「我說,就這樣一直線的繼續前進真的沒有關係嗎?」
露緹亞詢問著背在背上的引導者。
在她們眼前的是廣闊無際的雪原。就連一眼望去夕陽落下的遠方,也是相同的景色在不斷延續著。
跟著引導者前進的時候,突然冒出這個大雪地區。
跟著即使如此大雪也沒有停下腳步不斷前進的引導者後面一直走,但雪越來越深,引導者竟然被雪埋住的關係,所以才會由露緹亞背著走。
引導者沒有回答露緹亞的問題。
「……果然還是保持沉默嗎。到底該怎麼辦才好」
露緹亞邊吐著白煙,邊在廣大的雪地裡一味地前進。
「引導者小姐有說什麼了嗎?就這樣前進下去遇難的話,可不是說笑的哦」
在露緹亞的前方,正在用魔杖畫出來的鏟子將雪鏟開的梅莉回過頭來問道。
「不,什麼都沒說」
「真是沒辦法。如果有什麼反應的話再告訴我吧」
「嗯,我知道了」
踩雪發出的聲音,背著像小孩一樣的人偶。
露緹亞想起,這麼說來在很久以前好像也有像這樣讓人背過──。
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因為雙親『工作』的關係造訪了連隊的設施。因為這次的『工作』話題比以往要來的長,感到無趣的露緹亞悄悄地跑出房間,在設施裡閒逛。
起初抱著探險的心情顯得興奮,不過走到哪裡都是長一樣的通道,心情逐漸由開心轉變成害怕。
邊半哭邊在通道上晃來晃去的時候,被剛結束訓練的連隊騎士們看到了。
「小姐,妳是從哪裡來的啊?」
最先發現露緹亞的是一位咖啡色頭髮的男子,他為了配合露緹亞的視線蹲了下來,用特別親切的聲音問道。
「那個……嗚……」
我迷路了。本來只要說這麼一句話就可以了,但害怕到動彈不得的露緹亞口中,只能發出就快哭出來,那不成言語的聲音。
「不知道嗎。該怎麼辦才好……」
男子一臉困擾的看著自己。周圍的大人們也是一樣一臉困擾,互相看對方。
「要不要問一下中隊長。可能知道些什麼」
不知道是誰提出來的,聯絡了某個地方。周圍變得吵雜了起來。
當心中還在想說不知道自己會變得如何時,就被剛剛向自己問話的咖啡色髮男子背了起來。
「已經找到小姐妳的父親跟母親了。我帶妳去」
「好好地送她過去哦,里斯」
「我知道啦。好,走吧」
男子們邊開著玩笑,邊讓他背著露緹亞,往某個地方去。
「雖然會有點冷,忍耐一下哦」
里斯打開門後,走到了積雪的廣場。微微地飄著雪,可以看到廣場上積滿了雪。
「為什麼這麼冷還要到外面?」
「從這邊過去的話,馬上就可以回到你原本在的房間。而且妳爸爸應該也在擔心,當然是越快越好對吧?」
「……會擔心,我嗎?」
「那當然囉。這麼小的孩子不見了啊」
「他們一直都只管工作,就算是我不見了也不會擔心啦」
「不。沒有父母親會不擔心自己小孩的」
「是這樣的嗎?我不知道啦……」
就在這簡短的對話中,已經回到了一開始的房間。
平常都只專注於『工作』沒有因慌張而大聲過的父母親,只有那時候非常地生氣。
那個叫里斯的男子說的話果然沒有錯。不過在那之後,不論是成為迷路的孩子,還是做了會被罵的惡作劇都沒有機會,就跟父母親生離死別了。
|
話說那時的大哥哥──也就是里斯──,在那之後好像又在哪裡遇到過。雖然想不起來在哪裡,但是對話過的印象似乎記憶猶新。
奇怪的是,大哥哥的外貌跟小時候自己迷路那時幾乎沒有變化的樣子……。
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因為那非常奇怪並且像被打上馬賽克般模糊的記憶而感到混亂時,露緹亞的頭頂突然感到疼痛。
「呀!好痛!我說好痛!等等,喂,不要拉我的頭髮!」
似乎是想要改變路線的引導者,用外表看不出來的力氣拉著露緹亞的馬尾,邊看著右斜前方的方向。
「哎呀,不可以這樣哦,引導者小姐。姊姊很痛呢。只要往這邊前進就可以了對吧?」
聽到露緹亞叫聲的梅莉,輕輕地摸引導者的手。引導者好像知道她的意思有傳達到了,放鬆了抓著頭髮的手。
梅莉用鏟子向著引導者看著的方向,再次開始剷雪清出道路。引導者不再拉扯頭髮,看來應該就是這個方向沒錯。
「看來好像是。那麼,繼續前進吧」
不管再怎麼思考,想不起來也沒辦法。只好把模糊不協調的感覺放到腦中的角落,跟在梅莉的後面繼續前進。
就算改變了路徑依舊是看不到前方的雪原持續著。雪原不知道什麼時候,就像那時一樣飄起了小雪。
|
「─完─」
「六花の思い出」
「なあ、本当にこのまま真っ直ぐで大丈夫なのか?」
ルディアは背中におぶさっている導き手に尋ねた。
彼女達の目の前には見渡す限りの雪原が広がっている。霞掛かった視線の先でさえも、同じような景色が続いている。
導き手の歩むままに進んでいたところ、この豪雪地帯に出くわしてしまった。
それでも歩みを止めない導き手に従っている内に雪深くなっていき、とうとう導き手が雪に埋まってしまう事態に陥ったため、今はルディアが背負っている。
ルディアの問いに導き手が答えることはない。
「……やっぱり黙ったままか。どうしたもんかね」
白い溜息を吐き出しながら、延々と続く雪原をひたすら歩く。
「導き手さんから何かありまして? このまま進んで遭難なんてことになったら、洒落ではすみませんわよ」
ルディアの前方で、ステッキで描いたスコップで雪を掻き分けていたメリーが振り返る。
「いや、さっぱりだ」
「仕方ありませんわね。何か反応があったら教えて下さいまし」
「ああ、わかった」
ザクザクと雪を踏む音、背中に背負った子供の人形。
そういえば昔、こんな風に人に背負ってもらったなとルディアは思った——。
両親の『おしごと』の都合で訪れたレジメントの施設。いつも以上に長引く『おしごと』の話に退屈となったルディアは、こっそりと部屋を抜け出して施設の中を歩いてみることにした。
最初こそ探検気分、わくわく気分だったが、どこまで歩いても変わらない通路を歩いていく内に、その思いは恐怖へと変わっていった。
半べそをかきながら通路をうろうろしていたところを、トレーニング帰りらしいレジメントの騎士達に見つけられた。
「お嬢ちゃん、どこから来たんだい?」
ルディアの存在に最初に気付いた茶髪の男が、屈んでルディアの目線を合わせ、存外に優しい声で問い掛けてきた。
「え、っと……うえぇ……」
道に迷った。その一言を言えばす済んだ筈なのに、恐怖に固まったルディアの口からは泣きべそをかく寸前の、言葉にならない声しか出てこなかった。
「わからないか。どうしたものか……」
困り顔で自分を見ている男の人。周囲にいる大人達も同様に困った顔をして、お互いの顔を見合っていた。
「中隊長に問い合わせてみるか。何か知っているかもしれない」
誰かがそう言いながら、どこかに連絡をしていた。周囲が騒がしくなる。
どうなっちゃうんだろうと思っていると、先程話し掛けてきた茶髪の男に背負われた。
「お嬢ちゃんのお父さんとお母さんが見つかったってさ。 連れて行ってやるよ」
「ちゃんと送り届けてやるんだぞ、リーズ」
「わかってるよ。 さ、行くぞ」
男達に茶々を入れられながら、リーズと呼ばれた男の人に背負われて、どこかに向かっていく。
「ちょっと寒いけど、我慢してくれよ」
リーズが扉を開けると、雪が積もった広場に出た。微かに雪が降っており、それが広場に積もっていくのが見えた。
「どうして寒いのにお外にでたの?」
「ここを突っ切っれば、すぐに元いた部屋に着くんだ。 お父さんたちも心配してるだろうし、早いほうがいいだろう?」
「……心配、してるのかな?」
「そりゃそうだ。 こんな小さい子がいなくなったんだからな」
「いつもおしごとばっかりで、わたしがいなくなっても気にしないよ」
「いいや。 子供を心配しない親はいないと思うぞ」
「そうなのかな? わかんないや……」
短い会話を交わしていると、程なくして最初にいた部屋に戻ることができた。
『おしごと』ばかりでめったに取り乱したり声を荒げたことのない両親だったが、この時ばかりはかなり怒られた。
リーズという男性が言ったことは確かに正しかった。だけど、それ以降は迷子になるような出来事も、怒られる程の悪さをすることもないまま、両親とは死別してしまった。
そういえば、あの時のお兄さん——リーズのことだ——とは、その後もどこかで会っている。一体どこだったかは思い出せないが、何かしらの言葉を交わしたのは記憶に新しい。
妙なことに、お兄さんの容姿は自分が迷子になった時と殆ど変わっていなかったような……。
モザイクが掛かったように果てしなく怪しい記憶に混乱していると、ルディアは突然頭頂部に痛みを感じた。
「いぎっ! いた! 痛いって! ちょ、こら、髪を引っ張るな!」
進路を変えたいらしい導き手が、ルディアのポニーテールを見た目に似つかわしくない力で引っ張りながら、右斜めの方向を見つめていた。
「あら、駄目ですよ、導き手さん。 お姉さんが痛がっていますわ。こちらのほうに進めばよろしいのですね?」
ルディアの声に気付いたメリーが、導き手の手にそっと触る。導き手は自分の意思が通ったのがわかったようで、髪を引っ張る手を緩めた。
メリーは導き手の向く方角にスコップを向けて、再び雪を掻き分けながら道を作る。もう髪を引っ張ってこないということは、この方向でいいのだろう。
「みたいだな。 さあ、先に進もうか」
何を考えたところで、思い出せないものはどうにもならない。ぼんやりとした違和感を頭の隅に追い遣って、メリーの後を付いていく。
進路を変えても先の見えない雪原が続く。雪原にはいつの間にか、あの時と同じような雪がちらついていた。
「—了—」
「なあ、本当にこのまま真っ直ぐで大丈夫なのか?」
ルディアは背中におぶさっている導き手に尋ねた。
彼女達の目の前には見渡す限りの雪原が広がっている。霞掛かった視線の先でさえも、同じような景色が続いている。
導き手の歩むままに進んでいたところ、この豪雪地帯に出くわしてしまった。
それでも歩みを止めない導き手に従っている内に雪深くなっていき、とうとう導き手が雪に埋まってしまう事態に陥ったため、今はルディアが背負っている。
ルディアの問いに導き手が答えることはない。
「……やっぱり黙ったままか。どうしたもんかね」
白い溜息を吐き出しながら、延々と続く雪原をひたすら歩く。
「導き手さんから何かありまして? このまま進んで遭難なんてことになったら、洒落ではすみませんわよ」
ルディアの前方で、ステッキで描いたスコップで雪を掻き分けていたメリーが振り返る。
「いや、さっぱりだ」
「仕方ありませんわね。何か反応があったら教えて下さいまし」
「ああ、わかった」
ザクザクと雪を踏む音、背中に背負った子供の人形。
そういえば昔、こんな風に人に背負ってもらったなとルディアは思った——。
両親の『おしごと』の都合で訪れたレジメントの施設。いつも以上に長引く『おしごと』の話に退屈となったルディアは、こっそりと部屋を抜け出して施設の中を歩いてみることにした。
最初こそ探検気分、わくわく気分だったが、どこまで歩いても変わらない通路を歩いていく内に、その思いは恐怖へと変わっていった。
半べそをかきながら通路をうろうろしていたところを、トレーニング帰りらしいレジメントの騎士達に見つけられた。
「お嬢ちゃん、どこから来たんだい?」
ルディアの存在に最初に気付いた茶髪の男が、屈んでルディアの目線を合わせ、存外に優しい声で問い掛けてきた。
「え、っと……うえぇ……」
道に迷った。その一言を言えばす済んだ筈なのに、恐怖に固まったルディアの口からは泣きべそをかく寸前の、言葉にならない声しか出てこなかった。
「わからないか。どうしたものか……」
困り顔で自分を見ている男の人。周囲にいる大人達も同様に困った顔をして、お互いの顔を見合っていた。
「中隊長に問い合わせてみるか。何か知っているかもしれない」
誰かがそう言いながら、どこかに連絡をしていた。周囲が騒がしくなる。
どうなっちゃうんだろうと思っていると、先程話し掛けてきた茶髪の男に背負われた。
「お嬢ちゃんのお父さんとお母さんが見つかったってさ。 連れて行ってやるよ」
「ちゃんと送り届けてやるんだぞ、リーズ」
「わかってるよ。 さ、行くぞ」
男達に茶々を入れられながら、リーズと呼ばれた男の人に背負われて、どこかに向かっていく。
「ちょっと寒いけど、我慢してくれよ」
リーズが扉を開けると、雪が積もった広場に出た。微かに雪が降っており、それが広場に積もっていくのが見えた。
「どうして寒いのにお外にでたの?」
「ここを突っ切っれば、すぐに元いた部屋に着くんだ。 お父さんたちも心配してるだろうし、早いほうがいいだろう?」
「……心配、してるのかな?」
「そりゃそうだ。 こんな小さい子がいなくなったんだからな」
「いつもおしごとばっかりで、わたしがいなくなっても気にしないよ」
「いいや。 子供を心配しない親はいないと思うぞ」
「そうなのかな? わかんないや……」
短い会話を交わしていると、程なくして最初にいた部屋に戻ることができた。
『おしごと』ばかりでめったに取り乱したり声を荒げたことのない両親だったが、この時ばかりはかなり怒られた。
リーズという男性が言ったことは確かに正しかった。だけど、それ以降は迷子になるような出来事も、怒られる程の悪さをすることもないまま、両親とは死別してしまった。
そういえば、あの時のお兄さん——リーズのことだ——とは、その後もどこかで会っている。一体どこだったかは思い出せないが、何かしらの言葉を交わしたのは記憶に新しい。
妙なことに、お兄さんの容姿は自分が迷子になった時と殆ど変わっていなかったような……。
モザイクが掛かったように果てしなく怪しい記憶に混乱していると、ルディアは突然頭頂部に痛みを感じた。
「いぎっ! いた! 痛いって! ちょ、こら、髪を引っ張るな!」
進路を変えたいらしい導き手が、ルディアのポニーテールを見た目に似つかわしくない力で引っ張りながら、右斜めの方向を見つめていた。
「あら、駄目ですよ、導き手さん。 お姉さんが痛がっていますわ。こちらのほうに進めばよろしいのですね?」
ルディアの声に気付いたメリーが、導き手の手にそっと触る。導き手は自分の意思が通ったのがわかったようで、髪を引っ張る手を緩めた。
メリーは導き手の向く方角にスコップを向けて、再び雪を掻き分けながら道を作る。もう髪を引っ張ってこないということは、この方向でいいのだろう。
「みたいだな。 さあ、先に進もうか」
何を考えたところで、思い出せないものはどうにもならない。ぼんやりとした違和感を頭の隅に追い遣って、メリーの後を付いていく。
進路を変えても先の見えない雪原が続く。雪原にはいつの間にか、あの時と同じような雪がちらついていた。
「—了—」