R1 克洛維斯(含日版)

2779年 「細菌」

深夜的住宅區裡,開進了二台大型車。

那二台車在面向大馬路的豪宅附近停了下來。

其中一台安靜地開了車門後,從車內下來了幾位身穿西裝的男性。

另一台則下來了一群穿著國家保安局制服與防彈衣的男性。

克洛維斯靜靜地發出了暗號,穿著制服的男性們在接收到暗號後站定崗位。

確認他們站定崗位之後,克洛維斯站在豪宅的大門口。他的背後站著二位同樣穿著西裝的同事待命著。

克洛維斯按響電鈴後,貌似這個家的傭人打開了門。

克洛維斯將搜索票舉到傭人能看清楚的高度後,靜靜地說道。

「我是國家保安局的人,這是這間豪宅的搜索票,你不能拒絕」

克洛維斯的話使得傭人的臉色發白,接著把門關上。然後聽到腳步聲消失在豪宅的裡面。

「進去了」

聽到腳步聲的克洛維斯,向在背後的同事們發出了攻堅的暗號。



尼貝爾地區私售違法武器的組織被揭發,相關人員全數被逮捕的消息被新聞大肆地報導。

在那新聞報導聲中,克洛維斯匯整了剛拘捕的犯罪組織相關報告書。



克洛維斯任職於國家保安局專門調查犯罪組織的搜查官。

這是透過市民義務化的基因篩選結果,施行適合的教育系統,到了十五歲後由統治機構提出的職業中,克洛維斯的選擇。

克洛維斯從這些選項裡選擇了犯罪組織搜查官。把這個決定告訴雙親時,雙親也覺得這個選擇很適合從小就有強烈正義感的克洛維斯,給予由衷的祝福。



尼貝爾地區的組織相關收尾工作結束不到一個月,克洛維斯為了搜查大規模的犯罪,轉調至東方的希瑪迦地區。

「你就是克洛維斯·杜瓦爾刑警吧,請多指教」

與希瑪迦地區保安局各單位簡單地打招呼時,一位外貌看起來很難相信他是保安局的男子說道。

雖然跟克洛維斯同樣穿著西裝,但是那容貌看起來像是10幾歲的青年。

「請多指教。那個,您是協助者吧?」

「啊啊,我第一次來這樣的地方。要是礙到你們了請不要客氣直接跟我說」

年輕的男子說完這句話後,就去向別的刑警去打招呼了。

「抱歉,他是?」

克洛維斯小聲地向身邊希瑪迦地區的保安官迦納問道。

「啊,他是在仿生學具有權威的古斯塔夫技師」

「高級工程師的……」

我對這個名字有印象。如果他是高級工程師的話,就能理解為什麼他的外表看起來不可置信的年輕了。

高階的高級工程師可以經由最新的醫療技術來延緩老化,然後活得比一般市民久,為了將人生與頭腦奉獻給人類的繁榮。

雖然是可以享受任何人都曾嚮往的不老長壽技術,但是那是拿自由人生來交換的。

這些是克洛維斯對於高級工程師的印象,但是同時疑問也增加了。

「但是,像他這樣的權威者為何會在這裡?這次的對手狡滑到需要勞煩高級工程師的程度嗎?」

「簡報馬上就要開始了,到時候你就會懂了」



克洛維斯與迦納一同往會議室移動。沒多久希瑪迦地區保安局局長便上台開始進行簡報會議。

簡單地問候之後,局長開始說明。

──幾個月前,在某個小酒吧裡,一位男性突然發狂胡鬧。即使收到通報的警察到場將他制服,但男性卻就那樣憤慨而死。

──當初懷疑他患有精神疾病最後死亡,但驗屍的結果,卻從體內驗出不明的細菌。

──雖然經過動物實驗發現這個細菌有厭氧性,無法由人類傳染給人類。但是從希瑪迦地區流通的食品、水源中都沒找到一樣的細菌。

──那麼這位男性到底是怎麼染上這個細菌的疑問,以及這細菌到底是什麼的疑問留了下來。

──希瑪迦地區的保安局還在分析細菌時,同樣的事件也發生的越來越頻繁。

──每一個事件都是在死亡者的體內找到同樣的細菌,統治機構判定是犯罪組織所使用的生物兵器,在進行恐怖攻擊。

局長說明了這些事。

「統治機構表示事態嚴重,所以要我們迎接在仿生學很有權威的古斯塔夫來協助」

局長看向古斯塔夫,他上台跟大家敬了一個禮。

「我們委託古斯塔夫詳細調查這個細菌,他希望前往現場的時候,請大家協助他」

「請大家多指教,因為我不習慣在這樣的場所做事,希望要是有什麼不妥的請不要客氣直接跟我說」



簡報結束後,克洛維斯要迦納帶他去事件現場。

「但是現場幾乎都檢查過了,我想應該不會有什麼新發現了」

「抱歉,我就是非得看現場的個性」

「不會,沒關係。每一位刑警都該有這樣的個性」

有位意外的人物,叫住正要動身的兩人。

「如果要去現場的話,可以讓我一起去嗎?」

是古斯塔夫。不知道是否是要去調查,拿著稍嫌大的行李。

「那,那個,如果是杜瓦爾刑警的話還說的過去,但是您應該不需要跟我們去吧……」

「我想調查點東西,如果你們嫌我礙事的話,我只好再想別的方法了?」

「不,不,絕對沒有那種事……」

迦納刑警看起來,因不知道該怎麼跟本來不會扯上關係的高級工程師對話而困擾。

「迦納刑警,他是專家,也許能找到我們漏看的東西也不一定」

克洛維斯心想就算被認為是多管閒事也好,出言建議迦納。

「說,說的也是」

「杜瓦爾刑警真明事理,那麼走吧」

古斯塔夫露出看起來討人喜歡的笑容,明明要前往事件現場卻表現地那麼悠哉,讓克洛維斯有點傻眼。



事件現場被封鎖著,來往的路人都像在避開現場走著。

迦納刑警帶他們從第一個事件現場開始走,現在在目前最後一個發生事件的商店中。

克洛維斯一個一個像在確認般看著現場,除了找跟資料是否有不同之處以外,還想找找看有沒有新線索。

他的背後,有古斯塔夫正拿出調查用的道具在檢查地板的縫隙。因為他每個現場都有檢查,所以如果有什麼新發現應該會說出來吧。

「唔嗯……。迦納刑警,杜瓦爾刑警,看看這個」

他讓我們看的是,某種顆粒的東西。

就夾在牆壁與地板間的縫隙,如果不是用古斯塔夫的高性能放大鏡,是找不到以肉眼難以發現的小顆粒。

「看起來,像是藥品的顆粒」

克洛維斯直接說出,看起來像是感冒藥或腸胃藥那種,黃色的顆粒藥劑。

「不檢查看看無法斷言,應該是吧。迦納刑警,有沒有調查死者們的藥歷?」

「去醫院的紀錄,以及拿到的藥品種類,服用日數,都已經調查完畢」

「之後把那份資料送到科學檢查室吧,我去調查這個粒狀物質」

古斯塔夫邊操控裝置,邊慎重地將粒狀物質保存起來。



因為找到新的線索,所以克洛維斯他們先回保安局一趟。

在回程的路上接到緊急來電。

「發生什麼事了?」

「西區大路上發生暴動了,詳細情形還不清楚,但是目擊者說像是那個細菌造成的現象,請盡速前往現場」

電話那頭的聲音雖然聽起來很冷靜,但是也感受的到一點焦慮感。

南區這裡沒有聽到暴動的喧鬧,但是竟然會向其他區申請支援,那規模可能相當地大。

「了解,馬上過去」

掛斷後,迦納將車停下來。

「古斯塔夫技師,緊急狀況非常抱歉,現場很危險所以請在這裡下車,我會馬上請人來接您的」

「我知道了,等暴動鎮壓後我再去現場檢驗吧」

古斯塔夫很直接地接受了迦納的意見。

「到時再麻煩了」

「那麼,希望你們平安無事」

古斯塔夫說完後就下車了。

「來,快走吧」

「好的!」

克洛維斯與迦納一起,往暴動的現場趕去了。



「─完─」

日文版
2779年 「細菌」

深夜の住宅街に、二台の大型自動車がやって来た。

その二台は大通りに面した邸宅の付近に止まった。

一台のドアが静かに開くと、中からスーツ姿の男性が数人降りてくる。

もう一台からは、国家保安局の制服と防弾着を着用した男性達が降りる。

クロヴィスは無言で合図を出す。合図を受けた制服姿の男性達が配置に着く。

それを確認したクロヴィスは邸宅の玄関口に立った。彼の背後には同じスーツ姿の同僚二人が控えていた。

クロヴィスがベルを鳴らすと、その家の使用人らしき人物が扉を開けて顔を覗かせる。

クロヴィスは書状を使用人が見やすい高さに掲げると、静かに言葉を発した。

「国家保安局の者です。こちらの邸宅に住居捜索の令状が出ています。拒否することはできません」

クロヴィスの言葉に使用人の顔から血の気が引いた。使用人は扉を閉める。次いで足音が邸宅の奥の方へと消えていった。

「入るぞ」

その音を聞いたクロヴィスは、背後にいた同僚達に突入の合図を出したのだった。

 

ニヴェル地区で違法な武器密売組織の摘発が行われ、関係者全員が逮捕されたというニュースが大々的に報道されている。

その報道をバックミュージックに、クロヴィスはその検挙したばかりの犯罪組織に関する報告書を纏めていた。

 

クロヴィスは国家保安局に勤める組織犯罪専門の捜査官だ。

市民は義務化されている遺伝子スクリーニングの結果により、適正に見合った教育プログラムが施される。そして十五歳になると、統治機構から将来的に就く職業の最終的な選択肢が示されるようになっている。

クロヴィスはその提示された選択肢の中から組織犯罪捜査官を選んだ。両親にそのことを報告すると、幼少より正義感が強いクロヴィスらしい選択だと、心から祝福してくれたのだった。

 

ニヴェル地区の組織に関する残務が終わってひと月も経たぬ内に、クロヴィスは大規模犯罪の捜査のため、東方のヒマガ地区へと赴いていた。

「君はクロヴィス・デュバル刑事だね。宜しく」

ヒマガ地区保安局の面々と軽い挨拶をしていると、保安局の人間とは信じがたい風貌の男性から声を掛けられた。

クロヴィスと同じくスーツ姿ではあるが、その容姿は十代の青年のように若かった。

「よろしくお願いします。ええと、協力者の方ですね?」

「ああ、なにぶんこういった場所は初めてなんだ。邪魔になるようだったら遠慮なく言ってくれ」

若い男性はそれだけを言うと、別の刑事のところへ挨拶に行ってしまった。

「すみません、彼は?」

近くにいたヒマガ地区保安官のガードナーにこっそりと尋ねた。

「あぁ、バイオニクスの権威であるギュスターヴ技師さ」

「テクノクラートの……」

その名前には覚えがあった。彼がテクノクラートであるというのなら、一見異様にも思える若さにも納得がいった。

高位のテクノクラートは最先端の医療技術により老化を遅らせることが可能だ。そして一般市民よりも遙かに長く生き、その人生と頭脳を人類の繁栄のために捧げる。

不老長寿という誰もが一度は憧れる技術を一身に享受している存在だが、それは自由な人生との引き換えで成り立っている。

クロヴィスはテクノクラートに対してそんな認識を持っていた。だが、同時に疑問も膨れ上がる。

「しかし、彼ほどの権威者がなぜ? テクノクラートの手を煩わせなければならない程、今回の相手は狡猾なのですか?」

「すぐにブリーフィングが始まる。その時にわかるさ」

 

クロヴィスはガードナーと共に会議室へ向かった。間もなくヒマガ地区保安局局長が壇上に上がり、ブリーフィングが開始された。

挨拶もそこそこに、局長は説明を始める。

——数ヶ月前、小さな酒場で一人の男性が突如発狂して暴れだした。通報を受けた官憲が取り押さえるも、男性はそのまま憤死した。

——当初は精神的な病を患った挙句の死であろうと思われたのだが、検死の結果、体内から未知の細菌が検出された。

——動物実験によりこの細菌は嫌気性でありヒトからヒトへの感染能力はほぼ無いことが証明されたのだが、ヒマガ地区に流通している食料品からも、また水源からも同様の細菌を発見するには至らなかった。

——ならばどうしてこの男性が細菌を保持していたのかという疑問と、この細菌が一体なんなのかという疑問が残る。

——ヒマガ地区保安局が細菌の解析に手間取っている間にも、同様の事件が規模を拡大しつつ発生している。

——いずれの事件においても、死亡した当事者の体内から最初の事件と同じ細菌が検出されたため、犯罪組織による生物兵器を使用したテロの可能性があるとして、統治機構から事件として扱うことが決定された。

そのようなことが説明された。

「なお、事態を重く見た統治機構の指示により、バイオニクスの権威であるギュスターヴ氏を協力者としてお迎えしている」

局長が促すと、離れたところに座っていたギュスターヴが壇上に上がり、一礼した。

「ギュスターヴ氏にはこの細菌の詳細な調査を依頼している。氏が現場に赴くことを希望された際は、協力を頼む」

「宜しくお願いします。こういった場所での行動には慣れていないので、不手際があれば遠慮なく申し出ていただきたい」

 

ブリーフィングが終わった後、クロヴィスはガードナーに事件現場の案内を頼むことにした。

「殆どの現場が検分を終えている。新しい発見があるとは思えないんだが」

「実際に現場を見てみないと気が済まない性分でして。すみません」

「いや、構わんよ。刑事であれば誰もが持つ性分さ」

では、と外へ向かうべく足を向けた二人に、意外な人物が声を掛けてきた。

「現場に行くのなら私も同行したい。いいかな?」

ギュスターヴだった。調査用なのか、少々大きな荷物を持っている。

「あ、あの、実働隊のデュバル刑事はともかく、貴方が行かれる必要は……」

「少々調べたいことがあるのだ。邪魔だというのなら別の手を考えるが?」

「い、いえ。決してそのような……」

ガードナーは通常ならば関わる筈もないテクノクラートの扱いに困っているように見えた。

「ガードナー刑事、彼は専門家です。我々が見落としているものの発見に繋がるかもしれません」

クロヴィスは余計なお節介かと思いつつも、ガードナーに助言する。

「そ、それもそうか」

「デュバル刑事は話がわかるな。では行こうか」

ギュスターヴは人好きのしそうな笑みを浮かべた。これから事件現場に向かうというのに暢気なものだと、クロヴィスは少々呆れていた。

 

事件現場はどこも封鎖されており、人々は事件現場を避けるようにして往来している。

最初の事件現場から一通り案内され、今は直近の事件現場である商店にいた。

クロヴィスは現場の一つ一つを確認するように見ていった。資料と相違ないのは当然として、何か新しい手掛かりがないか探そうと考えたのだ。

背後では、ギュスターヴが調査用の道具を取り出して床の隙間を見分しているようだった。訪れた現場各所でやっていたので、もし何かしらの変化があれば追々耳に入るだろう。

「ふぅむ……。ガードナー刑事、デュバル刑事、これを見てくれ」

幾許かして見せられたのは、何かの粒のような物だった。

壁と床の境目に挟まっていたとのことで、ギュスターヴの使っている装置か高性能な拡大鏡でなければ、視認すら難しい程の小ささだった。

「薬の粒、のようにも見えますね」

風邪薬や胃腸薬などでよく見る、少し黄色がかった顆粒剤のように見えたクロヴィスは、率直に述べる。

「検査してみないと断言できないが、おそらくそうだろうな。ガードナー刑事、死亡した者達の薬暦は調査してあるか?」

「通院暦、処方された薬の種類、服用日数、それらは調査済みです」

「後でその資料を科学検査室に送ってくれ。私はこの粒状物質を調べる」

ギュスターヴは装置を操作しながら慎重に粒状の物を確保した。

 

新たな手掛かりが見つかったため、クロヴィス達は一度保安局に戻ることにした。

帰路の車中に緊急通信が入る。

「何があった?」

「西区大通りで暴動が発生しました。詳細は不明ですが、目撃証言からすると例の細菌による現象かと思われます。至急現場に向かってください」

通信相手の声は落ち着いてはいるが、若干の焦りが含まれているように感じられた。

南区であるここからでは暴動の喧騒は聞こえないものの、異なる地区にいるこちらにも応援要請が掛かったということは、かなり大規模な暴動となっている可能性がある。

「了解、すぐに向かう」

通信を切ると、ガードナーは車を止めた。

「ギュスターヴ技師、緊急事態です。大変申し訳ありませんが現場は危険なためここで降りてください。すぐに迎えを寄越しますので」

「わかった。暴動が沈静した後で検証に向かうことにしよう」

ギュスターヴは素直にガードナーの提案を受け入れる。

「その時はよろしくお願いします」

「では、無事を祈る」

そう言ってギュスターヴは車から降りた。

「さあ、急ぐぞ」

「はい!」

クロヴィスはガードナーと共に、暴動が起きている現場へと急ぐのだった。

「—了—」