羊角獸2013(青)(含日版)

「雪花的回憶」

篝火的火焰照亮著昏暗的洞窟內。

因為太陽突然下山變暗的關係,威廉判斷什麼準備都沒有,就這樣走夜路太危險,所以才在這裡露營的。

提議的威廉去外面確認周圍的安全。過了一陣子後,在洞窟內聽到了沉重的腳步聲。

「回來了嗎,威廉。外面怎麼樣?」

「開始下雪了。雖然沒有大到會積雪的樣子,不過會變很冷」

「看來事先準備防寒衣物是正確的」

洞窟裡的氣溫因下雪的關係開始下降。就算全身有防寒衣物包的緊緊地,也還是很冷。

跟威廉還有泰瑞爾比起來顯得格外嬌小的引導者,似乎也受到寒冷的影響,為了取暖而靠近了篝火。

威廉抓著引導者防寒衣的一角,小心地注意著讓人偶不要掉進火堆裡。

「不要太靠近,會燒起來的」

「像這樣的人偶也有冷暖感知的機能呢」

像這樣小到不足以稱為自動人偶的人偶,也有附屬這種高度的機能。實際上,她穿著防寒衣物也還是微微地顫抖著。

對於這像極人類的舉動,泰瑞爾用看到不可思議之物的眼神看著引導者。

「泰瑞爾,這樣繼續下去的話引導者不知道什麼時候會衝進火裡。你的耳罩能不能借用一下?這樣的話多少也──」

「請讓我拒絕這個提議。這個耳罩在我的兵器裡算是特別優秀的。就算是為了重要的引導者人偶,只有這個我是絕對不能交出去的」

雖然只是一句不經意的話,泰瑞爾卻在威廉把提案說完前就回答了。

雖然沒有對威廉說,但耳罩是用來打倒魔物的武器,還有著控制球狀兵器的遙控機能。

就算是引導者,也不能輕易地把自己的兵器借給她。幾乎可以說是直覺反射性的回答道。

「那,那真是抱歉」

不知道是被泰瑞爾激動的態度壓倒,還是被兵器的話題給壓倒。威廉簡短的說了聲抱歉之後,場面就安靜了下來。

泰瑞爾小小地嘆了一口氣之後,邊確認著篝火的固態燃料殘量確保火不會熄,邊用空著的手摸著自己的耳罩。



泰瑞爾經常進出的研究設施在潘德莫尼中是出了名的特別寒冷。為了進行龐大檢證的實驗機器很多,為了讓那些機器不要過熱,設施裡必須時常保持低溫。

就是因為在那樣的地方進出,泰瑞爾當然也身著防寒衣物。

耳罩也做為防寒衣物的一部分經常帶在身上。

要說耳罩跟其他衣物有什麼不同的話,那就是──從女性手中拿到的禮物──這一項而已吧。

在潘德莫尼的居民當中,泰瑞爾可以算的上是儀容端正的類別,蠻常從所謂適齡的女性那裡收到禮物。

雖然也會因過度熱中於研究而失控,但是跟其他工程師比較起來算是比較和善,所以讓他更加的受歡迎。

這個耳罩原本也不過是,那些女性們送的禮物之一而已。

印象中好像是說著「這個研究設施裡冷過頭耳朵會痛,所以請用這個」然後就交給了自己的樣子。

耳罩本身是很一般的東西,只是在研究的閒暇之餘稍加改造了一下。就在改造差不多結束的時候,才發現改造過頭到有點危險的程度,所以小心注意不讓自己以外的人碰到。

不過還是有一次,不小心的失誤讓別人碰到過。



「泰瑞爾,有什麼東西掉了哦」

那是要從有名冰冷的設施回來的時候。

跟不知道要去哪兒的C.C.途中擦身而過時,突然被叫住。

C.C.的手中握著摺疊著的耳罩。

「不好意思。謝謝妳幫我撿起來」

應該是要收到包包裡時掉下來的吧。不想讓耳罩被碰的泰瑞爾快速地收下C.C.手中的耳罩。

「比起外觀看起來要重很多呢。好像跟一般的不太一樣」

「這是別人送的,不過防音卻意外的好所以加裝了收音晶片,讓裡面可以聽的到外面的聲音。因為聽不到外面的聲音還挺困擾的」

「這種尺寸的晶片要怎麼去除雜音呢?應該也無法直接組裝到晶片上吧?」

「那個的話,靠另外加裝小型的效果器在耳罩內部來應付,不過整體性能隨著晶片縮小的比例而降低的關係,將是今後要研究的功課。比起這個──」

「這,這樣啊……啊,我忘了主任在找我。那我就先走了!」

一開始是很一般的對話,但不知道是不是被泰瑞爾的氣勢給壓了過去,C.C.打斷了對話小跑步消失在通道的另一端。

「真可惜。本來想問問看她的意見」

泰瑞爾就那樣一邊看著C.C.跑走的通道,一邊小小地嘆了一口氣。



「這麼說來,也曾經發生過那種事呢」

泰瑞爾邊苦笑著邊自言自語地說道。

就當泰瑞爾沉浸在回憶時,威廉已經讓引導者坐在自己的腿上。

「人偶好像也安份下來了,我去看一下外面的景色」

「嗯,小心點」

泰瑞爾說了一聲後,就去站在洞窟的入口。

現在泰瑞爾所處的立場,並沒有閒暇之餘讓自己沉浸在過往的感傷。呼吸著外面的空氣,試著把過去的回憶從腦海中分離。

洞窟外,閃爍的雪花在明月的照亮下顯得更加閃亮。



「─完─」

日文版
「六花の思い出」

焚き火の炎が薄暗い洞窟内を照らしていた。

急に日が落ちて暗くなったため、何の準備もなしに夜道を歩くことは危険と判断したヴィルヘルムにより、ここで夜営を開始したのだった。

提案した本人であるヴィルヘルムは周囲の安全を確認しに外に出ている。暫くすると、重い足音が洞窟内に聞こえてきた。

「戻りましたか、ヴィルヘルム。外はどうでしたか?」

「雪が降り始めた。積もるほどではなさそうだが、寒くなるだろうな」

「防寒具を用意しておいて正解でしたね」

降雪により気温が下がり始めた洞窟内。全身を防寒具で包んでいるものの、やはり寒い。

ヴィルヘルムとタイレルよりも格段に小さい人形である導き手は、寒さの影響も大きいようで、温まろうとこれでもかと焚き火の炎に近付いていた。

ヴィルヘルムは導き手の防寒具の裾を捉まえ、人形が火の中に転げたりしないように気を付けていた。

「あまり近付き過ぎるなよ、燃えてしまうぞ」

「こんな人形にも寒暖感知の機能があるんですねぇ」

このように小さな自動人形とも呼べない人形でも、そういった高度な機能が付属していた。実際、防寒具を着ていても小さく震えている。

やたらと人間くさい動きに、タイレルは不思議なものを見る目で導き手を見ていた。

「タイレル、この調子じゃ導き手がいつ火に突っ込むかわからない。 そのイヤーマフを貸してやってくれないか? そうすれば少しは——」

「その提案は却下させていただきますよ。 このマフは僕の兵器の中でもとりわけ優秀なんです。 いくら大事な案内人である人形といえども、こればかりは渡せませんね」

不意に掛けられた言葉だったが、タイレルはヴィルヘルムの提案に食い気味に答えた。

ヴィルヘルムには言っていないが、イヤーマフには魔物を倒す武器として使用している、球状兵器のコントローラーとしての機能がある。

例え導き手であろうとも、おいそれと自分の兵器を貸す訳にはいかない。殆ど条件反射のような答えだった。

「そ、それは悪かった」

タイレルの剣幕に押されたのか、それとも兵器という言葉にたじろいだのか。ヴィルヘルムは一言短く謝ると、それきり黙ってしまった。

タイレルは小さく溜息をつき、焚き火の火を絶やさないように固形燃料の残量を確かめながら、空いたほうの手でイヤーマフを触っていた。

 

タイレルが出入りしていた研究施設は、パンデモニウム内でもとりわけ寒いということで有名であった。膨大な検証実験を行うための機械が多く、それらがオーバーヒートを起こさないよう、常に施設は低温に保たれていた。

そんなところに出入りしているのだから、当然タイレルも防寒具を身に纏っていた。

イヤーマフも、その防寒具の一つとして身に着けていたものだ。

他と違う部分があるとすれば、それは——女性からの贈り物であった——という一点のみだろう。

パンデモニウムで暮らす住民の中でも容姿が整っている部類に入るタイレルは、いわゆる年頃といわれる年齢の女性から贈り物を送られることが度々あった。

研究に熱が入ると暴走することがあるものの、物腰も他のエンジニアと比べれば柔らかい方であり、それが余計に拍車を掛けていた。

イヤーマフも、元々はそういった女性達からの贈り物の一つに過ぎなかった。

確か「この研究施設は寒すぎて耳が痛くなるから、どうぞ」と言われて渡された覚えがある。

マフ自体は凡庸なものだったので、研究に便利なように暇を見つけては改造を施した。概ね改造が済んだあたりで、少々の危険を伴う過剰な改造を施したことに気付き、自分以外の人間には触らせたりしないよう注意していた。

だが、たった一度だけ、小さなミスで他人に触らせてしまったことがあった。

 

「タイレル、何か落としたよ」

寒いと評判の研究施設から帰ってきた時のことだった。

どこかへ向かう途中らしいC.C.とすれ違った際、突然呼び止められた。

C.C.の手には小さく折り畳まれたイヤーマフが握られていた。

「すみません。 拾っていただいてありがとうございます」

鞄に仕舞い損なって落としたのだろう。イヤーマフを触られたくないタイレルは、C.C.の手から素早くそれを受け取った。

「見た目の割に重たいね。 普通のものとは違うみたい」

「頂き物なのですが、防音性が存外に良すぎたのでヘッドに小型の集音チップを取り付けて、マフの内側から外の音声が流れるようにしてあるんです。 音が聞き取れないのは困りますから」

「チップサイズだとノイズの除去とかどうしてるの? チップ自体に組み込むわけにもいかないでしょう?」

「それはマフの内側に小さなエフェクターを埋め込んで対応していますよ。 とはいえ、チップもリダクション機能が小さい分、性能も落ちていますので、それが今後の課題ですね。 それより——」

「そ、そっか……あ、主任に呼ばれてるんだった。 じゃあこれで!」

最初こそ普通に受け答えしていたものの、すぐにタイレルの勢いに気圧されたのか、C.C.は話を中断して小走りで通路の向こうへと消えていった。

「残念。 意見を聞きたかったのですがね」

タイレルはC.C.が走っていった通路を見据えながら、小さく溜息をついたのだった。

 

「そんなことも、ありましたね」

タイレルは苦笑いをしながら一人呟いた。

過去を振り返っている間に、導き手はヴィルヘルムの膝に収まっていた。

「人形もおとなしくなったようですし、少し外の景色を見てきますね」

「ああ、気をつけろよ」

一言告げて、タイレルは洞窟の入り口に立った。

今、タイレルが置かれている立場は、過去の感傷に浸っていられるほど甘くはない。外の空気を吸って、過去の思い出を頭から切り離す。

洞窟の外では、ちらつく雪が月明かりを浴びて煌めいていた。

「—了—」