筋疲力盡的觸手怪物,和水泡一起緩緩的沉入湖中。
直到從湖面上已經看不見怪物的身影,水泡也停止時,直到剛才還是一片漆黑的湖水,像是騙人般的變成了藍色清澈的水。
從緊張感中放鬆的艾茵在原地跌坐下來。霧氣散開,像是會灼人似的日射照著湖面以及艾茵她們。
艾茵的衣服上沾滿大量怪物的血液,這血液不只會變色,臭味更是令人難以忍耐。一起行動的帕茉和希爾夫也是一樣的情況。希爾夫早就已經跳進水裡。就是一秒也想盡快逃離惡臭。看到那個樣子的艾茵與帕茉情不自禁地笑了出來。
兩個人也為了除去衣服上的血以及惡臭,走到了水邊。
在這個接踵而來的多樣世界中,根據場所的不同,氣候也有很大的差異。有霧氣的時候倒還沒有那麼明顯,其實有著觸手怪物的這地方是很熱的。
一邊在湖裡洗著被怪物血弄髒的衣服,艾茵的意識轉移到其他地方。
那是艾茵原本居住的世界,在『黑色貢多拉搭乘者』們來之前,暴露於妖蛆威脅前的和平世界。
那一天,也是像今天一樣是個很熱的日子。
由於距離艾茵她們所住的集落最近的河川以及湖泊,被當成是聖地的緣故,所以是禁止下水的。
因此為了躲避暑氣,他們必須有走到遠方的湖泊才行。
「姊姊,等等我~」
從後面追趕上來的是比艾茵稍微年幼的獸人,史普拉多。
因為家住得很近,兩個人經常在一起。實際像就像是家人那般的要好。
到了湖邊後,已經有數名先來的人了。看起來像是跟艾茵她們差不多年紀的孩子,也有同一個村子中的熟面孔。
脫下衣服後,艾茵她們也加入到了那個團體之中。
湖水很冰涼也很舒服,總之玩得很高興。沒有人想著要留些體力等等好回去之類的事。
玩累了以後,大家在樹蔭下談著有關未來的事。
有人說要成為了不起的戰士,也有人說想要成為大母大人旁的側近。
艾茵也說了想要成為對村子有用的人。
當然,大家都知道那只不過是休息時間時說的玩笑話。
那時候以為可以一直那樣持續下去,至少到成人儀式為止。
但是,實際上卻不是那樣。所以艾茵才會在這裡。
史普拉多不知道過得好不好,父親,母親,大母大人,村子裡的大家是否都平安無事。還有那個人……。
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平常儘量不去想的事情,一下子在腦中奔騰起來。
自己究竟必須要留在這個異樣的世界到什麼時候呢?
艾茵有必須要完成的使命。為了使命她才從大家身邊,從那個世界離開,開始旅行的。
「你沒事吧?臉色很差呢」
將視線移到聲音的方向,眼前遞過來的是一條毛巾。
那是對艾茵停下來不動的樣子感到奇怪,而過來看看狀況的帕茉。
對著像是不明白她意思的艾茵,帕茉指了指眼睛的位置。艾茵總算發現了。
艾茵的眼眶中流下了淚水。
「謝謝」
艾茵道謝完接過毛巾,用水洗了臉後擦乾。然後朝著她們的引導者走去。
為了要將原本居住的世界以及曖昧的記憶全部找回。她是不能夠停留在這個地方的。
「─完─」
「湖畔」
力尽きた触手の化け物が、水泡と共に湖の中にゆっくりと沈んでいく。
ついに湖面から見えなくなり、水泡も見えなくなると、先程まで黒く淀んでいた湖の水が、嘘のように青く透き通る水へと変化していた。
緊張の糸が切れたアインはその場に座り込んだ。霧は晴れ、焼け付くような日差しが湖とアイン達を照らしていた。
アインの衣服は大量の返り血を浴び、変色しただけではなく、臭いも耐え難いものになっていた。行動を共にしているパルモとシルフにとっても、それは同じようだった。シルフは既にその身を湖に投げだし、一秒でも早く悪臭から逃れようとしていた。その様子を見たアインとパルモは、思わず笑みを溢した。
二人も衣服に付いた血と悪臭を取り除くべく、水辺へと足を運んだ。
この継ぎ接ぎの様な世界は、場所によって気候が大きく異なっていた。霧のあった時はそれ程でもなかったが、触手の化け物がいた場所は暑かった。
化け物の返り血で汚れた衣服を湖で洗いながら、アインの意識は別のところへ移っていった。
それはアインの元居た世界、『黒いゴンドラ乗り』達が来る前であり、妖蛆の脅威に晒される前の平和な世界。
あの日も、今のように暑い日だった。
アイン達の住んでいる集落から最も近い川と湖は聖なるものとされていたために、入水が禁じられていた。
故に暑さから逃れるためには、遠方にある湖まで足を伸ばす必要があった。
「待ってよー。 お姉ちゃん」
後を追ってくるのはアインよりやや年下の獣人、スプラートだった。
家が近かった事もあり、二人はよく行動を共にしていた。実の家族のように仲が良かった。
湖に到着すると、既に数人の先客がいた。見たところアイン達と同年代のようで、同じ村に住む顔見知りもいた。
服を脱ぐと、アイン達もその輪に加わった。
湖の水は冷たくて心地良く、とにかく良く遊び回った。帰る時の体力を残しておこう、などと考えて動いている者は一人もいなかった。
遊び疲れた後は、木陰で将来の事について語り合った。
立派な戦士になると語る者もいれば、大母様をお近くで支えられるようになりたいと語る者もいた。
アインもまた、村のために役立てるようになりたいと語った。
もちろん、僅かばかりの休憩時間に語った戯れにすぎないと、皆が理解していた。
あの時はそれがずっと続くと思っていた。少なくとも成人の儀が終わるまでは。
だが、そうはならなかった。それ故にアインはここにいる。
スプラートは元気にしているだろうか。父さん、母さん、大母様、村の皆は無事だろうか。あの人は……。
普段はなるべく考えないようにしていた事が、一気に頭の中を駆け巡った。
自分はいつまで、この異様な世界に留まらなければならないのだろう。
アインには成すべき使命があった。そのために皆から、あの世界から旅立ったのだ。
「大丈夫? あなた、ひどい顔をしているわよ」
声をした方向に視線を移すと、目の前にタオルが差し出されていた。
手の止まっていたアインを不思議に思い、様子を見に来たパルモだった。
言葉の意味を解さない様子のアインに、パルモが両目の部分を指す。アインはようやく気が付いた。
アインの目から涙が零れていた。
「ありがとう」
礼を言ってタオルを受け取ると、水で涙を洗い流して顔を拭い、そして、彼女達の導き手の元へ歩き出した。
元居た世界と曖昧な記憶。全てを取り戻すためにも、立ち止まるわけにはいかなかった。
「—了—」
力尽きた触手の化け物が、水泡と共に湖の中にゆっくりと沈んでいく。
ついに湖面から見えなくなり、水泡も見えなくなると、先程まで黒く淀んでいた湖の水が、嘘のように青く透き通る水へと変化していた。
緊張の糸が切れたアインはその場に座り込んだ。霧は晴れ、焼け付くような日差しが湖とアイン達を照らしていた。
アインの衣服は大量の返り血を浴び、変色しただけではなく、臭いも耐え難いものになっていた。行動を共にしているパルモとシルフにとっても、それは同じようだった。シルフは既にその身を湖に投げだし、一秒でも早く悪臭から逃れようとしていた。その様子を見たアインとパルモは、思わず笑みを溢した。
二人も衣服に付いた血と悪臭を取り除くべく、水辺へと足を運んだ。
この継ぎ接ぎの様な世界は、場所によって気候が大きく異なっていた。霧のあった時はそれ程でもなかったが、触手の化け物がいた場所は暑かった。
化け物の返り血で汚れた衣服を湖で洗いながら、アインの意識は別のところへ移っていった。
それはアインの元居た世界、『黒いゴンドラ乗り』達が来る前であり、妖蛆の脅威に晒される前の平和な世界。
あの日も、今のように暑い日だった。
アイン達の住んでいる集落から最も近い川と湖は聖なるものとされていたために、入水が禁じられていた。
故に暑さから逃れるためには、遠方にある湖まで足を伸ばす必要があった。
「待ってよー。 お姉ちゃん」
後を追ってくるのはアインよりやや年下の獣人、スプラートだった。
家が近かった事もあり、二人はよく行動を共にしていた。実の家族のように仲が良かった。
湖に到着すると、既に数人の先客がいた。見たところアイン達と同年代のようで、同じ村に住む顔見知りもいた。
服を脱ぐと、アイン達もその輪に加わった。
湖の水は冷たくて心地良く、とにかく良く遊び回った。帰る時の体力を残しておこう、などと考えて動いている者は一人もいなかった。
遊び疲れた後は、木陰で将来の事について語り合った。
立派な戦士になると語る者もいれば、大母様をお近くで支えられるようになりたいと語る者もいた。
アインもまた、村のために役立てるようになりたいと語った。
もちろん、僅かばかりの休憩時間に語った戯れにすぎないと、皆が理解していた。
あの時はそれがずっと続くと思っていた。少なくとも成人の儀が終わるまでは。
だが、そうはならなかった。それ故にアインはここにいる。
スプラートは元気にしているだろうか。父さん、母さん、大母様、村の皆は無事だろうか。あの人は……。
普段はなるべく考えないようにしていた事が、一気に頭の中を駆け巡った。
自分はいつまで、この異様な世界に留まらなければならないのだろう。
アインには成すべき使命があった。そのために皆から、あの世界から旅立ったのだ。
「大丈夫? あなた、ひどい顔をしているわよ」
声をした方向に視線を移すと、目の前にタオルが差し出されていた。
手の止まっていたアインを不思議に思い、様子を見に来たパルモだった。
言葉の意味を解さない様子のアインに、パルモが両目の部分を指す。アインはようやく気が付いた。
アインの目から涙が零れていた。
「ありがとう」
礼を言ってタオルを受け取ると、水で涙を洗い流して顔を拭い、そして、彼女達の導き手の元へ歩き出した。
元居た世界と曖昧な記憶。全てを取り戻すためにも、立ち止まるわけにはいかなかった。
「—了—」