平常都有被聖女召集來的佈告者們聚集在此,很熱鬧的聖女之館。但是現在卻一片寂靜。
在大廳的一張桌子,有四位戰士手持著數張卡片,屏氣凝息地相互瞪眼。
在這樣的氛圍裡,以戰士來說比較是『新人』的迪諾,從利恩拿著的卡片中選了一張。
「讚……啦啦啦啦啦!」
「啊啊啊啊啊!」
把抽到的卡片和手上的卡片丟了出來,欣喜的迪諾與不甘心的利恩。
在一旁有一臉無力的阿貝爾和里斯看著他們。
「又是他第一名嗎!這傢伙的運氣到底是怎麼回事!」
「嘿嘿,運氣也是一種實力!」
「可惡!玩不下去了。我不玩了」
「我也退出。不好意思啦」
「喔!只是打發時間而已,別在意!」
「特別過來陪我們玩抱歉啊」
目送阿貝爾與利恩走之後,迪諾看著館邸窗戶外的景色。
看到灰色的天空正下著雪。
「這種地方也會下雪啊」
「嗯。但是,有時候也會突然像南方一樣炎熱」
凝視著外面雪景的迪諾腦海中,回想起了過去。
「里斯啊,還記得嗎?在連隊,三期的傢伙們入隊時的那個宴會」
「真突然啊」
「我現在想起來了。不過也只想起了這一點兒而已」
「說起來,那時候也是像這樣下著雪的時期吧」
「雖然都是些粗俗的傢伙。不過好想再像那時一樣瞎鬧啊」
迪諾懷念著過去,看著窗外。
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在設施中也算特別寬廣的一個大廳裡,連隊所屬的所有人被集合在此。包括操作員與工程師,因為設施裡所有人都集合在此,只有這時讓寬廣的大廳顯得特別狹小。
酒與餐點,也都比平常配給的東西還要高級。
「感謝各位百忙之中聚集而來。這是為了嘉勉與慰勞為了解放地上而戰的各位。讓我們共襄盛舉吧」
就在史達林簡短的致詞結束後,男人們馬上就開始像淋浴般地大口喝酒。
最近才入隊的男人們,也都是不輸老隊員的勇猛強者。不曉得是偶然還是必然的,酒也喝得多。
迪諾也開開心心地拿著酒杯,從酒樽把酒往杯裡倒。
「哦,你們有在喝嗎~?」
迪諾手拿酒杯往看到的隊員走去。
雖然是不太熟識的面孔,但馬上就知道是三期的隊員。
「是的!」
「那當然囉!」
「哇哈哈哈哈,真有氣魄!本大爺是迪諾。隸屬於E中隊。多指教啊」
各自自我介紹完時,周圍也各自成群了。
有只顧著吃飯喝酒的人,也有嚴肅地與隊長級隊員談話的人,也有像迪諾這樣不管對方年齡或入隊時期都能混熟的人。
迪諾重複著在去拿酒或餐點的時候順道加入別的集團,享受著與平常不同的愉快氣氛。
「你們好像很開心啊。這裡似乎最吵鬧啊?」
里斯與出葉經過。好像是拿完酒正要回去原地的途中。
「別那麼說嘛!你們也加入啊!」
「那就讓我加入吧。出葉你呢?」
「……我,小隊長在叫我過去」
「真可惜。那你想過來時要再回來哦」
「嗯……」。
目送出葉走掉之後,里斯把杯子放在桌上坐了下來。
「你們是新面孔嘛」
「三期的伯恩哈德與弗雷特里西。聽說他們二個是雙胞胎哦」
「哦,這樣啊。我是里斯。和這傢伙一樣是E中隊的」
「請多多指教」
「承蒙照顧」
他們兩個雖然與迪諾跟里斯年齡相仿,但似乎感覺到他們很緊張。
「好僵硬呀。再放輕鬆一點如何?一直那麼緊張的話會無法撐到作戰的哦?」
迪諾看著二人的樣子,也裝模作樣起來。
「因為才剛來沒多久的關係。我想會慢慢地習慣的」
「啊哈哈哈。果然才一天兩天是不可能會習慣的呀」
伯恩哈德與弗雷特里西互看了對方一眼,各自回答道。
「所屬的中隊也還沒確定。不用急著說這些吧」
「對啊。啊─不過在那之前還有麻煩的訓練呢……」
「究竟是什麼樣的訓練?聽說是使用一些沒見過的機器」
「這個嘛,要學怎麼開武裝車,還要學怎麼使用那把有接線的,像劍一樣的武器──」
面對伯恩哈德的詢問,迪諾一邊回想著自己訓練時的情況一邊回答道。
「還有,突擊步槍的射擊訓練」
「喔對了,那個那個。你們兩個有用槍的經驗嗎?」
里斯幫忙迪諾簡單說明訓練內容後,迪諾向二人問道。
「伯恩哈德有使用過獵槍的經驗對吧。我倒是有點不擅長」
「嗯。但是,沒有使用過像突擊步槍那種正式東西的經驗」
「反正,有什麼不懂的地方可以隨時來問本大爺我哦!」
迪諾挺起胸膛,一口氣將酒飲盡。
「哦哦。在作戰中搞錯聖劍使用方法的傢伙,現在變得這麼偉大了啊」
後方出現了大大地身影,迪諾轉過頭去。
原來那身影是米利安。
「呃!米利安中隊長……之前的那個是,那個……」
「這是個好機會。你也加入三期的訓練,再一次從基礎重新學習兵裝的使用方法如何?」
看著說話吞吞吐吐的迪諾,米利安浮現出寓意不明的笑容說道。
「饒了我吧!」
米利安的發言,讓在場的伯恩哈德與弗雷特里西忍不住笑了出來。
那是迪諾得意忘形的謊言被拆穿的瞬間。
「難得想要在晚輩面前表現一下的說。真是的」
「不用勉強裝出前輩的樣子啦」
加上里斯補的這一槍,這下子迪諾完全抬不起頭來了。
「我們很期待你在作戰裡的活躍表現!」
「請讓我們看看你的示範!」
「你看他們這麼說呢。迪諾,麻煩你別丟臉好好做哦」
「可惡!作戰的時候就算你哇哇大哭,我也絕對不會去救你的!!」
|
回想起開心回憶的同時,同時也想起了想忘掉的丟臉往事,迪諾垂下了頭。
「嗚~哇。本大爺超丟臉的」
「哈哈哈。在回想起過去記憶的時候,常常會這樣」
「本大爺,不要恢復記憶說不定比較好……」
「這也不對。我們有該做的事。所以不得不取回過去的記憶。這你應該懂吧?」
「嗯。雖然是這樣沒錯。不過該怎麼說好,就那個不得不回去地上那焦躁感讓我很不舒服」
「總有一天會明白的。在這之前只能聽從引導者的指示」
「大爺我,真的可以只聽從那個什麼聖女說的話就行了嗎?」
「現在最好的手段也就只有這樣了」
迪諾不太能接受里斯的回答。
已取回某種程度記憶的里斯,與只記得自己曾是連隊隊員的迪諾。對於在這個世界的生存方式,二人多少有些在想法上的差異。
「算了,就放輕鬆過吧」
剛好引導者結束休息,帶著艾伯李斯特一同回到了大廳。
「大,大小姐。休息夠了嗎?」
引導者聽到迪諾的話後,微微地點點頭,拉了拉迪諾、里斯以及艾伯李斯特的衣服。
「引導者似乎要馬上出發了。二位也準備好了嗎?」
聽了艾伯李斯特的話,迪諾與里斯站了起來。已經準備好出發了。
「嗯」
「交給本大爺吧!」
|
「─完─」
「酒とレジメントと馬鹿騒ぎ」
いつもは聖女に集められたヘラルド達で賑わう聖女の館。だが今は静寂さを見せていた。
ロビーにあるテーブルで四人の戦士が数枚のカードを持ち、息を潜めてじっと睨み合っている。
そんな雰囲気の中、戦士としては比較的『新参者』であるディノが、レオンの持つカードの中から一枚を選んだ。
「よっ……しゃああああああ!」
「あああああ!」
引いたカードと手持ちのカードを放り投げて喜ぶディノと、悔しがるレオン。
その様子を呆れたように眺めるアベルとリーズ。
「またイチ抜けかよ! こいつの運はどうなってんだ!」
「へっへーん、運も実力のうちってな!」
「畜生! もうやってられん。俺は抜けるぞ」
「俺も抜けるとしよう。済まんな」
「おう、ただの暇潰しだ。気にすんな!」
「わざわざ付き合わせて悪かったな」
アベルとレオンが去っていくのを見送ると、ディノは館の窓から外の景色に目をやった。
灰色の空から雪がちらついているのが見える。
「こんな場所でも雪は降るんだな」
「ああ。だが、急に南の地方のような暑さがやって来ることもある」
じっと外の雪を眺めていたディノの脳裏に、かつての記憶が蘇る。
「なぁリーズ、覚えてるか? 連隊でよ、三期の連中が入隊してきた時にやった宴会」
「唐突だな」
「いま思い出したんだよ。つっても、それだけなんだけどな」
「そういえば、こんな雪の時期だったか」
「むさい連中だったけど。またあんな風に馬鹿騒ぎをやりてぇな」
ディノは以前を懐かしむように、窓の外を眺めていた。
施設の中でもとりわけ広い場所であるホールに、レジメントに所属する全員が集められていた。オペレーターもエンジニアも、施設にいる全ての人間がホールにいるため、この時ばかりは広いはずのホールが狭く見えた。
酒や食事は、普段支給されるものよりも上等だった。
「忙しい中よく集まってくれた。地上の解放という大儀のために戦う諸君らへの賞賛と労いだ。盛大にやろう」
スターリングの短い挨拶が終わるが早いか、男達は浴びるように酒を飲み始めた。
最近になって入隊してきた男達も、以前からいる隊員達に負けず劣らずの猛者だ。偶然か必然か、酒呑みも多い。
ディノもいそいそと杯を抱え、酒樽から酒を注ぐ。
「おう、お前ら飲んでるかー?」
ディノは杯を持って目に付いた隊員のところに行った。
あまり面識がない隊員達だったが、三期のメンバーであることはすぐにわかった。
「はい!」
「そりゃもう!」
「だはははは、勢いがあるな! 俺様はディノってんだ。E中隊に所属してる。よろしくな」
各人が自己紹介を済ませた頃には、あちこちに人の群れができていた。
ひたすら飯や酒を食らう者、隊長格の隊員と真面目に話し込む者、ディノのように年齢や入隊期を問わずに騒ぐ者もいた。
ディノは酒や飯を取りに行くついでに別の集団に出入りを繰り返し、普段はない浮かれた雰囲気を楽しんでいた。
「楽しそうだな。ここが一番うるさいんじゃないか?」
リーズとイデリハが通りかかる。杯に酒を入れて元の場所に戻る途中のように見えた。
「そう言うなって! お前らも混ざれよ!」
「そうするとしよう。イデリハ、お前は?」
「……オイは、小隊長に呼ばれてるけ」
「なんだ残念だな。気が向いたら戻ってこいよな」
「そうする……」
イデリハが去るのを見送ると、杯をテーブルに置いたリーズが席に着く。
「初めて見る顔だな」
「三期のベルンハルトとフリードリヒだ。こいつら双子なんだってよ」
「ほう、そうなのか。俺はリーズ。こいつと同じE中隊だ」
「よろしくお願いします」
「お世話になります」
ディノやリーズとそう年齢は変わらないようだったが、どこか気を張っている雰囲気があった。
「堅いねぇ。もっと気を抜いたらどうだ? そんなに緊張してたら作戦まで保たねぇぞ?」
ディノは二人の様子を見て、気合を入れるような仕草をする。
「まだこちらに来たばかりですので。少しずつ慣れていこうと思います」
「あははは。さすがに一日や二日じゃ無理ですよ」
ベルンハルトとフリードリヒは一瞬だけ顔を見合わせると、それぞれに答えた。
「まだ所属中隊も決まってないんだ。あんまり急いたことは言わなくてもいいだろう」
「それもそうか。あー、でもその前に面倒な訓練があるんだよな……」
「一体どんなことを? 見たこともない機器を使うという話は聞いていますが」
「えーっと、コルベットの操縦だろ、それにコードに繋いだ剣みたいな武器の取り扱いも覚えなきゃならねぇし——」
ベルンハルトに尋ねられ、ディノは自分の訓練時を思い出しながら答えていく。
「あと、アサルトライフルの射撃訓練があるな」
「おぅ、それだそれ。二人とも銃の経験は?」
リーズに助け船を出してもらいながらも簡単な訓練の説明を終えると、ディノは二人に聞き返した。
「ベルンハルトは猟銃を使ったことがあるよな。俺は苦手っスね」
「ああ。ですが、アサルトライフルのような大掛かりなものは経験がないです」
「ま、わからなくなったらいつでも俺様に聞いてくれよな!」
酒を一気に呷って、ディノは胸を張った。
「ほほう。作戦中にセプターの取り扱いを間違えるような人間が、随分と偉くなったものだな」
後ろにできた大きな影に、ディノはぎょっとして振り向いた。
影の正体はミリアンだった。
「げっ! ミリアン中隊長……この間のあれは、そのー……」
「いい機会だ。三期の訓練に混じって、もう一度基礎から兵装の取り扱いを学び直してきたらどうだ?」
しどろもどろになるディノに、ミリアンは何とも言えない笑みを浮かべるとそう言い切った。
「勘弁してくれーっ!」
ミリアンの発言に、ベルンハルトとフリードリヒから笑いが漏れた。
ディノのお調子者ぶりが早くも露呈してしまった瞬間だった。
「せっかく後輩にいいとこ見せようとしたらコレだよ。ったく」
「無理して先輩面する必要もないだろうさ」
リーズからの追撃もあり、ディノは今度こそ肩を落とした。
「作戦での活躍、期待してます!」
「俺達に手本を見せて下さい!」
「だ、そうだ。ディノ、恥ずかしくない振る舞いを頼んだぞ」
「くっそー! 作戦のときにピーピー泣いても、ぜってー助けてやんねーかんな!!」
楽しかったことついでに、思い出さなくてもよかった恥ずかしいことまで思い出してしまい、ディノは項垂れた。
「うーわ。俺様超ハズカシー」
「ははは。記憶が戻るときには、そういうことも往々にしてある」
「俺様、記憶が戻らないままの方がいいのかも……」
「そうでもないさ。俺達にはやることがある。だから記憶を取り戻さなければならない。それはわかるだろう?」
「いや、そりゃそうなんだけど。なんつーかよ、地上に戻らなきゃならねえっつー焦りだけがあるのが気持ち悪くて」
「いつかわかる日が来るさ。それまでは導き手に従うしかない」
「俺様、本当にこのまま聖女とやらの言うことを聞いてるだけでいいんだろうかね?」
「いま取れる最良の手段がそれだからな」
リーズの言葉にも、ディノは腑に落ちない思いのままでいた。
ある程度の記憶を取り戻しているリーズ、レジメントの隊員だったくらいのことしか覚えていないディノ。この世界での自身のあり方について、二人には多少の温度差があった。
「ま、気楽にやりますかね」
ちょうど導き手が休憩を終え、エヴァリストに連れられてロビーへ戻ってきた。
「お、お嬢ちゃん。 ちゃんと休んだか?」
ディノの言葉に導き手は小さく頷くと、ディノとリーズ、そしてエヴァリストの服を引っ張る。
「導き手はすぐに出発するそうだ。二人とも準備はいいか?」
エヴァリストに言われてディノとリーズは立ち上がる。旅の準備はできていた。
「ああ」
「任せとけ!」
「—了—」
いつもは聖女に集められたヘラルド達で賑わう聖女の館。だが今は静寂さを見せていた。
ロビーにあるテーブルで四人の戦士が数枚のカードを持ち、息を潜めてじっと睨み合っている。
そんな雰囲気の中、戦士としては比較的『新参者』であるディノが、レオンの持つカードの中から一枚を選んだ。
「よっ……しゃああああああ!」
「あああああ!」
引いたカードと手持ちのカードを放り投げて喜ぶディノと、悔しがるレオン。
その様子を呆れたように眺めるアベルとリーズ。
「またイチ抜けかよ! こいつの運はどうなってんだ!」
「へっへーん、運も実力のうちってな!」
「畜生! もうやってられん。俺は抜けるぞ」
「俺も抜けるとしよう。済まんな」
「おう、ただの暇潰しだ。気にすんな!」
「わざわざ付き合わせて悪かったな」
アベルとレオンが去っていくのを見送ると、ディノは館の窓から外の景色に目をやった。
灰色の空から雪がちらついているのが見える。
「こんな場所でも雪は降るんだな」
「ああ。だが、急に南の地方のような暑さがやって来ることもある」
じっと外の雪を眺めていたディノの脳裏に、かつての記憶が蘇る。
「なぁリーズ、覚えてるか? 連隊でよ、三期の連中が入隊してきた時にやった宴会」
「唐突だな」
「いま思い出したんだよ。つっても、それだけなんだけどな」
「そういえば、こんな雪の時期だったか」
「むさい連中だったけど。またあんな風に馬鹿騒ぎをやりてぇな」
ディノは以前を懐かしむように、窓の外を眺めていた。
施設の中でもとりわけ広い場所であるホールに、レジメントに所属する全員が集められていた。オペレーターもエンジニアも、施設にいる全ての人間がホールにいるため、この時ばかりは広いはずのホールが狭く見えた。
酒や食事は、普段支給されるものよりも上等だった。
「忙しい中よく集まってくれた。地上の解放という大儀のために戦う諸君らへの賞賛と労いだ。盛大にやろう」
スターリングの短い挨拶が終わるが早いか、男達は浴びるように酒を飲み始めた。
最近になって入隊してきた男達も、以前からいる隊員達に負けず劣らずの猛者だ。偶然か必然か、酒呑みも多い。
ディノもいそいそと杯を抱え、酒樽から酒を注ぐ。
「おう、お前ら飲んでるかー?」
ディノは杯を持って目に付いた隊員のところに行った。
あまり面識がない隊員達だったが、三期のメンバーであることはすぐにわかった。
「はい!」
「そりゃもう!」
「だはははは、勢いがあるな! 俺様はディノってんだ。E中隊に所属してる。よろしくな」
各人が自己紹介を済ませた頃には、あちこちに人の群れができていた。
ひたすら飯や酒を食らう者、隊長格の隊員と真面目に話し込む者、ディノのように年齢や入隊期を問わずに騒ぐ者もいた。
ディノは酒や飯を取りに行くついでに別の集団に出入りを繰り返し、普段はない浮かれた雰囲気を楽しんでいた。
「楽しそうだな。ここが一番うるさいんじゃないか?」
リーズとイデリハが通りかかる。杯に酒を入れて元の場所に戻る途中のように見えた。
「そう言うなって! お前らも混ざれよ!」
「そうするとしよう。イデリハ、お前は?」
「……オイは、小隊長に呼ばれてるけ」
「なんだ残念だな。気が向いたら戻ってこいよな」
「そうする……」
イデリハが去るのを見送ると、杯をテーブルに置いたリーズが席に着く。
「初めて見る顔だな」
「三期のベルンハルトとフリードリヒだ。こいつら双子なんだってよ」
「ほう、そうなのか。俺はリーズ。こいつと同じE中隊だ」
「よろしくお願いします」
「お世話になります」
ディノやリーズとそう年齢は変わらないようだったが、どこか気を張っている雰囲気があった。
「堅いねぇ。もっと気を抜いたらどうだ? そんなに緊張してたら作戦まで保たねぇぞ?」
ディノは二人の様子を見て、気合を入れるような仕草をする。
「まだこちらに来たばかりですので。少しずつ慣れていこうと思います」
「あははは。さすがに一日や二日じゃ無理ですよ」
ベルンハルトとフリードリヒは一瞬だけ顔を見合わせると、それぞれに答えた。
「まだ所属中隊も決まってないんだ。あんまり急いたことは言わなくてもいいだろう」
「それもそうか。あー、でもその前に面倒な訓練があるんだよな……」
「一体どんなことを? 見たこともない機器を使うという話は聞いていますが」
「えーっと、コルベットの操縦だろ、それにコードに繋いだ剣みたいな武器の取り扱いも覚えなきゃならねぇし——」
ベルンハルトに尋ねられ、ディノは自分の訓練時を思い出しながら答えていく。
「あと、アサルトライフルの射撃訓練があるな」
「おぅ、それだそれ。二人とも銃の経験は?」
リーズに助け船を出してもらいながらも簡単な訓練の説明を終えると、ディノは二人に聞き返した。
「ベルンハルトは猟銃を使ったことがあるよな。俺は苦手っスね」
「ああ。ですが、アサルトライフルのような大掛かりなものは経験がないです」
「ま、わからなくなったらいつでも俺様に聞いてくれよな!」
酒を一気に呷って、ディノは胸を張った。
「ほほう。作戦中にセプターの取り扱いを間違えるような人間が、随分と偉くなったものだな」
後ろにできた大きな影に、ディノはぎょっとして振り向いた。
影の正体はミリアンだった。
「げっ! ミリアン中隊長……この間のあれは、そのー……」
「いい機会だ。三期の訓練に混じって、もう一度基礎から兵装の取り扱いを学び直してきたらどうだ?」
しどろもどろになるディノに、ミリアンは何とも言えない笑みを浮かべるとそう言い切った。
「勘弁してくれーっ!」
ミリアンの発言に、ベルンハルトとフリードリヒから笑いが漏れた。
ディノのお調子者ぶりが早くも露呈してしまった瞬間だった。
「せっかく後輩にいいとこ見せようとしたらコレだよ。ったく」
「無理して先輩面する必要もないだろうさ」
リーズからの追撃もあり、ディノは今度こそ肩を落とした。
「作戦での活躍、期待してます!」
「俺達に手本を見せて下さい!」
「だ、そうだ。ディノ、恥ずかしくない振る舞いを頼んだぞ」
「くっそー! 作戦のときにピーピー泣いても、ぜってー助けてやんねーかんな!!」
楽しかったことついでに、思い出さなくてもよかった恥ずかしいことまで思い出してしまい、ディノは項垂れた。
「うーわ。俺様超ハズカシー」
「ははは。記憶が戻るときには、そういうことも往々にしてある」
「俺様、記憶が戻らないままの方がいいのかも……」
「そうでもないさ。俺達にはやることがある。だから記憶を取り戻さなければならない。それはわかるだろう?」
「いや、そりゃそうなんだけど。なんつーかよ、地上に戻らなきゃならねえっつー焦りだけがあるのが気持ち悪くて」
「いつかわかる日が来るさ。それまでは導き手に従うしかない」
「俺様、本当にこのまま聖女とやらの言うことを聞いてるだけでいいんだろうかね?」
「いま取れる最良の手段がそれだからな」
リーズの言葉にも、ディノは腑に落ちない思いのままでいた。
ある程度の記憶を取り戻しているリーズ、レジメントの隊員だったくらいのことしか覚えていないディノ。この世界での自身のあり方について、二人には多少の温度差があった。
「ま、気楽にやりますかね」
ちょうど導き手が休憩を終え、エヴァリストに連れられてロビーへ戻ってきた。
「お、お嬢ちゃん。 ちゃんと休んだか?」
ディノの言葉に導き手は小さく頷くと、ディノとリーズ、そしてエヴァリストの服を引っ張る。
「導き手はすぐに出発するそうだ。二人とも準備はいいか?」
エヴァリストに言われてディノとリーズは立ち上がる。旅の準備はできていた。
「ああ」
「任せとけ!」
「—了—」