羊角獸(含日版)

「冬日祭」

有人在極寒之地持續走著。

被召喚回現世的兩位戰士身著重裝備,比平常還要慎重的前進著。

「不過還真是該死的冷呀,對吧艾伯?」

艾依查庫對著在前方走著的艾伯說道。

「同感。不過我們倒是還好,反倒是她…」

過去的帝國騎士邊走邊除去防礙前進的雪,邊在意著現在身為他們主人的人偶。



在這個世界持續著的旅途中,遇到的都是一些跟原本世界不一樣的奇妙事物。與人偶少女一起,在這個不存在於現實的土地上持續前進著。依循著她的命令,不管目的地是灼熱的沙漠,還是妖魔的巢穴,或者是被隱藏的財寶之山。

他們渡過了那無數的危機,持續著取回記憶的旅途。



剛剛才結束戰鬥的艾依查庫,可能是受到周圍稀奇的雪景影響吧,比平常還要多話。

「剛剛打倒的那傢伙,讓我想起小時候的事。還記得嗎?以前大屋的領主大人背著的大袋子」

艾伯李斯特試著翻找出久遠前的小時記憶。

「嗯,是在說父親啊」

在大屋時的記憶,是那個時候艾伯李斯特人生中,唯一一段過的最像一般人的時光也不一定。

「那位大人變裝還蠻爛的,每年我們兩個都以此來玩鬧他」

「嗯,的確」



艾伯李斯特的父親是領主,但卻擁有與那個立場完全相反破天荒的個性。每年艾伯李斯特生日的時候都會準備禮物。

即使對傭人兒子的艾依查庫也是相同般的對待,就當他們兩個都是自己兒子似的。然後冬日祭的時候都會親自變裝成白雪精靈,那不像樣的變裝甚至遭到了艾伯李斯特的母親與傭人們的批評指責。



直到前一陣子還連自己的存在都還曖昧的記憶。在經過戰鬥之後慢慢的取回來了。

他們本身的存在就是由記憶所構成的。可以確定的是即使是現在不存在於任何地方家人們的記憶也是形成艾伯李斯特這個人類的一部分。



艾伯李斯特因為有父親是領主身份的立場,年紀相仿的朋友非常的少。所以他好久沒有跟年紀相仿的人說話了,心理有些興奮。

領主的父親和在他身旁的母親。以及幼小的艾伯李斯特所住的領主之館。

有一天突然有一位新傭人來到了此館邸工作。

「快呀艾依查庫,向大家做一下自我介紹」

幼小的艾伯李斯特馬上就理解到艾依查庫就是那個躲在後方的孩子。

「我叫做艾依查庫,請多多指教」

艾伯李斯特則是這樣答道。

「你好呀,艾依查庫,我的名字是艾伯李斯特。父親都叫我艾伯」

「嗯。你好,艾伯」

這一連串的對話讓艾依查庫的父親青了臉。就算是對領主的兒子,剛剛的發言也太失禮了。

「你這小子艾依查庫!艾伯李斯特大人,我兒子這麼無恥的用這種口氣向您說話,真的非常對不起」

看著父親驚慌的樣子,艾依查庫也知道自己失言了,模仿著父親跟著謝罪。

但是那個行為由剛剛都還離有一點距離的艾伯李斯特父親給阻止了。

「沒關係沒關係的。艾依查庫,艾伯就拜託你了」

對於身為雇主的領主所發之言是絕對得聽從的關係,身為傭人的艾依查庫父親也只好勉強接受的樣子。但是就算是艾依查庫也懂得父親疑慮,之後就再也不在父親的面前叫出艾伯這個稱呼了。



然後從那一天開始,艾伯李斯特與艾依查庫就成為了朋友。



碰!

突然的衝擊讓艾伯李斯特一瞬間擺起了迎戰架勢。

但知道其實那衝擊只是來自於雪球而已後,馬上轉向尋找艾依查庫的所在。

「艾依查庫。別做這種無聊事!」

「哈哈,不甘心的話就打回來呀艾伯!」

雪球再度飛過去,艾伯李斯特則閃身躲過。

「厲害哦。下一發是這個!」

「別鬧了」

艾伯李斯特也抓起身旁的雪,丟了回去。

「哈哈,丟不中!好爛哦」

一副不想理他的艾伯李斯特深呼吸了一下後,就再走回原來的路上前進了。

「呿,真不配合」

艾依查庫跑到艾伯李斯特身旁說道。

「你還真是輕鬆啊你」

「沒辦法呀,在這種莫名其妙的地方,再怎麼深思也沒有用嘛」

「嗯,這倒是真的」

艾伯李斯特苦笑地同意著。

「喔對,跟我交換吧,帶頭」

這次由艾依查庫帶頭,繼續往雪地前進。

艾伯李斯特則是向稍微走在後方的人偶問道。

「沒事吧?很快就可以走出這兒了」



「─完─」

日文版
「冬祭り」

極寒の地を歩き続ける者達がいた。

現世より召喚された二人の戦士は重装備で身を固め、いつもより慎重に歩を進めていた。

「しっかし、クソ寒いな、エヴァ」

アイザックは前を進むエヴァリストに声を掛けた。

「同感だな。 しかし、私達はいいが、彼女は……」

かつての帝國騎士は進行の妨げとなる雪を崩しながら、今では自らの主である人形を気にしていた。

 

この世界で続ける旅は、現世とは全く異なる、奇妙なものだった。人形である少女と共に、この世ならざる土地を彼女の言葉のままに進み続ける。そこは灼熱の砂漠であったり、妖魔の巣窟であったり、隠された財宝の山であったりした。

彼らはそれら無数の危機を乗り越えて、自身を取り戻す旅を続けていた。

 

先程戦いを終えたばかりのアイザックは、珍しい周囲の雪景色のせいか、いつもより饒舌に語る。

「さっき倒した奴といい、ガキだった頃を思い出すぜ。昔、領主様が大きな袋を担いでいたのを覚えてるか?」

エヴァリストは、遙か昔に感じられる遠い記憶を手繰り寄せた。

「ああ、父のことか」

それは屋敷にいた頃の記憶。あの頃はエヴァリスト達の人生の中で、唯一人並みの人生を送っていた時間だったかもしれない。

「あのお方は変装が下手で、毎年二人でからかってたもんだ」

「そうだな」

 

エヴァリストの父親である領主は、その立場とは裏腹にとても破天荒な性格だった。毎年エヴァリストの誕生日にはプレゼントを用意した。それは使用人の息子であるアイザックに対しても同じで、自らの子供と同じように接していた。また、冬祭りになると自らが吹雪の精霊に変装し、エヴァリストの母親や使用人達に咎められたこともあった。

 

少し前までは、その存在すら曖昧な記憶だった。それは、戦い続ける時間の中で少しずつ取り戻していったものだった。

自身の存在は記憶によって作られている。今は何処にも存在しない家族であっても、エヴァリストという人間を形作る一部であるのは確かだった。

 

領主である父とそれに付き添う母。そして幼いエヴァリストが暮らしていた領主の館。

そこへある日突然、新たな使用人が仕えることになった。

「ほらアイザック、皆様に自己紹介だ」

アイザックとは、後ろに隠れている使用人の子供のようだ。幼いエヴァリストはすぐに理解した。

エヴァリストは、父親が領主という立場もあってか、同年代の友達といえる存在が非常に少なかった。そのため、まともに同年代の人間と話すのはとても久しぶりで、心が浮き足立っていた。

「僕の名前はアイザック。よろしくおねがいします」

エヴァリストはそれに答える。

「よろしく、アイザック。僕の名前はエヴァリスト。父さんにはエヴァって呼ばれてる」

「うん。よろしく、エヴァ」

一連の会話を聞いていたアイザックの父親が青ざめた。相手が子供とはいえ、今の発言は間違いなく失言だった。

「こらアイザック!エヴァリスト様、我が息子が馴れ馴れしい口をきき、誠に申し訳ございません」

父親の様子を見て自分の失言に気付いたアイザックも、それに倣って謝罪する。

しかし、それを一歩離れた位置から様子を見ていたエヴァリストの父親が止めた。

「まぁまぁ、その辺でいいじゃないか。アイザック君、これからもエヴァをよろしく頼むよ」

雇い主である領主の発言は絶対であり、使用人であるアイザックの父親も渋々といった表情で納得した。しかしさすがのアイザックも気後れし、自らの父親の前ではエヴァと呼ぶことはしなくなった。

 

そして、この日からエヴァリストとアイザックは友達となった。

 

ドスン。

突然の衝撃に、エヴァリストは一瞬身構える。

しかし、それがただの雪のつぶてだとわかると、振り返ってアイザックを探す。

「馬鹿な真似は止めろ。アイザック」

「はは、悔しかったらやりかえせ。 エヴァ」

再び雪のつぶてが飛んでくる。身を捻ってかわす。

「やるな。 次はどうだ!」

「いいかげんにしろ」

エヴァリストも側にあった雪を掴み、投げ返す。

「はは、へたくそー」

やれやれといった調子で大きく息をつくと、エヴァリストは再び踵を返して雪道を進んでいく。

「ちぇっ、付き合いの悪い」

アイザックはエヴァリストの元まで走ってきて言う。

「呑気なものだな、お前は」

「まあ、こんな訳のわからん場所じゃ、細々思い悩んでも埒が明かねーからな」

「確かに、一理はある」

エヴァリストは苦笑いで同意した。

「おっと、替わるぜ、先頭」

今度はアイザックが先頭になり、雪道を進んでいく。

エヴァリストは少し離れた後ろを歩く人形へ話し掛けた。

「雪道は平気か? もうすぐここから出られそうだ」

「—了—」