據說混沌元素是薄暮時代的工程師『Engineer』們確立了製造法與用途。
資料上記載它在過去有著各式各樣的用途,現在則大多是單純被當作兵器以及動力源。
這是因為協會『Academy』禁止了這些以外的用途。
畢竟渦『Profound』的發生原因就是混沌元素的失控,會被禁止也是理所當然的。
聽說雖然有組成了連隊來持續掃除渦『Profound』但至今還是處於一個不上不下的狀態,也看不到一個明確的終點。
這是只要是工程師的話不管是誰都知道的事情。
就算是在潘德莫尼也有著不可研究的領域,瑪格莉特也只是遵循了這個規定。
當然,目前為止就算這樣也沒什麼不好。
但是,繼續這樣下去自己的孩子就會失去性命,要是有能夠拯救他的可能性,就沒有遵循這個規定的理由了。
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在她背後純真無邪笑著的嬰兒,從出生起就患有致命的心臟疾病。
被告知就目前工程師的醫療技術來看只能活個幾年而已。
在舊時代就早已確立的醫療技術,也在經過薄暮時代後有著各式各樣的欠缺或流失。
瑪格莉特對此感到十分可惜。
為什麼才剛出生的這個孩子就必須失去性命呢。
為了擴展這個世界的可能性而持續獻身於研究之中。
但是,是自己的分身更是自己未來的這個孩子,他的可能性就要被剝奪了。
對瑪格莉特來說,這是絕對無法認同的事情。
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從此之後瑪格莉特開始進入只有上級工程師『Technocrat』以上才能利用的圖書館,開始將薄暮時代的書籍逐一查閱。
是為了尋找孩子的治療法。就算明白這是有勇無謀的事情,但也無法就那樣坐以待斃。
隨著沒有結果的日子持續增加,瑪格莉特的焦急也只有不斷累積。
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關在潘德莫尼的研究室日子接連不斷。持續進行為了孩子的研究,同時也繼續進行自己本來的工作:分析渦。
特殊螢幕上現在,正同步顯示著由連隊觀察班所補足的渦的狀態。
她的工作就是,以大小,渦的速度及混沌元素濃度之類的各種因素,來推測威脅的程度跟持續時間。
螢幕上的渦一邊散發著各種光芒一邊慢慢地迴轉著。
嚴格上來說這並不是什麼渦,而是與異世界的連結點『Node』,
但遠遠看起來還是只能以渦來形容。
混沌元素失控的真正理由被隱藏了起來。
但是,每個工程師都知道實際上到底發生了什麼事情。也就是渦變成了通往異世界的門。
通往有著不同的法則,經歷過不同的歷史的其它世界的洞出現在地面上。
某個有名的工程師說過這樣的一句話,「混沌元素本來就是從確率中取出能量的物質,其他平行世界在被奪取了這種名為可能性的能量後,會失去與我們世界的分界線也是很合理的」。
身為可能性結晶的混沌元素。從多重世界奪取能量的方式,從夢幻能源瞬間轉變成災害與惡夢。
瑪格莉特在進行渦分析的同時,想起了連隊報告書中奇妙的報告。連隊成員中有持續在渦的周圍或是其內部活動一段時間後,覺醒了特殊知覺能力的人。雖然不能想像會是混沌元素的影響,但在潘德莫尼日常生活中持續與混沌元素接觸的工程師們,卻沒聽說過有覺醒什麼特殊的知覺能力。
從這裡,瑪格莉特發現了自己的研究與孩子治療的連接點。雖然可能是持續研究太久,疲勞的大腦所產生的錯覺,但那就好像在黑暗中發現了一線光明般的感覺。
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使混沌元素處於可以控制的「失控」狀態,然後將自己的孩子置入混沌元素的影響之下。也就是利用了身為可能性結晶的混沌元素會對人體造成的影響。
就好像是,連隊的士兵們因為在殘酷的異世界空間縫隙中持續戰鬥,進而覺醒了新的知覺能力一般。是為了活下去而產生的變化。
只要這種影響能夠以人為的方式造成的話,就一定能拯救孩子了。
這就是瑪格莉特得到的結論。
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之後,瑪格莉特就持續研究著混沌元素對人類有著哪些直接的影響力。
深入的閱讀來自連隊的報告書,並從薄暮時代的書籍裡調查人類與混沌元素之間直接的影響。
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某一天,一個男子登門拜訪了瑪格莉特的研究室。
「我,應該說是我們一群沒有放棄混沌元素可能性的人」
「光是遵從將事情放水流主義的那個協會方針的話,什麼進展也不會有。你也是這麼認為的吧」
包含自己,瑪格莉特很清楚,持續這些被明言禁止研究的人並不在少數。
話說如此,遇到以這種內容自我介紹的人倒還是第一次。
「只要大家共享研究資料的話,多少能增加我們提早達到目標的可能性吧」
「如何,妳要不要也加入我們」
瑪格莉特明白有時候光是自己一個人是無能為力的這個事實。至今也只是單純地為了孩子不顧一切的持續研究而已。
現在這個研究,出現了合作者。瑪格莉特毫不猶豫的回答。
「我明白了。還請多多指教」
瑪格莉特伸出手,男子也回應了她。
「萬分感謝。我就知道妳一定會點頭答應的」
「對了,這個就當作是合作的證明,就交給妳一份吧」
「這是在我們之間稱作法典的文書資料複製品」
「說不定會對妳進行研究有所幫助」
將視線轉移到拿到手上的幾張紙上後,發現上面充滿了似乎難以解讀的文字與圖像。
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感覺研究的進展遇到瓶頸的瑪格莉特,開始試著解讀剛入手的這些資料。
就好像找到了拼圖不足的部分一般,瑪格莉特所追求的裝置,就在那份資料裡充滿各種相關的提示。
「這樣研究就一口氣進展了不少……」
之後瑪格莉特就不眠不休的持續著作業,一口氣就將裝置設置到完成的階段。
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將混沌元素設置進去將大房間整個佔據住的巨大裝置中啟動。
但卻只發出不輸給巨大本體的震耳驅動音,其它什麼變化也沒有。
「看來是…失敗了呢」
瑪格莉特因為疲累而全身無力的跌坐在地上。
就在站起身,想要去將裝置停止之時,變化開始產生。
在裝置稍微上方的位置產生了黑色的空間,並且開始迴轉了起來。渦的迴轉隨著其中顏色慢慢的增加也逐漸的消失。
最後留下來的是,一個顯映出充滿前所未見生物們的空間。
那是異世界的景色。
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「-完-」
3378年 「扉」
薄暮の時代の工学師《エンジニア》達が製造法と用途を確立したと言われているケイオシウム。
かつては様々な用途があったと過去の資料には記されているが、現在は兵器や動力源としての単純な用途が大半を占める。
協会《アカデミー》がそれ以外の用途を禁じている為だ。
渦《プロフォンド》の発生原因がケイオシウムの暴走であった為、無理もない事だった。
レジメントを編成して渦《プロフォンド》の除去を続けてはいるが、未だ道半ばであり、完了する目処は立っていないと聞く。
工学師なら誰でも知っている話であった。
パンデモニウムにおいても研究してはならぬ領域があり、マルグリッドもまた、それに従っていた。
もちろん、今まではそれでよかった。
しかし、このままでは失うしかない我が子の命を救える可能性があるとなれば、そんな掟に従っている訳にはいかなかった。
彼女の背後で無邪気に笑っている赤子は、致命的な心疾患をもって生まれてきた。
今のエンジニアの医療技術では数年しか生きられない、と告げられていた。
旧時代では確立されていた医療技術も、漆黒の時代にあっては様々な欠落、散逸があるのだ。
マルグリッドは口惜しかった。
なぜ、生まれてきたばかりのこの子の命が失われなければならないのか。
この世界の可能性を広げるために、自分は研究に身を捧げてきた。
しかし、この自分の分身、そして未来であるこの子の可能性が、このままでは奪われてしまう。
マルグリッドにとって、それは絶対に認められないことだった。
それから、マルグリッドは上級工学師《テクノクラート》以上のみが利用できる図書館へ通い、薄暮の時代の書物を片っ端から読み漁った。
我が子の治療法を探すためだった。それが無意味に近い事だとわかっていても、やらずにはいられなかったのだ。
結果の出ない日々が続き、マルグリッドの焦りは積もるばかりだった。
パンデモニウムの研究室に篭もりきりの日々が続いた。我が子のための研究、それと平行して、自身の本来の仕事である渦の分析も続けていた。
特殊モニターには現在、レジメントの観測班によって補足された渦の状態がリアルタイムに表示されている。
渦の大きさや速度、ケイオシウム濃度などを元に、脅威度や存続時間を予想するのが彼女の仕事だった。
モニターに映る渦は様々な光彩を放ちながらゆっくりと回転している。厳密には渦ではなく異世界との結節点《ノード》なのだが、遠目にはやはり渦としか形容しようがなかった。
ケイオシウムが暴走した本当の理由は秘匿されている。
ただ、起きた事は工学師ならば誰でも知っている。渦は異界との扉となったのだ。
違う法則、違う歴史を経た別世界との穴が地上に現れてしまったのだ。
ある高名な工学師は言っていた。「ケイオシウムは元々確率からエネルギーを取り出す物質なのだから、他の平行世界の可能性というエネルギーがケイオシウムによって奪われたのであれば、その境目が失われるのは道理だ」と。
可能性の固まりとしてのケイオシウム。多重世界からエネルギーを奪うその仕組みは、夢のエネルギーから悪夢の厄災へと変わったのだった。
マルグリッドは渦の分析の中から、レジメントの報告書に書かれていた奇妙な報告を思い出した。レジメントの中には、渦の周辺や内部で活動を繰り返す事で特殊な知覚力を身に付けた者がいるという。ケイオシウムの影響である事は想像に難くないが、パンデモニウムで日常的にケイオシウムに接している工学師が特殊な知覚力を身につけた、という話は聞いたことが無い。
ここにおいて、マルグリッドは自分の研究と我が子の治療との接点を見出した。研究を続けすぎて疲労した脳が作り出した錯覚かもしれないが、それは暗闇に差す一条の光のように感じられた。
ケイオシウムを制御できる「暴走」状態にし、我が子をケイオシウムの影響下に置く。可能性の固まりであるケイオシウムが人体に与える影響を利用するのだ。
レジメントの兵士達は、過酷な異世界空間との狭間で戦い続けることによって、新しい知覚力を得たのであろうと仮定できた。生き続けるために。
その影響を人為的に作り出すことさえできれば、我が子もきっと助かる筈だ。
それがマルグリッドの出した答えだった。
以降、マルグリッドはケイオシウムが直接人間に与える影響力について研究を続けた。
レジメントからの報告書を丹念に読み込み、薄暮の時代の書物から、ケイオシウムの人間に対する直接的影響について調べた。
そんなある日、一人の男がマルグリッドの研究室を訪ねてきた。
「私は、いや我々はケイオシウムの可能性を諦めていない者です」
「事なかれ主義である協会の方針に従っていては何事も成せない。そうは思いませんかな」
自身も含め、公には禁止されている研究に勤しむ人間が少なからずいるらしいという事は、マルグリッドも知ってはいた。
とはいえ、それを自称する人間に会うのは初めての事だった。
「皆で研究データを共有できれば、少しでも早く目的に辿り着く可能性だってあるでしょう」
「どうです、あなたも我々の仲間に加わりませんか?」
自分一人ではどうにもならない所にいるのはわかっていた。ただがむしゃらに、我が子のために全てを擲って研究を続けていたのだ。
その研究に協力者が現れたのだ。マルグリッドは迷わず答えた。
「わかりました。よろしくお願いします」
マルグリッドが手を差し出すと、男もそれに応える。
「ありがとうございます。あなたならそう仰って頂けると信じておりました」
「そうですね。お近づきの印に、こちらをあなたにお預けします」
「我々がコデックスと呼んでいる文書の複製です」
「もしかしたら、あなたの行っている研究の助けになるかもしれません」
手渡された数枚の紙に視線を移すと、判読に苦労しそうな文字と図がびっしりと詰まっていた。
研究の行き詰まりを感じていたマルグリッドは、手渡された文書の解読を試みた。
まるで足らないピースが埋まるかのように、その文書にはマルグリッドの求めていた装置へのヒントが詰め込まれていた。
「これで研究が一気に進むわ……」
それからマルグリッドは不眠不休で作業を続け、一気に装置の完成まで漕ぎ着けた。
大部屋をまるまる占領した巨大な装置にケイオシウムを設置し、起動する。
巨大な筐体に負けじと巨大な駆動音を鳴らし続けるだけで、何の変化も起きなかった。
「失敗……みたいね」
マルグリッドは疲れがドッと出て脱力し、尻餅を付いた。
腰を上げ、装置を止めに移動しようとした時、変化が起きた。
装置のやや上方に黒い空間が発生し、渦を巻き始めた。渦は徐々に色付くと共に消えていく。
残ったものは、見たこともない生物達が闊歩する世界が映った空間。
それは、異世界の光景だった。
「—了—」
薄暮の時代の工学師《エンジニア》達が製造法と用途を確立したと言われているケイオシウム。
かつては様々な用途があったと過去の資料には記されているが、現在は兵器や動力源としての単純な用途が大半を占める。
協会《アカデミー》がそれ以外の用途を禁じている為だ。
渦《プロフォンド》の発生原因がケイオシウムの暴走であった為、無理もない事だった。
レジメントを編成して渦《プロフォンド》の除去を続けてはいるが、未だ道半ばであり、完了する目処は立っていないと聞く。
工学師なら誰でも知っている話であった。
パンデモニウムにおいても研究してはならぬ領域があり、マルグリッドもまた、それに従っていた。
もちろん、今まではそれでよかった。
しかし、このままでは失うしかない我が子の命を救える可能性があるとなれば、そんな掟に従っている訳にはいかなかった。
彼女の背後で無邪気に笑っている赤子は、致命的な心疾患をもって生まれてきた。
今のエンジニアの医療技術では数年しか生きられない、と告げられていた。
旧時代では確立されていた医療技術も、漆黒の時代にあっては様々な欠落、散逸があるのだ。
マルグリッドは口惜しかった。
なぜ、生まれてきたばかりのこの子の命が失われなければならないのか。
この世界の可能性を広げるために、自分は研究に身を捧げてきた。
しかし、この自分の分身、そして未来であるこの子の可能性が、このままでは奪われてしまう。
マルグリッドにとって、それは絶対に認められないことだった。
それから、マルグリッドは上級工学師《テクノクラート》以上のみが利用できる図書館へ通い、薄暮の時代の書物を片っ端から読み漁った。
我が子の治療法を探すためだった。それが無意味に近い事だとわかっていても、やらずにはいられなかったのだ。
結果の出ない日々が続き、マルグリッドの焦りは積もるばかりだった。
パンデモニウムの研究室に篭もりきりの日々が続いた。我が子のための研究、それと平行して、自身の本来の仕事である渦の分析も続けていた。
特殊モニターには現在、レジメントの観測班によって補足された渦の状態がリアルタイムに表示されている。
渦の大きさや速度、ケイオシウム濃度などを元に、脅威度や存続時間を予想するのが彼女の仕事だった。
モニターに映る渦は様々な光彩を放ちながらゆっくりと回転している。厳密には渦ではなく異世界との結節点《ノード》なのだが、遠目にはやはり渦としか形容しようがなかった。
ケイオシウムが暴走した本当の理由は秘匿されている。
ただ、起きた事は工学師ならば誰でも知っている。渦は異界との扉となったのだ。
違う法則、違う歴史を経た別世界との穴が地上に現れてしまったのだ。
ある高名な工学師は言っていた。「ケイオシウムは元々確率からエネルギーを取り出す物質なのだから、他の平行世界の可能性というエネルギーがケイオシウムによって奪われたのであれば、その境目が失われるのは道理だ」と。
可能性の固まりとしてのケイオシウム。多重世界からエネルギーを奪うその仕組みは、夢のエネルギーから悪夢の厄災へと変わったのだった。
マルグリッドは渦の分析の中から、レジメントの報告書に書かれていた奇妙な報告を思い出した。レジメントの中には、渦の周辺や内部で活動を繰り返す事で特殊な知覚力を身に付けた者がいるという。ケイオシウムの影響である事は想像に難くないが、パンデモニウムで日常的にケイオシウムに接している工学師が特殊な知覚力を身につけた、という話は聞いたことが無い。
ここにおいて、マルグリッドは自分の研究と我が子の治療との接点を見出した。研究を続けすぎて疲労した脳が作り出した錯覚かもしれないが、それは暗闇に差す一条の光のように感じられた。
ケイオシウムを制御できる「暴走」状態にし、我が子をケイオシウムの影響下に置く。可能性の固まりであるケイオシウムが人体に与える影響を利用するのだ。
レジメントの兵士達は、過酷な異世界空間との狭間で戦い続けることによって、新しい知覚力を得たのであろうと仮定できた。生き続けるために。
その影響を人為的に作り出すことさえできれば、我が子もきっと助かる筈だ。
それがマルグリッドの出した答えだった。
以降、マルグリッドはケイオシウムが直接人間に与える影響力について研究を続けた。
レジメントからの報告書を丹念に読み込み、薄暮の時代の書物から、ケイオシウムの人間に対する直接的影響について調べた。
そんなある日、一人の男がマルグリッドの研究室を訪ねてきた。
「私は、いや我々はケイオシウムの可能性を諦めていない者です」
「事なかれ主義である協会の方針に従っていては何事も成せない。そうは思いませんかな」
自身も含め、公には禁止されている研究に勤しむ人間が少なからずいるらしいという事は、マルグリッドも知ってはいた。
とはいえ、それを自称する人間に会うのは初めての事だった。
「皆で研究データを共有できれば、少しでも早く目的に辿り着く可能性だってあるでしょう」
「どうです、あなたも我々の仲間に加わりませんか?」
自分一人ではどうにもならない所にいるのはわかっていた。ただがむしゃらに、我が子のために全てを擲って研究を続けていたのだ。
その研究に協力者が現れたのだ。マルグリッドは迷わず答えた。
「わかりました。よろしくお願いします」
マルグリッドが手を差し出すと、男もそれに応える。
「ありがとうございます。あなたならそう仰って頂けると信じておりました」
「そうですね。お近づきの印に、こちらをあなたにお預けします」
「我々がコデックスと呼んでいる文書の複製です」
「もしかしたら、あなたの行っている研究の助けになるかもしれません」
手渡された数枚の紙に視線を移すと、判読に苦労しそうな文字と図がびっしりと詰まっていた。
研究の行き詰まりを感じていたマルグリッドは、手渡された文書の解読を試みた。
まるで足らないピースが埋まるかのように、その文書にはマルグリッドの求めていた装置へのヒントが詰め込まれていた。
「これで研究が一気に進むわ……」
それからマルグリッドは不眠不休で作業を続け、一気に装置の完成まで漕ぎ着けた。
大部屋をまるまる占領した巨大な装置にケイオシウムを設置し、起動する。
巨大な筐体に負けじと巨大な駆動音を鳴らし続けるだけで、何の変化も起きなかった。
「失敗……みたいね」
マルグリッドは疲れがドッと出て脱力し、尻餅を付いた。
腰を上げ、装置を止めに移動しようとした時、変化が起きた。
装置のやや上方に黒い空間が発生し、渦を巻き始めた。渦は徐々に色付くと共に消えていく。
残ったものは、見たこともない生物達が闊歩する世界が映った空間。
それは、異世界の光景だった。
「—了—」