなかった。

館に戻りコートを置いたその時、爆発音と閃光に包まれた。

アイザックは自分を「切り換え」た。光と煙がゆっくりと自分の周りに生じた。

その空間の中、煙の向こうを観察しながら素早く正対して、アイザックは銃を抜いた。

煙の向こうから重武装の憲兵四人が次々と部屋の中に入ってくる。

アイザックは一度銃を降ろし、時間を通常の感覚に戻した。

サブマシンガンを構えたままの憲兵の後ろから、政治局の制服を着た男が出てきた。政治局員は皇帝への忠誠を守るという名目で、帝國軍内で大きな権力を持っていた。

「ロスバルド大尉、ご同行願いたい」

無表情に男は言った。さも当然といった様子だった。

「行く理由が無いね」

「バスルームの死体と爆薬の件です、大尉。同行いただかなければなりません。査問を受けてもらいます。反逆罪の疑いがあります」

アイザックは昨日の出来事が相手のシナリオの一部だと、すぐに理解した。

「拒否したら?」

「これは政治局の決定です。抵抗すれば、即それは皇帝陛下への反逆とみなされます」

「反逆か……。面白い」

アイザックは奇妙な笑みを浮かべて言った

「?」

意外な言葉に、無表情だった局員の顔にも一瞬困惑の表情が浮かんだ。

アイザックは世界を切り換えた。世界が一瞬暗くなったように感じたが、すぐに戻る。通常の兵には見えない世界へ突入した。

一瞬で間合いを詰め、政治局員の傍らに立ち、腕を掴んで捻りあげる。そしてその腕を力任せに引き抜いた。

生きたまま身体を引き裂かれた政治局員は、まるで人形のように力なく宙を舞った。その身体は武装した憲兵隊に叩きつけられた。

憲兵達の視界には、一瞬で身体を引き裂かれた政治局員しか写らなかった。予期せぬ出来事に彼らの知覚は凍っていた。速度と力は圧倒的だった。白刃が狭い空間に煌めくと、また血飛沫が舞った。

サブマシンガンを持った憲兵達の腕が次々と落ちる。まるで昆虫の四肢をもいで遊ぶ子供のように、わざと即死せぬように憲兵達を血祭りに上げていった。そしてその顔には、やはり笑みが浮かんでいた。

数分後、アイザックは血溜まりの中に立っていた。

血溜まりに沈む男達は全て息絶えていた。無惨な殺され方だった。

アイザックはバスルームに向かった。そして昨日の死体が収められたバスタブに腰掛け、丁寧にブーツの血を拭った。

そしてゆっくりと息を吸い、天を眺めた。

夜が来た。帝都に爆音が響いた。

エヴァリストの館は燃え、夜の帝都の天蓋を赤く照らした。公館の多い帝都中心部における爆発騒動を発端とした混乱は、夜半まで続いた。

しかし、翌日の新聞の見出しにはならなかった。なぜなら、カンドゥン長官が謎の死を遂げたことを告げるニュースが入ったからだった。

「―了―」