羊角獸2012(含日版)

「異境之路」

「呼~」

大劍刺入地面的同時,怪物也跟著倒下。

阿貝爾腳邊的是,有著人形但卻長著大角的怪物。

「辛苦了,辛苦了」

利恩看到阿貝爾的樣子,以有點刻意的方式慰問著阿貝爾。

「你多少也戰鬥一下吧」

阿貝爾也故意誇張的生氣,不過利恩一點也沒有打算道歉的樣子。

「反正都打贏了不就好了嘛。而且這些話對我說也沒用啊」

利恩的視線轉向站的離自己有點距離的人偶,阿貝爾的視線也跟著轉了過去。

「說的也是」



「不過……」



利恩誇張的顫抖著身體邊繼續說著。

「這邊冷到我快受不了了。快點移動吧」



寒冷地區,炎熱地區,有時光是移動一點點的距離而已,氣候也會大大的變化。不光是氣候,在那裡出現的怪物們也會有大幅度的變化。這個世界完全沒有所謂的一致性。各式各樣不同的世界連接在一起──這就是阿貝爾對這個世界的印象。

以前,也曾經跟利恩聊到過這種籠統的印象。

「我也這麼覺得,要我來說的話,就是這個世界的造物者品味還真差」



在阿貝爾跟利恩眼前的小人偶,身為引導者的這個人偶雖然會指示接下來該去的地點,但是對於這個世界的問題卻從來沒有回答過。

是不想回答,還是無法回答。雖然仍舊看不出來到底是哪一個,但結果是不會改變的。



「只要將失去的記憶全部找回的話,你們應該就可以回到原來的世界了」

服侍著這個世界的造物者,身穿著紫色燕尾服的少年這麼說過。要如何才能回到原來的世界卻完全沒有頭緒,但是既然還身處在這世界的話就表示,應該是還有記憶沒找回來。



阿貝爾的手背上降下了個白色的小東西,轉眼就變得透明。下起雪來了。



剛進入連隊的第一個冬天。像往常一樣睜開眼醒來,朝屋外一眼望去,周圍早已經變成一片雪白的景象。才從這第一次所看到的景象中鎮定下來時,就發現有一個隊員在雪中興奮的印下自己的足跡。連防寒裝都沒穿。

「到底是誰,在雪地裡……」



話還沒說完前,就發現房間裡看不到同期入隊的室友。

穿起防寒裝後走出房間。也沒忘記帶著室友的防寒裝。

「利恩!一大早在幹嘛」

在雪地上興奮奔走的是,跟阿貝爾同期進入連隊,也是住同一個房間的室友利恩。

「抱歉抱歉。我第一次看到這麼厚的積雪。在阿貝爾的故鄉的話這不算稀奇嗎?」

「魯比歐那很大。雪積的比這更厚的地方是有,不過我住的地方雖然偶爾也會下雪,但是不會積起來」

說著,就將手中的防寒裝往利恩的方向丟過去給他。

「真是貼心。果然值得擁有的就是朋友」



防寒裝穿上後的利恩再次回到雪地上,繼續印下自己的足跡。

「早餐要是遲到的話,我不會幫你留的哦」

受不了的阿貝爾才剛要返回房間就被冰冷的東西打中。是顆雪球。

「在「渦」裡這麼粗心大意的話,你早就死了哦」

利恩邊笑邊朝阿貝爾的方向將雪球一球接著一球的扔了過去。

「……!!」

原本要回房間的阿貝爾改變主意,開始做起雪球朝利恩扔了過去。

「冰死了!!!」

不知道是第幾球後終於打中利恩,利恩大聲的叫著。

被那叫聲的影響,參加者陸續增加,不知道什麼時候聚集了許多的連隊訓練生,成了有點規模的雪球大戰。

然後參加雪球大戰的所有人都被罰沒有早餐吃了。



「……貝爾。阿貝爾!沒事吧?發什麼呆啊?」



因為利恩的聲音,從過去的回憶裡回了神。

「啊,抱歉」

這裡既不是連隊的設施也不是故鄉的魯比歐那。深呼吸之後,重新打起精神。

「接著,要往哪裡去啊?」

利恩問著身旁的人偶。雖然人偶回看著利恩不發一語,但是接著就背著利恩開始走了起來。

「好像是那邊的樣子」

利恩說完後聳聳肩,就追向人偶了。阿貝爾也緊接在後。



「─完─」

日文版
「異境の道」

「ふーっ」

大剣を地面に突き刺すと同時に、化け物が倒れ込んだ。

アベルの足下には、人型ではあるが、大きな角の生えた化け物が息絶えている。

「ご苦労、ご苦労」

その様子を見ていたレオンが、アベルをわざとらしく労った。

「少しはお前も戦ったらどうだ」

アベルも大げさに悪態をつくが、レオンに詫びる様子は無い。

「勝てたんだからいいじゃねぇか。それに、俺に言われてもな」

レオンはやや離れた位置にいる人形に視線を向け、アベルもその視線を追う。

「それもそうだ」

 

「しかし……」

大袈裟に体を震わせながらレオンは言葉を続ける。

「ここは寒くてかなわねぇ。さっさと移動しようぜ」

寒い場所、暑い場所、時には僅かな距離を移動しただけで気候ががらりと変わる事もあった。そして、気候だけではなく、そこに出現する化け物達も大きく変わった。この世界には統一性というものがまるで無い。様々な世界の継ぎ接ぎ——それが、アベルの感じ取ったこの世界へのイメージだった。

以前、その漠然としたイメージをレオンに話した事があった。

「同感だ。加えて言うなら、この世界の創造主様は、少しばかり趣味が悪い」

 

アベル達の目の前にいる小さな人形、導き手たるこの人形は、次に行くべき場所を示す事はあっても、この世界に対する問いに答えてくれた事は無かった。

答えたくないのか、答えられないのか。どちらなのかは見極められないままだったが、結果に変わりはない。

 

「失われた全ての記憶を取り戻せば、貴方達は元の世界に戻る事ができるでしょう」

この世界の創造主に仕えているという、紫色の燕尾服を着た少年はそう述べていた。どうやって元の世界に戻るのか見当も付かないが、この世界にいるという事は、まだ取り戻すべき記憶があるという事だった。

 

アベルの手の甲に白く小さいものが乗り、すぐ透明になる。雪が降り出していた。

 

レジメントへ入隊して最初の冬。いつものように目を覚まし、部屋から外を眺めると、辺り一面が真っ白になっていた。初めて見る光景に息を飲んでいると、隊員の一人が雪に足跡をつけてはしゃいでいるように見えた。防寒具も着けていない軽装だった。

「一体、誰が雪なんかで……」

全てを言い終える前に、同期入隊の同居人が室内に見当たらない事に気が付いた。

防寒具を着込んで部屋を出る。同居人の防寒具を手に取る事も忘れなかった。

「レオン! 朝から何やってんだ」

雪の上ではしゃいでいたのは、アベルと同期でレジメントに入り、同じ部屋の住人でもあるレオンだった。

「悪い悪い。こんなに積もったのを見るのは初めてなんでな。アベルのいたところじゃ、珍しい事でもないのか?」

「ルビオナは広い。もっと積もる所もあるが、俺のいたところは偶に降っても積もる事はなかったな」

そう言って、手に持っていたレオンの防寒具を丸めて投げ渡す。

「気が利いてるねぇ。さすが、持つべきものは友だ」

渡された防寒具を着込んだレオンは、再び雪上に足跡をつける作業に戻ったようだった。

「朝飯に遅れても、お前の分は取っておかないからな」

呆れて自室に戻ろうとするアベルに冷たいものが当たる。雪玉だった。

「渦の中でそんなに油断したら、死んでたぜ」

レオンは笑いながらアベルに向かって次々と雪玉を投げ続けていた。

「……!!」

アベルは自室に戻る方針を変え、雪玉を作ってレオンに投げつけた。

「っっめてぇぇぇ!」

何投目かの雪玉がレオンに当たり、レオンが大声を上げる。

声につられて一人また一人と参加者が増えていき、いつしかレジメントの訓練生の多くが集まり、ちょっとした規模の雪合戦になっていた。

そして雪合戦に参加したメンバーは皆、朝食抜きにされた。

 

「……ベル。アベル! 大丈夫か? なにボサっとしてんだ」

レオンの声で、意識を回想から今へ戻される。

「ああ、悪い」

ここはレジメントの施設でも故郷のルビオナでもなかった。一度大きく深呼吸をして身を引き締める。

「さて、次はどこへ行けばいいんだ?」

レオンが傍らにいた人形へ問う。人形はレオンを見つめ返すだけで何も答えなかったが、すぐにレオンに背を向けて歩きだした。

「だとさ」

レオンはそう言って肩を竦めると、人形の後を追った。アベルも続いた。

「—了—」