R1 佛羅倫斯(含日版)

3394年 「撤退」

佛羅倫斯的機體,被飛散的紅黑色血漬給染上了奇妙的斑點。

在那被汙染的機體旁,佛羅倫斯卸除裝甲後拿起了緊急用裝備。雖然只有手槍跟緊急醫療包,但總比沒有好。

為了處理機體取出了兩個鋁熱劑手榴彈來焚化,拔除插栓後丟到艾妲與自己的機體內。發出像煙火般黃色的閃光之後,王國自豪的裝甲獵兵在數秒內化為了黑色的鐵屑。



漫長的夜晚開始了。

佛羅倫斯與艾妲在王國的重要據點托雷依德永久要塞遭遇到怪異的死者群襲擊,而脫離了戰線。

但卻遇到裝甲服的燃料用盡,陷入只能以肉身的狀態繼續逃走的狀況。

托雷依德永久要塞就像是將兩座山連結在一起所構築起來的,現在兩個人的位置在西側的半山腰。穿過這險峻的森林4里克左右並越過山的話,應該就能抵達王國邊境的基地。但是在周遭開始變的昏暗視野變差,而且裝備也不齊全的狀態下,想越過山脈是伴隨著極大的危險。

「處理結束。走吧」

佛羅倫斯確認了一下手中的槍是否上膛後,就將槍上了保險塞放回槍套之中。

「嗯,我知道了」

艾妲坐倒著。那是任誰都看得出來的疲憊。似乎還沒有辦法完全接受這次的慘敗所受到的衝擊。

兩個人在漆黑的森林中開始往山頂前進。



靠著微弱到只能照著腳下的手電筒,兩人默默地在山中前進著。方向也只能靠著星星來確認。在難走的森林中找到了動物們走上山頂的路徑,就順著走去。

「看來,不會是個快樂的爬山行了」

佛羅倫斯自言自語地在漆黑的路上前進。險峻的山路,有時候也會有需要徒手攀登的地方。

在過了約三個小時左右後來到了接近山頂的地方,這裡有個突出的大石塊。從這裡可以看到他們的戰場。

「在燃燒著」

左邊看得到火舌從托雷依德永久要塞中竄出。搖晃的紅光反射在夜幕低垂的雲朵之中。不時還發生大爆炸。從慢了幾拍的聲音可以感覺得出距離。

「看來要塞已經淪陷了。帝國傢伙們到底想做到什麼地步」

佛羅倫斯向艾妲說道。憔悴的艾妲一臉茫然的表情,只是默默地凝視著那火光。

「說什麼也不能讓那樣的怪物就這樣蹂躪王國。必須趕快回到戰線重整部隊」

「嗯,但是還得再花一些時間才回得去。爬到這裡應該是安全了。稍微休息一下比較好」

佛羅倫斯看著相當疲憊的艾妲作出了提議。佛羅倫斯雖然也累了,但還有餘力。

「不用了,快走吧。沒有時間了」

艾妲會如何回答,佛羅倫斯早就心裡有數了。從她的品德跟責任感來看,艾妲無論如何都會逞強,說出想要盡早與本隊會合之類的話吧。

但是建議還是必要的。

兩人繼續默默地朝著山頂前進。



又經過數小時後越過了山頂,終於開始進入下坡的地方。在山上走下坡時需要相當的注意力與體力。

佛羅倫斯發現艾妲的腳步不太穩定,一邊配合著艾妲一邊前進。但是艾妲被腳邊的草給絆倒了。幸好斜坡並非很陡峭所以並沒有滾落下去,但卻也還是重重的摔落在地面上。

「沒事吧?」

佛羅倫斯抓著艾妲的手問道。

「艾妲,稍微休息一下吧。太著急亂來的話,會回不去的」

「我知道了。給妳添麻煩了」

低著頭,艾妲垂頭喪氣地回答道。

佛羅倫斯將自己帶在身邊防止體溫下降的薄毯蓋在艾妲身上,讓她坐在樹下休息。

「我來站崗,妳休息吧」

「抱歉,佛羅倫斯」

佛羅倫斯將身體靠著樹站著,讓自己不會睡著。佛羅倫斯心想,就算是只休息一個小時差別也會很大。森林很暗,偶而傳來的爆炸聲就像是遠方的雷聲般響著。

佛羅倫斯往夜空看去,可以看到雲間的星星。這個森林讓她想起了故鄉。那是她還沒來到王國前,年幼時所看到的景象。雖然只記得一點點,但卻有種回到過去的感覺。

就當沉溺在那回憶的同時,佛羅倫斯察覺到有異樣的聲音。踩著落葉樹枝的聲音慢慢地靠近。

佛羅倫斯靜靜地掏出槍,低下身來面向發出聲音的方向。接著靜靜的朝著可以確認敵方的位置慢慢移動。

佛羅倫斯從樹叢的影子下看到的是活屍。一具徘徊的活屍。應該是跟著她們的氣味跟聲音尾隨而來的吧。

這活屍的裝備看起來應該是王國軍的物品。即使在黑暗中,佛羅倫斯也從配備推斷出那應該是負責後勤的補給兵。

雖然驚訝連擔任後勤的補給隊都遭到汙染變成活屍,但是這證明了她們已經比自己的預想還要更接近本隊位置的關係,稍微感到了一點安心。

「這附近有部隊嗎?」

佛羅倫斯邊自言自語的說著,邊朝著活屍前進邊從腰間拔刀。因為不知道之後會發生什麼事。如果可以盡可能不想用到槍。

補給兵的活屍發現佛羅倫斯後,發出呻吟靠了過來。她對活屍的性質有了基本的理解,動作遲緩,如果只是喪失手腳是不會停止動作的,不造成頭部的損傷是不會停下來的。

佛羅倫斯繞過朝自己靠近的活屍,將刀往頭部的側面刺了過去。活屍喪失了力氣倒下。打倒活屍後佛羅倫斯就回到了艾妲的身邊。

「不好了,有活屍。快移動吧」

對著艾妲說道。很難想像活屍只有一具。應該是哪裡的本隊被襲擊了。

「嗯,我知道了……走吧」

艾妲一站起來,卻又失去平衡的坐倒下。

「怎麼了!?」

佛羅倫斯本來想將肩膀借給艾妲,卻發現她的樣子不對,用手摸了她的額頭。發燒了。意識也變得有點模糊的樣子。

「聽著,抓著我。再這樣下去會死的」

佛羅倫斯用一隻手抱起艾妲,將她搭在肩上。就在這時候,周圍發出沙沙作響的聲音像是活屍正朝著這裡靠近。

「來了嗎」

佛羅倫斯邊遠離聲音,邊不得已的繞遠路下山。艾妲邊辛苦地移動自己的腳,邊緊抓著佛羅倫斯。

在繞路的同時,靠著微弱的星光確認到活屍的數量。有七、八具。應該都已經發現她們了。

接著兩人拼了命的下山。屍群也緊接著而來。

來到了一處寬廣的地方。出現一條大的山路。但是,那邊有二十具以上的活屍徘徊著。

兩個人馬上停下腳步趴了下來。但是後方又有接踵而來的屍群正在靠近。

「佛羅倫斯,妳一個人快逃吧。把我放下的話妳應該可以逃開」

趴著的艾妲上氣不接下氣的說著。

「都已經走到這裡了,不能這樣」

「快走,這是命令。就算只有一個人也必須要得救」

「可惡」

佛羅倫斯說著就把自己的槍交給艾妲,站起來跑了出去。

艾妲舉起槍,朝著追來的屍群瞄準。

「我可不會白白送死」

第一發朝著最前面的屍體頭部開槍。槍聲在森林中響起。山路上的屍群也開始朝著艾妲的方向移動。

第二發,第三發,艾妲一槍一槍的將活屍擊倒。但是,子彈有限。佛羅倫斯槍裡的彈藥用盡後艾妲掏出自己的槍,不間段的持續射擊。終於將追來的屍群除盡,但是接踵而來的是山路上屍群慢慢的靠近而來。

艾妲步履蹣跚地站了起來,槍口轉向山道的屍群。接著想用同樣的方式清除屍群,但是彈藥終於用盡。

「沒想到我的最後竟然是這樣……」

陸續而來的活屍集結在艾妲的身邊,艾妲閉起了雙眼。

就在這個時候,艾妲眼前的活屍被撞飛了。

那是乘坐著機械馬的佛羅倫斯。佛羅倫斯一口氣抓起艾妲的戰鬥服,將她拉上來坐在自己的前面。

佛羅倫斯的機械馬是後勤補給隊的東西。她找到被活屍襲擊的部隊,然後為了營救艾妲而趕了回來。

「要走囉」

佛羅倫斯就那樣撞開了屍群,朝著本隊的方向奔跑而去。



「-完-」

日文版
3394年 「撤退」

フロレンスの機体は、飛び散った赤黒い血で奇妙な斑模様になっていた。

その汚れた機体の脇でフロレンスは装備を外し、緊急用装備を身に着けた。ハンドガンと緊急医療パックしかないが、無いよりはましだった。

機体を焼却処理するためにテルミット手榴弾を二つ取り出し、ピンを抜いた後、エイダと自分の機体の中に放り込んだ。花火のような黄色の光が立ち上り、王国の誇る装甲猟兵は数秒で黒い鉄屑と化した。

 

長い夜が始まった。

フロレンスとエイダは王国の要衝トレイド永久要塞での戦闘で奇怪な死者の群れに襲われ、戦線を離脱した。

しかし装甲服が燃料切れを起こし、生身の姿で逃走を続けなければならない状況に陥っていた。

トレイド永久要塞は二つの山の稜線を結ぶように築かれており、今現在二人がいるのは西側の山腹だった。険しい森を4リーグ程抜けて山を越えることができれば、王国側の塁に辿り着ける筈だった。しかし辺りが暗くなって視界が悪く、装備もままならない今の状態では、山を越えるのはかなりの危険が伴うことだった。

「処理は終わった。進もう」

フロレンスは手にしたハンドガンの薬室に銃弾が送られているのを確認してから、安全装置を掛け、ホルスターに差した。

「ああ、わかった」

エイダは座り込んでいた。傍目にも疲れが見える。今回の敗北の衝撃を受け止め切れていないようだった。

二人は暗い林の中を、山頂目指して進み始めた。

 

足下を照らすライトだけで、二人は黙々と山中を進んだ。方角は星を頼りにするしかない。歩きづらい森の中で山頂方向への獣道を見つけ、そこを歩く。

「楽しいハイキング、というわけにはいかないか」

フロレンスはそう呟き、暗い道を進んでいく。山道は険しく、時に手を突いて這うようにして登らなくてはならない場所もあった。

三時間程かけて山頂の手前まで来ると、大きく突き出した岩場があった。そこからは自分達の戦場が見渡せた。

「燃えている」

左に見えるトレイド永久要塞から火の手が上がっている。赤く揺らめく光が、低く立ち込めた夜の雲に反射している。時折、大きな爆発が起こる。音は遅れてここまでやってきた。

「要塞は陥ちたな。 帝國の連中はどこまで進むつもりだろう」

フロレンスはエイダに語り掛けた。憔悴したエイダはぼうっとした表情のまま、炎を見つめ続けている。

「あの化け物に王国を蹂躙させるわけにはいかない。 早く戻って戦線を立て直さないと」

「ああ、だがまだ掛かる。 ここまで上がっていればおそらく安全だ。 少し休んだ方がいいと思う」

フロレンスは疲れ切っているエイダの状態を見て、そう提案した。フロレンスも疲れてはいたが、まだ余裕がある。

「いや、行こう。 時間が無い」

フロレンスはエイダがどう答えるかわかっていた。彼女の気位の高さや責任感から、エイダはどんな無理をしてでも本軍に合流したいと言い出すだろうと。だが、提案だけはしておく必要があった。

二人はまた、無言で山頂を目指して歩き出した。

 

さらに数時間歩いて山頂を越え、ついに下りの道に入った。山では下りる時の方が注意力と体力を必要とする。

フロレンスは足下がおぼつかないエイダの様子を気にしながら進んでいた。しかし、エイダは足下の草に足を取られて転んだ。斜度がそれ程でもなかったため転げ落ちはしなかったが、打ち付けられるように地面に倒れた。

「大丈夫か?」

エイダの手を握って声を掛ける。

「エイダ、少し休もう。 焦って無理をすれば、帰れなくなる」

「わかった。 迷惑を掛ける」

俯き、しなだれかかるようになったエイダはそう答えた。

フロレンスは体温の低下を防ぐための携行ブランケットをエイダに掛けてやり、木の根元に座らせた。

「私が歩哨に立つ。休んで」

「すまない、フロレンス」

フロレンスは木に寄りかかるようにして立ち、自分は眠らぬようにした。一時間でも休めれば随分と違う筈だと、フロレンスは考えていた。森の闇は深く、時折、散発的な爆発音が遠雷のように響いていた。

フロレンスが夜空を見上げると、雲間に星が見えた。この森は故郷を思い出させた。まだ自分が王国に来る前の、幼い日に見たものだ。僅かな記憶だが、まるで過去に戻ったかのような感覚に囚われた。

そんな思いに浸っていた時、フロレンスは物音に気が付いた。落ち葉や枝を踏む音が近付いてくる。

フロレンスはそっとハンドガンを抜き、身を屈めて音のする方向に身体を向けた。そして音を立てないように、相手の姿が確認できる位置へ移動を始める。

フロレンスが灌木の陰から見たのは、生ける屍だった。一体で彷徨っている。おそらく自分達の匂いや音に反応して追ってきているのだろう。

その屍の装備は王国軍のものだった。高度な装備でないことから輜重兵であろうということを、暗闇の中でフロレンスは見抜いた。

兵站を担う輜重隊にまで生ける屍達の汚染が広がっていることに驚いたが、それよりも、自分達が想定よりも本軍に近付いていることに少しの安堵を覚えた。

「近くに部隊がいるのか?」

そう呟いて立ち上がると、屍に向かって進みながら腰のナイフを抜いた。何があるかわからない。なるべくハンドガンは使いたくなかった。

輜重兵の屍はフロレンスに気付くと、呻き声を上げて近寄ってきた。屍の性質はだいたい理解していた。動きは鈍いが、手足を失ったくらいでは動きを止めず、頭部に損傷を与えなければ停止しない。

フロレンスは近付いてくる屍の横に回り込むと、その側頭部にナイフを突き立てた。屍は力を失って倒れ込んだ。屍を倒すとエイダの元に戻る。

「まずい、屍がいた。 移動しよう」

エイダに声を掛ける。屍が一体だけということは考えにくい。どこかに襲われた本隊があるのだろう。

「ああ、わかった……行こう」

エイダは立ち上がるが、バランスを崩して座り込んでしまう。

「どうした!?」

フロレンスはエイダに肩を貸そうとするが、様子がおかしいことに気付き、彼女の額に手を当てた。熱がある。意識も朦朧としているようだ。

「いいか、掴まるんだ。このままじゃ死ぬぞ」

フロレンスは片方の腕でエイダを抱きかかえるようにして引き起こし、肩を組んだ。その時、がさがさと周りに屍の気配が走った。

「来たか」

フロレンスは音から離れながら、しかし回り込むようにルートを採って山を下った。エイダは辛うじて足を動かし、フロレンスにしがみつきながら付いてきている。

回り込む際に、僅かな星明かりで屍の数を確認した。七、八体はいる。こちらの存在に気付いているようだ。

二人はそれから必死で山を下った。屍達も付いてきている。

やにわに開けた場所に出た。大きな山道へ出たらしい。しかし、そこには二十体以上の屍がたむろしていた。

二人はすぐに足を止めて伏せた。だが、後ろから自分達を追う屍達が近付いてきている。

「フロレンス、一人で逃げろ。自分を置いていけば逃げ切れる」

伏せたエイダは息も絶え絶えにそう言った。

「ここまで来たんだ、それはない」

「行け、命令だ。一人でも助かるべきだ」

「くそっ」

フロレンスはそう言うとエイダに自分のハンドガンを渡し、立ち上がって走り出した。

エイダは渡されたハンドガンを構え、自分達を追ってきた屍に照準を合わせた。

「ただでは死なないわ」

最初の一発が先頭の屍の頭部を吹き飛ばした。乾いた銃声が森に響く。山道の屍達の動きもエイダに向かう。

二発三発と、続けてエイダのハンドガンが屍を倒していく。ただ、弾には限りがある。フロレンスのハンドガンの弾が切れると自分のハンドガンを出し、間を置かずに撃ち続けた。どうにか追っ手の屍達を始末することはできたが、今度は山道の屍達が近付いてきていた。

エイダはふらふらと立ち上がると、山道の屍達に銃口を向けた。そして同じように屍を仕留めていくが、ついに銃弾が尽きた。

「こんな終わりとはな……」

ぞろぞろと屍がエイダの元に集まってくる。エイダは目を瞑った。

その時、エイダの眼前にいた屍が吹き飛ばされた。

機械馬に乗ったフロレンスだった。フロレンスはエイダの戦闘服のドラッグハンドルに手を掛けると、一気に引き上げて自分の前に乗せた。

フロレンスの機械馬は輜重隊のものだった。屍に襲われた本隊を探し出し、エイダのために戻ってきたのだった。

「行くぞ」

フロレンスはそのまま屍を振り解き、本軍がある方向へ山道を走り出した。

「—了—」